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Eagle's Eye~19-20シーズンのPickUpプレーその①『ポケットパス』~

今回から何回かに分けて、19-20シーズンのFE名古屋で気になったプレーをピックアップして紹介していきたいと思います。(途中で飽きたらごめんなさい)

第1回で紹介するプレーは『ポケットパス』です。

ポケットパスとは

簡単に説明すると、ポケットパスとは「ドリブルしている最中に手元(ズボンのポケットの位置)から出すバウンズパス」のことです。

ただし、ポケットパスの定義には若干の幅があり、ドリブル中ではなくボールを保持した状態からのパスも含める場合や、バウンズバスではないパスを含める場合もあります。

ポケットパスのメリット

最大のメリットは、ドリブルの姿勢からそのままパスにつなげることができるため、相手のDFに読まれにくく素早くパスを出せることです。
また、ピック&ロールなどの場面で遅れて後ろから付いてくるDFに対して自分の身体でボールを守りながらパスを出すことができるため、パスをカットされにくいというメリットもあります。

このため、ポケットパスは、ピック&ロールのハンドラー役(ボールを持っている選手)にとっていまや必須ともいえる技術になっています。
過去の記事でも紹介したように、19-20シーズンのFE名古屋はピック&ロールを仕掛けることが多くなったので、当然ながらこのポケットパスは重要な技術の1つとなりました。

実際に使用しているシーン

(27秒~のプレー)

ここでは、山本エドワード選手(#5)とソウ・シェリフ選手(#15)のピック&ロールで山本選手からソウ選手にポケットパスが通り、得点につながっています。ソウ選手がボールを受けた時点で、ソウ選手のDFであるダバンテ・ガードナー選手(#54)が山本選手のドライブを警戒してそちらに寄っていたため、そのままゴール下まで侵入することができました。

(1分22秒~のプレー)

こちらは、鹿野洵生選手(#45)と坂本健選手(#16)のピック&ロールで鹿野選手が坂本選手にポケットパスを出し、坂本選手がジャンプシュートを決めたシーンです。ここでは、坂本選手のDFが身長の高いナンナ・エグー選手(#32)であるため、無理にゴール下まで飛び込まずに距離をとってのジャンプシュートを選択したのだと思います。

このように、ポケットパスは上手く通ればそれだけでDFにズレを作り、得点チャンスを生み出すことができるプレーであると言えます。したがって、来季もFE名古屋がピック&ロール中心の戦術を採用する限りは、このポケットパスも重要な技術になってくると思います。

来季の注目点

以上のように、特にピック&ロールの場面では大きな武器となるポケットパスですが、とはいってもこれだけで点を取り続けられるわけではありません。当然DFも対応してきます。
そこで重要になるのが、「ポケットパスを使うまでの工夫」、そして、「ポケットパスを囮にしたプレー」だと思います。チームとしてポケットパスをある程度使えるようになってきたからこそ、来季はその辺りに注目していきたいと思っています。

と、これだけでは伝わらないと思うので、もう少し具体的に説明します。例えば、このシーン。

(34秒~のプレー)

このシーンでは、ガードナー選手(#54)が木村選手(#7)とソウ選手(#15)の両方を守れるように、最初に紹介した山本選手とソウ選手のピック&ロールのときよりも低い位置(ゴールに近い位置)を取っています。また、逆サイドにいる山本選手(#5)のDFである熊谷選手(#11)もソウ選手を警戒してコート中央に寄せてきています。このため、木村啓太郎選手(#7)からソウ選手(#15)にポケットパスが通りますが、そのままシュートにはいけませんでした。

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では、どうすればよかったのか。方法はいくつも考えられます。

例えば、木村選手(#7)がもっと深くまでドリブルで侵入し、ガードナー選手(#54)を引き付けた上でソウ選手(#15)にパスをするのも1つの方法です(図①)。もしガードナー選手が付いてこなければ、ローソン選手(#19)の助けを借りてそのままレイアップに行くことも可能です。
また、木村選手があえてガードナー選手がいる方向(コート中央の方向)にドリブルで侵入し、逆方向へロールしてフリーになったソウ選手にパスをするのもよいと思います(図②)。
他にも、熊谷選手(#11)が中央に寄せてきているのが見えていれば、思い切って逆サイドの山本選手(#5)までパスを飛ばして3Pを狙うのもアリかもしれません(図③)。

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というように、少し考えただけでも「ポケットパスを使うまでの工夫」「ポケットパスを囮にしたプレー」にもいろいろなバリエーションがあることがわかります。これらの中から、その時の状況に応じてどのようなプレーを選択すべきかチーム全員が適切に判断することが重要になってきます。来季はその辺りにも注目して見てみると、またさらにFE名古屋の試合を楽しめると思います。

なお、僕自身、観戦しているその場で「今のプレーの狙いは~」とか「もっと~すべきだった」なんて理解できるわけはありません(笑)。それでも、後から思い返したとき、見返したときに、あれはどういう狙いだったんだろう?どうすべきだったんだろう?と考えてみるだけでも面白いことは間違いないと思っています。また来季のFE名古屋を見る楽しみが増えそうで、今から開幕が待ち遠しいです。

超雑なまとめ

・ポケットパスはピック&ロールの必須スキル
・ポケットパスを出すまでの工夫が重要
・ポケットパスを囮にしたプレーも重要

以上です!

蛇足

説明しはじめると長くなるので省きましたが、最初に紹介した山本選手とソウ選手のピック&ロールのシーンではパッと見ではわかりにくい細かい技術が散りばめられています。

1つは、ソウ選手(#15)のスクリーンを使ってドライブを仕掛けるときの山本選手(#5)の動き。
このとき、山本選手は、スクリーンを使って自分のDFである岡田選手(#2)を抜いた後にあえてゴールから離れる方向(画面の上方向)に1歩ステップを踏んでいます。これは、ソウ選手のDFであるガードナー選手(#54)を自分の方に引き寄せることで、その後にソウ選手がゴールに向かうコースを空けることを狙っていると思います。

2つ目は、山本選手がスクリーンを使った直後のベンジャミン・ローソン選手(#19)の動き。
ここで、ローソン選手は、山本選手からソウ選手にパスが渡ることを予測して、ソウ選手のコースを空けるために元いたサイドから逆サイドに移動しています。この動きがなければどうなっていたかというと、ソウ選手がせっかくフリーでゴール下に飛び込んできたにもかかわらず、ローソン選手のDFであるクリス・オトゥーレ選手(#42)がヘルプに来てしまい、簡単なレイアップにはいけなくなってしまいます。(厳密にはファウルですが、ローソン選手がこっそりオトゥーレ選手の腕に自分の腕を絡めているのもポイントです。笑)

こういう細かいところにも様々なテクニックが詰まっているので、バスケというのは知れば知るほど面白いです。興味のある方はぜひ、FE名古屋のホームゲームへ来てください。いくらでも語りましょう!

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