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Eagle's Eye〜19-20シーズンのPickUpプレーその②『クリアアウト』~

19-20シーズンのFE名古屋で気になったプレーを紹介する企画、第2回は『クリアアウト(Clearout)』というプレーを紹介します。

第1回「ポケットパス」はコチラ↓↓

クリアアウトとは

クリアアウトとは、「自分自身が壁となってDFの動きを妨げることで、ドライブを仕掛ける選手のコースを空けるプレー」のことです。

これだけ聞くと、スクリーンと何が違うんだと感じますね。それもそのはず、クリアアウトは「シールスクリーン(Seal Screen)」と呼ばれることもあり、スクリーンの一種でもあります。
クリアアウトが特徴的なのは、ドライブを仕掛ける選手のDFではなく、ヘルプに行こうとするDF(スクリナー自身のDFである場合が多い)にスクリーンを掛けるところです。つまり、味方の選手がDFを抜くのを手伝う(図①)のではなく、DFを抜いた後のために道を空けてあげるイメージ(図②)ですね。

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実際に使用しているシーン

文章で説明してもなかなか伝わりにくいと思うので、さっそく実際のプレーを見てみましょう。

(1分1秒~のプレー)

ゴール下の杉本慶選手(#11)に注目してください。自分のDFをブロックして、山本エドワード選手(#5)がドライブするためのコースを空けていることがわかると思います。

クリアアウトのメリット

ドライブを仕掛ける選手がヘルプのDFを気にすることなくシュートにいけることが最大のメリットです。

身長の低い選手がドライブを仕掛ける際には、背の高いDFがヘルプに来たらどうするのかという問題が必ず発生します。これに対して、よくある回答として「ボールマンと適切な距離(≠ソーシャルディスタンス)を空けて待機し、もし自分のDFがヘルプに行ったらパスを貰ってシュートを打つ」というものがありますが、これには「待機している選手がシュート確率の低い選手だったら気にせずヘルプに行けてしまう」という弱点もあります。
一方、クリアアウトであれば「そもそもヘルプに行かせない」ので、DFがヘルプに行ってしまったらどうするんだ、という問題は基本的に発生しません。

また、クリアアウトというのは比較的ゴールに近い位置で行われるプレーなので(ゴールから遠い位置であればそもそもクリアアウトをする必要がありません)、もしクリアアウトをすり抜けてヘルプに行かれてしまった場合には、「クリアアウトをしていた選手がそのままオフェンスリバウンドに参加できる」というメリットもあります。
下の動画では、広島のグレゴリー・エチェニケ選手(#8)がベンジャミン・ローソン選手(#19)のクリアアウトをすり抜けてヘルプに行ってしまい、そのプレッシャーを受けた山本選手(#5)がレイアップを外してしまいますが、ローソン選手がフリーでオフェンスリバウンドを拾ってそのままダンクをすることができました。

(1分4秒~のプレー)

このため、クリアアウトは、特に「外のシュートが苦手なビッグマン」にとって重要なスキルとなっています。

FE名古屋の場合

今季のFE名古屋では、ピック&ロールの増加に伴ってガードの選手がドライブを仕掛ける場面が増加しました。
また、今季のFE名古屋には、ベンジャミン・ローソン選手、クリス・オトゥーレ選手、ソウ・シェリフ選手、坂本健選手といった、外のシュートは苦手だがオフェンスリバウンドに参加させれば高い確率でボールを拾ってくれる選手が多く所属していました。
このため、クリアアウトを使う機会が増えたのだろうと思います。

来季の注目点

以上のように、クリアアウトは上手く使えば効果的なプレーですが、一方でDFの動きを制限しようとして無理に身体を動かしてしまったり腕を使ってしまったりするとファウルになってしまうというリスクもあります。
実際に今季のFE名古屋では、すり抜けようとするDFに対して無理にクリアアウトを仕掛けてオフェンスファウルになることも多かった印象です。
DFがすり抜けやすくなってしまう原因としては、戦術理解度が浅くてクリアアウトをするタイミングが遅すぎる(又は早すぎる)クリアアウトをするときの位置や角度が悪いなどが考えられます。
来季は、その辺りが改善されるかどうかに注目しながらFE名古屋の試合を見てみるのも楽しいと思います。

超雑なまとめ

・クリアアウトは味方がドライブするコースを空けるためのプレー
・外のシュートが苦手なビッグマンには必須のスキル
・タイミング、位置、角度が悪いとファウルになる

以上です!

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