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FE名古屋〜B1への軌跡〜|20-21シーズン編

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シーズン振り返り

 より詳細な振り返りは以下のnoteをぜひ。

◉開幕前の話題

 新型コロナの波も収まりきらないまま開幕を迎えることになった20-21シーズン。Bリーグのレギュレーションにも、コロナに関係があることないこと含めて大きな変化がいくつかありました。

 まずは昇降格について。
 この20-21シーズンと翌21-22シーズンでは、B2からB1への昇格が2クラブずつとなる一方で、B1からB2への降格、及びB2からB3への降格がなしになりました。
 その結果B2のクラブには、昇格を目指して戦力を積み増すのか、降格はないと高を括ってそれなりの戦力で1年やり過ごし翌年以降にかけるのか、難しい判断が求められるシーズンとなりました。

 次に外国籍選手について。
 外国人の日本への新規入国が制限された影響で、契約した外国籍選手が合流できない状況が起きていたことを踏まえ、その選手が合流するまでの短期契約として別の外国籍選手と契約して試合に出場させてもよい特別ルールが設定されました。

 また、コロナに直接関係がない部分では、アジア特別枠が新たに設けられました。
 とはいえ、今でこそフィリピンを中心に多くの選手がこのアジア特別枠で加入していますが、このシーズンはまだクラブも選手も様子見といったところで、採用するクラブはほとんどありませんでした。

◉外国籍選手を3人揃えての開幕も勝率は伸びず

 開幕時点で新規の外国籍選手が合流できていないクラブも多くみられる中、昨シーズンもBリーグでプレーした選手に狙いを定めることで、開幕までに外国籍選手3人をしっかり揃えることに成功したFE名古屋。
 しかし、昨季のジョシュ・ホーキンソン&ベンジャミン・ローソンという走れるビッグマンコンビからアンドリュー・フィッツジェラルド&ブラッドリー・ウォルドーという重量級ビッグマンコンビに代わったことによるチームの戸惑いは小さくなかった印象で、攻守ともに噛み合わない試合もあってなかなか勝率は伸びませんでした。

◉FE名古屋、Game2に弱い問題

 また、この頃にFE名古屋界隈で騒がれていたのが「Game2に弱い問題」でした。決して機動力のあるタイプではない2人のビッグマンに攻守でハードワークを求めた結果、Game2の終盤で息切れして負ける試合も多くありました。

◉突然のウォルドー退団とローソンの帰還

 中盤に差し掛かったところで突如として飛び込んできたニュースが、ウォルドーの退団でした。個人的には、チームが目指すバスケットのスタイルと彼のスキルセットはマッチしているのか?と思うところはありましたが、とはいえインサイドの大黒柱の突然の離脱は大問題。
 しかし、チームはそれまであまり使っていなかったゾーンディフェンスなども駆使して、茨城ロボッツ、熊本ヴォルターズ、仙台89ersという難敵揃いの6連戦をなんとか3勝3敗の五分で切り抜けることに成功します。

 そして年末年始の間にウォルドーの代わりとして加入したのが、昨シーズンもFE名古屋でプレーしたベンジャミン・ローソン。ちょうどローソンが加入した直後にオールスターブレイクがあったのは不幸中の幸いでした。早速チームに馴染むと、2月に入ってからはチームも上昇気流に乗り始めます。

◉順当に勝ち星を積み上げプレーオフへ

 成績は上向きつつも、順位表で下位に沈むチーム相手の取りこぼしもあってなかなか大型連勝をとはいかないFE名古屋。ですが、この頃からは苦手のGame2もやや克服した様子で、Game1で負けてGame2で取り返す試合などもあって大きく成績を落とすこともありません。
 そして終盤には今季最長となる7連勝も記録し、西宮ストークスに次ぐ西地区2位(このシーズンは東西の2地区制)でリーグ戦を終了。2017-18シーズン以来となるB2プレーオフに駒を進めることとなりました。

◉プレーオフ~越谷との死闘~

 プレーオフ1回戦(クォーターファイナル)の相手は越谷アルファーズ。B1ライセンスを持たないクラブ同士の意地のぶつかり合いとなりました。

 Game1は終始リードされながらもチーム全体で耐えしのぎ、第4Qにほころびを見せた越谷アルファーズの隙をついて一気に逆転。ゴール下で猛威を振るうアイザック・バッツに苦戦しながらも、最後まで我慢してストレスをかけ続けたFE名古屋の粘り勝ちとなりました。

 Game2では、Game1の反省を生かして第1Qから優位に立ちたいところでしたが、またも先行したのは越谷アルファーズ。特にこの日は、バッツではなく、長谷川智也とクレイグ・ブラッキンズを中心としたオフェンスを止められず、第1Qだけで20点のビハインド。第2Qに少し点差を詰めるも第3Qにまた突き放され、第4Q開始時点で23点のビハインドとなります。
 それでも第4QにFE名古屋が意地を見せ、怒涛の6連続3Pを含む猛攻で一時は4点差にまで迫ります。しかし、最後はまた長谷川とブラッキンズに決められて万事休す。決着はGame3に持ち越しとなりました。

 Game3は、このシリーズを締めくくるにふさわしい死闘となりました。詳細は後の『印象に残った試合』で触れるので割愛しますが、オーバータイムに及ぶ熱戦の末、FE名古屋は越谷アルファーズの前に力尽き、クォーターファイナルでプレーオフから姿を消すことになりました。

その他のTopics

◉初の名古屋ダービー

 プレシーズンマッチではありましたが、ファン待望の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの「名古屋ダービー」がついに実現しました。
 そしていよいよ来季(22-23シーズン)は同じB1で戦うことに。またそれに先駆けて、プレシーズンマッチもホーム&アウェイで1試合ずつ行われるようです。どんな試合になるのか、選手もフロントもファンもそれぞれ意地のぶつかり合いが見られそうで、今から楽しみですね。

チーム成績

 アンドリュー・フィッツジェラルド、そして前半戦はブラッドリー・ウォルドーという決して機動力がある方ではないビッグマンがいた影響か、昨季よりもさらに試合のペースは下がり、平均得点ではB2全体で11位となりました。しかしオフェンシブレーティング(オフェンス100回あたりの得点)はB2全体で4位と、昨季までと変わらず効率のよいオフェンスを組み立てることができていたことがわかります。
 そしてこのシーズンの特筆すべき変化はといえば、ターンオーバーの改善でしょう。川辺HC体制2年目となって、ピック&ロールでボールハンドラー役を担える選手も増え、オフェンスの組み立ての精度が増してきた印象もありました。

勝手に選ぶシーズンMVP

 杉本慶

 前シーズン(19-20シーズン)の活躍の影響で、相手のマークも厳しくなることが予想されたシーズンでしたが、前年と変わらないどころか、むしろ個人のクオリティとしては前年以上の活躍を見せたシーズンに。
 ジョシュ・ホーキンソンというオールラウンドプレーヤーが抜け、長所と短所がハッキリした外国籍選手が揃ったこのシーズンのFE名古屋において、自らオフェンスをクリエイトして味方を生かすことができる彼の存在は本当に大きいものでした。

印象に残った試合

 vs越谷アルファーズ(2021/5/9 B2プレーオフクォーターファイナルGame③) 

 お互いに負けたら終わりのGame3。
 Game1,2では越谷アルファーズに先行を許したFE名古屋でしたが、この試合では意地を見せて両者譲らない展開に。そんな中、第4QになってFE名古屋の松山駿が大爆発。3本の3Pを沈めてリードを築くと、アンドリュー・フィッツジェラルドやジェロウム・ティルマンもそれに続き、残り2:30の時点でFE名古屋の7点リードとなります。
 このまま逃げ切りたいFE名古屋でしたが、こうなっては越谷アルファーズの大黒柱、アイザック・バッツが黙っていません。さっそくインサイドで得点を決めると、その後も決して得意ではないFTを4本中3本沈めて同点に。フィッツジェラルドが勝ち越しを狙ったミドルシュートを放つも決まらず、決着はオーバータイムへ。

 そしてそのオーバータイムでFE名古屋に引導を渡したのがクレイグ・ブラッキンズでした。この日、ブラッキンズは第1Qで利き手を負傷しており、その影響でシュートタッチが安定していませんでいたが、終盤からは負傷した後に巻いたテーピングを剥がして出場。この試合にすべてを賭けると言わんばかりの気迫で大事なシュートをねじ込みます。
 FE名古屋も杉本慶の3Pなどで抵抗しますが、時間が足りずファウルゲームとなり、そのFTを長谷川智也に6/6のパーフェクトで決められて終戦となりました。

 結果的にはFE名古屋の負けとなってしまいましたが、勝利に向かってお互いに全力を出し尽くしたこの試合は、このシリーズを締めくくるにふさわしい死闘でした。

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