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FE名古屋~B1への軌跡~|16-17シーズン編

シーズン振り返り

 2016年に開幕したBリーグ。
 2部リーグにあたる『B2』からのスタートとなったFE名古屋は、ロスターにソロモン・アラビとロドニー・カーニーという2人の元NBA選手を迎えてシーズンに臨みました。

◉Bリーグ開幕

 記念すべきBリーグ開幕戦の相手は西宮ストークス。
 Game1、FE名古屋は第3Q終了時点で5点のビハインドを背負うも、ロドニーが第4Qだけで14点を決める活躍を見せて大逆転勝利。会場の雰囲気は西宮ストークスの応援に押され気味でしたが、ロドニーの逆転3Pの瞬間には観客席から大歓声が上がりました。

 しかし、そのロドニーがこの試合で足の指を骨折していたことが判明し、翌日のGame2は欠場することに。
 それを考えるとGame1の第4Qの活躍には改めて驚かされますが、ともかくGame1の勝利の立役者を失ったFE名古屋は、Game2ではチームで50点しか取ることができずに敗戦となってしまいます。

◉外国籍選手の負傷離脱と緊急補強

 チームのエースとして期待していたロドニー・カーニーを開幕戦で失ったFE名古屋。
 翌週のアースフレンズ東京Z戦はなんとか連勝したものの、事態を重く見たフロントは急いで代わりの外国籍選手を探します。その結果、日本でのプレー歴もあるラマー・サンダースを獲得することになりました。
 この決断が功を奏し、チームは大きく躓くことなく勝利を重ねます。

 その後にはシェリフ・ソウも故障者リスト入りし、さらにはソロモン・アラビまで負傷欠場となって、10/30(日)のアースフレンズ東京Z戦ではなんと外国籍選手がサンダースのみとなりますが、そのサンダースが40分フル出場で貢献したこともあり、僅差で勝利を収めることができました。

◉他地区とのオーバーカンファレンスゲーム

 当時のBリーグはシーズンの中盤に他地区との試合が集中するフォーマットになっており、12/10(土)、11(日)の熊本ヴォルターズ戦から3/11(土)、12(日)の山形ワイヴァンズ戦までは同地区との対戦はありませんでした。

 負傷離脱していた外国籍選手も徐々に復帰しつつあり、着実に勝ち星を積み上げて同地区のライバルたちにプレッシャーを掛けたいFE名古屋でしたが、この年のB2は西地区のレベルが高く、熊本ヴォルターズ、島根スサノオマジック、広島ドラゴンフライズの西地区上位3チームに対して1勝5敗と力の差を見せつけられてしまいます。
 そして広島ドラゴンフライズ戦で2連敗を喫した直後には、その時点で3勝29敗と苦戦しており資金繰りなどの運営面にも問題を抱えていた鹿児島レブナイズにまさかの金星を与えてしまうことに。

 結果的に他地区との交流戦の成績は16勝8敗となり、中地区のチームの中では1位の成績を残すものの、思うように2位以下のチームと差を広げられなかったことは終盤戦に向けての不安要素となってしまいました。

◉地元の星、成田正弘加入

 また、この頃には特別指定選手で拓殖大から成田正弘が加入。
 地元出身でユニバーシアードの日本代表経験者とあって、チームからもファンからも大きな期待が寄せられました。

◉西宮ストークスとの地区首位争い

 終盤戦、同地区同士での対戦の最初のカードはまたも西宮ストークス。
 この時点でFE名古屋は33勝11敗、西宮ストークスは30勝14敗でしたが、試合は両日とも20点以上の差を付けられての大敗で、ゲーム差は「1」に。

 振り返ってみればこの直接対決がこのシーズンのターニングポイントとなった印象で、その後順調に勝ち星を重ねる西宮ストークスに対し、FE名古屋はなかなか連勝が伸びず、FE名古屋のホーム最終戦となる直接対決を前に順位を逆転されてしまいます。

 ホーム最終戦は、FE名古屋が連勝すれば首位奪還、逆に連敗すればその場で西宮ストークスの中地区首位が決定するとあって絶対に負けられない試合でしたが、結果は1勝1敗となりゲーム差は変わらず。

 続く最終節のアースフレンズ東京Zとの2試合で勝利するも、西宮ストークスも東京エクセレンスとの2試合にきっちり勝利し、FE名古屋はそのまま中地区2位でBリーグ1年目のシーズンを終えることになりました。

チーム成績

 オフェンシブレーティング(オフェンス100回あたりの得点)はリーグ5位ながら、ペースの早いバスケットで平均得点はリーグ1位。ソロモン・アラビの高さとロドニー・カーニーの1on1で殴り勝つスタイルは、下位相手には順当に勝利できる一方で上位からはなかなか勝ち星を奪えず、という結果になった印象です。
 メインPGだった大塚勇人がシーズンを通して故障に苦しんでいたのもチームにとって痛かったですね。
 一方で、その大塚の穴を埋めるべく福澤晃平や成田正弘といった若い選手たちが奮闘を見せたのは来季に向けての明るい材料となりました。

その他のTopics

◉坂本健、B2唯一のオールスターダンクコンテスト出場

 10/29(土)のアースフレンズ東京Z戦で視察に来た大河チェアマン(当時)の目の前で試合中に豪快なダンクを決めたことが影響した…のか否かは定かではありませんが、記念すべきBリーグ開幕年のオールスターダンクコンテストにB2から唯一、FE名古屋の坂本健が出場しました。

 残念ながら優勝とはなりませんでしたが、コートを広く使ってレーンアップ(フリースローラインから踏み切ってのダンク)に挑戦するなど、日本人ダンカーとしてオールスターの会場を盛り上げました。

◉ソロモン・アラビ、FE名古屋の一試合での歴代最高得点を記録

 2017/2/26(日)の香川ファイブアローズ戦で、ソロモン・アラビがFE名古屋の歴代最高得点(Bリーグ開幕以降)となる45得点を記録。
 この日のアラビは完全に手が付けられないといった感じで、FGは23本中19本成功の成功率82.6%、さらに21リバウンドと、ゴール下を完全に制圧しました。

 この記録はあれから5年がたった2022年7月現在でも破られていません。果たしてこの記録を破る選手は現れるのでしょうか。

勝手に選ぶシーズンMVP

ソロモン・アラビ

 まだリーグ全体で試合のペースが遅かったこの時代、216cmの長身を生かしたポストプレーとリムプロテクトは機動力のなさを補って余りあるほどで、平均18.1得点はB2全体5位、FG成功率53.2%はB2全体4位、そして平均13.1リバウンドはB2全体1位と大活躍しました。
 また、ビッグマンとしてはFT成功率が76.2%と比較的高確率だったため、高さで対抗できないチームはファウルで止めることもできず、ゴール下で完全に主導権を握ることができました。
 同地区のライバルだった西宮がシーズン中にウィル・クリークモアとの契約を解除して216cmのジョーダン・ヴァンデンバーグと契約したのは、アラビを意識しての動きだったように思います。それほど、FE名古屋だけでなくB2全体に影響力のある選手でした。

印象に残った試合

vs西宮ストークス(2017/4/30)

 前日のGame1に敗れてしまい、この日も負けると目の前で西宮ストークスの中地区優勝が決まるという絶対に負けられない状況となったFE名古屋。
 この日は、第1Qからキャプテンの神津祥平が積極的なオフェンスでチームをけん引しました。また、第2Qに入ると今度はロドニー・カーニーがこのQだけで15得点を上げる活躍を見せ、点差は一気に20点に。
 一方の西宮ストークスはとにかくアウトサイドのシュートが入らず、ジョーダン・ヴァンデンバーグが何とかオフェンスリバウンドを拾って得点をつなぎます。
 第3Qに入ると、西宮ストークスも松崎賢人、谷直樹、道原紀晃の西宮三銃士が中心となって追い上げを図りますが、FE名古屋の勢いを止めるには至らず。第4Qには再びFE名古屋がこの日好調の3Pを次々と沈め、最終的には24点差での快勝となり、ホームの最終戦を飾りました。

2017-18シーズン編へ→

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