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祖母の認知症日記


夏に引っ越しをした。
祖母は生まれてから一度も出たことない故郷を捨て、半介護の為に我が家も大きな一軒家に引っ越し、同居となった。

私は元々祖母が苦手だった。
絶対に自分は悪くなく、素直になれず、すぐにジロリと睨む。

祖母には趣味が全くない。
ゾッとする程に趣味がない。

趣味もなく、知らない土地に住むことになった後期高齢者が必ず迎えること。

認知症である。

今頃は毎日のように「○○がなくなった、誰かが盗んだ、誰かが捨てた」と睨みつけてくる。大概の犯人は嫁である母か、娘である姉と私のせいだと言いたげに睨みつける。

言い出す曜日や日付もめちゃくちゃになってきたし、天気も外れている。毎日ベッドから動かずテレビしか見ていないのに、何故外すのか、認知症だからか、とひとりごつ。

我々を疑ってそれだけならいいのだが(よくないけど)、私の叔母に当たる実の娘に毎日のように電話をかけ、「孫たちが私のお金を盗んでいる、寝ている間に忍び込んでいるのを見た、窓から入ってきた、泥棒とは一緒に暮らせない」等泣きついているらしい。

奇遇ですね、私も泥棒扱いしてる人とは暮らせないと思ってた所ですよ、と鼻で笑いたくなる。
因みに窓はフェンスから30センチも離れてないので、そこから入れるのはネコくらいである。

そういうことも考えられなくなるのが認知症なのかな〜、他人のせいにできればそれでいい元の性格からかな〜なんて鼻をほじっているが。

正直、この暮らしは長くないだろうなと考えている。ケアマネージャーさんには心を許している祖母が「この家を出たい」と泣きついているらしく、ケアマネさんは我々の心境を察してホームの入居を勧めてくれているからだ。

祖母のことなんてどうでもいいよ。つーか私の身が持たないっつーの。

ケアマネさんは凄腕の方なので、あの祖母を宥めてくれている(マジで凄い)。

さて、どうなるかな。
明日はピーカンだとアプリは言っていたが、祖母は雨だと言っていた。明日は日曜日らしい。

祖母に限界が来るのが先か、我々がイカれるのが先か。

嫌なデスゲームだ。





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