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《スープの日》と聞いて思い出す、新人CA時代のフライト&アナウンスを振り返る

こんばんは。寒い日が続きますね。

気がつけば今年も残すところあとわずか。

冬休みに突入する学生さん、仕事納めが近づく社会人の方、クリスマスや年末年始の準備でお忙しいお父さんお母さんなど…

街を歩いていてもどこか行き交う人々の足並みが軽く、笑顔の方が多いような気がしました。

本日、12月22日は「スープの日」

ということで、スープの日にまつわる私のフライト中の思い出をお話ししたいと思います。

日系の航空会社では特に客室乗務員として働いていると、日々のフライトの中で「今日は何の日だろう?」と意識することが癖になります。

乗務していた日系航空会社の国内線では、多くて1日4便乗務することもあり、基本的なアナウンスに加えて、毎便、フライトごとにお客さまの様子を見ながら、アナウンスにオリジナリティを出すことが許されていました。

そのため、お客さまにきちんと伝えなければいけない安全や保安に関わるアナウンスなどを実施したうえで、最後にアナウンスの内容を少しずつ変えて、気持ちをお届けするという工夫をしていました。

自分がお客さまとして飛行機に乗るとよくわかりますが、運航乗務員やCAの方のアナウンスって、実はかなり耳を澄ませて聞いてしまいます。

機内のオーディオが機内アナウンスを優先させるシステムであることの他にも、耳栓をしていたとしてもアナウンスが流れると「重要な情報だから聞かなきゃ」と思ってくださる方が多く、お客さまの様子を見ていても傾聴してくださっているなーと感じることが多かったです。

そんな中で、とても役に立っていたのが
「今日は何の日カレンダー」

その名の通り、「今日は何の日なのか」が記載されたカレンダーです。
(「今日 何の日」などとネット検索するとすぐに出てきます!)

そのカレンダーをもとに、乗務前の準備時間に今日が何の日なのかをあらかじめ調べておき、フライト中にお客さまの様子を見ながら「この話題についてお伝えしよう」と、アナウンス内容を考えていました。

そして、新人時代の今日、12月22日。

大寒波到来のため、その日もとても寒く、北海道や東北地方便などは雪の影響でダイバートするかも…なんていう心配もありました。

そんな中、雪降る千歳に無事に到着した私たちの便。

アナウンス担当だった新人の私は、緊張で若干震える手でアナウンスを始め、「スープの日」であることに触れながら、

年末年始でお忙しい方が多いので、どうか体調を壊さず温かいスープで心身ともにあたたかくなって欲しい

との思いをお客さまにお伝えしました。

今振り返っても、つたなく聞きづらいお恥ずかしいアナウンスだったかと思います。

声が震えていないか、
大きすぎてお客さまの耳障りではなかったか、
言葉に少し詰まってしまい聞きづらかったのではないか、

そんな思いで、私の耳はおそらく真っ赤だったと思います。

機体が到着し、反省いっぱいの気持ちでお客さまをお見送りしていた私。

そこに、一組のご年配のご夫婦が近くまで来られて、

「アナウンスすごくよかったわ。あなたたちも風邪ひかないでね」

と、笑顔でインスタントの玉ねぎスープを乗務員の人数分持ってきてくださりました。

降機中の一瞬の出来事でしたが、心が温かくなり、1日の疲れも吹っ飛んでしまうような気持ちになりました。

ベテランでアナウンスも上手な先輩がたを差しおき、僭越ながら新人でアナウンス担当を務め、「お客さまに思いを伝えたい」と思っていた私。

お客さまの心を温かくするどころか、お客さまに温めていただいたと、今でも忘れられない出来事です。

あのご夫婦は今年も温かく過ごされているのか、「スープの日」が来ると毎年思い出してしまいます。

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