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同人アンソロジーを企画したいあなたへ

世の中の同人作家のみなさん、こんばんは。翔夜です。
「色んな方の〇〇が詰まったアンソロジーが読みたい!!!」
そう思ったことはありませんか。では、主催しましょう。この記事は長いので、背中を押すための前置きは割愛します。さっさと主催しましょう。

というわけで、僭越ながら同人アンソロジーを主催するためのノウハウ記事を書かせていただきます。悩んでいるどなたかの手助けになれば幸いです。

0. 配布テンプレート

はじめに、以前のアンソロジー企画で使用した書類を簡単にテンプレート化したものを配布します。著作権は放棄しますので、自由に改変していただいて結構です。クレジット表記も不要です。

アンソロジー原稿提出フォーム
https://forms.gle/cnLBLbX7Lr6hafeCA

1. アンソロジーの企画書を作成する

企画書というくらいしっかりしていなくていいんですが、まずは必要事項を決めましょう。参考までに、前回のアンソロジーの際に作成した企画書のpdfを掲載しておきます。

最初に決めなければいけないことは、たった3つ。アンソロジーのテーマと、発行スケジュールと、執筆者の募集方法です。

1-1. アンソロジーのテーマ

当然ながら、これがなければ始まりません。カップリング限定のアンソロジーから、シチュエーション(性癖)限定のアンソロジーまで、様々なバリエーションがあります。好きに決めてください。
あなたの望んだ通りのアンソロジーがこの世に誕生するのです。

1-2. 発行スケジュール

(1)発行予定日を決めよう
スケジュールの中でも、「いつ発行するか」ということが一番重要です。他のスケジュールはそれから逆算して立てていきます。
個人的には、企画立ち上げから発行まで半年程度用意しておくと、主催者も執筆者も余裕ができて良いと思います。ですが、ジャンルや界隈の勢い等もありますので、柔軟に決めてください。2、3ヶ月でも作れます。

(2)入稿予定日を決めよう
次はアンソロジーの入稿予定日を決めましょう。アンソロジーの仕様が決まっておらず、印刷所の締切も出ていない段階で決めるのは難しいと思いますが、そこは余裕を見つつ、一旦ゴールラインを設定してしまいましょう。早割も勘案すると、大体は発行日の1ヶ月前くらいになるかと思います。

(3)原稿の提出締切日を決めよう
最後に執筆者の皆さまに原稿を提出していただく締切日を決めます。主催者の忙しさにもよりますが、入稿予定日の1ヶ月前くらいにしておくと、それなりに余裕ができます。原稿の提出が遅れた方にも十分対応できますので。

1-3. 執筆者の募集方法

公募制(オープン)か、依頼制(クローズド)か。かなり悩む部分だと思います。どちらにもメリット・デメリットがありますので、簡単にご紹介させていただきます。

(1)公募制(オープン)
より幅広い方に執筆していただきたいならこちら。新たな同志の方に巡り逢うこともできます。界隈が小さくて(テーマが特殊で)声をかけられる人が少ないという場合も公募が相性がよいです。
デメリットは(失礼を承知で申し上げると)誰が来るかわからないということです。「原稿のデータの作り方を知らない」「途中から音信不通になる」「問題のある原稿(無許可でのトレースや剽窃など)を提出してくる」といったケースもありますので、そういった場合も冷静に対応できるよう心の準備をしておいてください。

(2)依頼制(クローズド)
「〇〇さんや〇〇さんが書かれる〇〇が見たい!」という方はこちら。公募制の欄で述べたようなトラブルが少ないので、初めて主催する方にはお勧めです。実際に寄稿依頼を差し上げるのは非常に緊張しますが、一生に一度の機会ですので、執筆をお願いしたい方がいるなら勇気を出しましょう。

(3)複合型
外から見ているとわからないんですが、実際は結構あります。公募制だけれども、一部の人には主催から声がかかっているという案件。企画発表以前に、知り合いに根回しをしておくケースもあります。完全な公募制よりはバランスが取れて良いかもしれません。

2. 原稿の仕様を決める

では、執筆者様を募集(または依頼)するにあたって必要になる、原稿の仕様をまとめたものを作りましょう。
原稿はイラスト、漫画、小説など、様々な形式があります。字書きの方は漫画の形式がわからない、絵描きの方は小説の形式がわからないという話をよく聞きますので、一番オーソドックスなものを例示しておきます。
※そのままコピペして利用してくださって結構です。改変も自由です。

2-1. 基本的な仕様(例示)

(1)カラー原稿(イラスト・漫画)
原稿サイズ:A5サイズ+塗り足し3mm(横154×縦216mm)
※B5サイズであれば横188×縦263mm
カラーモード:CMYK
解像度:350dpi
データ形式:PSD形式(画像統合済)

(2)モノクロ原稿(イラスト・漫画)
原稿サイズ:A5サイズ+塗り足し3mm(横154×縦216mm)
※B5サイズであれば横188×縦263mm
カラーモード:モノクロ2値orグレースケール
解像度:600dpi
データ形式:PSD形式(画像統合済)

(3)小説原稿
原稿サイズ:A5サイズ(塗り足し不要)
段組:2段組、フォントサイズ9pt
データ形式:PDFまたはPSD形式
ノド側の余白は20mm以上にしてください。
PDF形式の場合、フォントは必ず埋め込んだ状態で提出してください。

ここで、いくつかの予想されるご質問にお答えしましょう。

「印刷所のテンプレートは指定しなくていいの?」
専用のテンプレートでないと入稿できない印刷所以外は、指定しなくて大丈夫です。書き出しのサイズだけ指定してもらえば、絵描きは対応できます。

「小説原稿はもっと細かく指定しなくていいの?」
様々な要項を拝見していると、アンソロジーの体裁を整えるために小説の段組(行数や文字数)が指定されている場合が多くあります。個人的には、字書きにとって段組やフォントは重要な表現方法の一部なので、段組はお任せにしていただけた方が嬉しいです。ですが、レイアウトは統一されている方が嬉しい、といった意見もたくさんありますので、この点は主催者さまの美意識によるところだと思います。

2-2. 決めておく必要があること

(1)原稿の禁止事項

例)女体化、人外化、猟奇表現はNG(鼻血程度の流血表現はOKです)

女体化や猟奇表現はNGなど、主催としてアンソロジーに掲載したくない内容がある場合は、できる限り丁寧に細かく書きましょう。執筆者様の作品を尊重するためにも、非常に重要なことです。提出段階で認識の相違が発覚すると、お互いが不幸になります。

(2)執筆者様への謝礼

例)完成冊子+ノベルティ一式+薄謝

依頼の際は、礼儀として謝礼をきちんと明示しておいた方がよいです。
謝礼は「アンソロジー完成品(+ノベルティ)」が基本だと思います。プラスアルファとして薄謝がある場合もありますが、そのあたりはジャンルの規模(アンソロジーの部数)や、主催者さまの意向によります。

(3)コメントカット

例)原稿と一緒に、コメントカットの作成をお願いします。
・原稿サイズ:(カットの掲載ページをイメージした上で決定します)
・カラーモード:モノクロ2値orグレースケール
・解像度:600dpi
・データ形式:PSD形式(画像統合済)or PNG形式
※カットにはコメント、イラスト等、自由に記載してください。
※お名前につきましては、欄外に別途記載させていただきます。

大抵のアンソロジーでは、原稿と一緒にコメントカット(よく巻末に並んでいるやつです)の提出を依頼されます。カットの作成要領も原稿仕様と一緒にお知らせしましょう。
字書きさんの場合はカット画像作成が難しく、相談される場合があると思います。その際は主催がお手伝いしましょう。それが一番早いです。

(4)寄稿作品のお取り扱い

例)寄稿作品の著作権は全面的に執筆者さまに帰属します。
(1) 原稿の前半部分(ページ数にして1/2の分量)につきましては、告知・宣伝のため、アンソロジー発行前でも自由に掲載していただいて構いません。
(2) アンソロジーの発行から1年半が経過した後は、同人誌やwebへの再録は自由にしていただいて構いません。報告も不要です。

これ、書かれていないことが多いんですが、著作権に関する重要なことですし、トラブル回避のためきちんと決めてお知らせした方が良いです。主催側と執筆者で認識が違うことも多いので。お互いのためです。

2-3. 決められていると親切なこと

(1)原稿ごとの区切りの明示

例)原稿の1ページ目には、お話のタイトルと執筆者さまのお名前を記載してください。
原稿の最後には、「終」「END」「Fin.」等、エンドマークを表記してください。

アンソロジーの寄稿依頼には、上記のような内容が指定されている場合が多いです。何もないと、アンソロジーになった際に、作品ごとの区切りがわかりづらくなってしまう場合があるからです。
当然ながら、どのように編集するかにもよりますので、必須ではありません。アンソロジーの完成形をイメージした上で決めてください。

(2)ノンブル(ページ番号)

例)原稿は、ノンブルのない状態で作成してください。
編集の際に、主催側でノンブルをノド側に追加させていただきます。

ノンブルはどこに付けるか先に言っておいていただけると、絵描きとしてはありがたいです。絵描きさんはノド(見えにくい)側にノンブルを入れることが多いですが、アンソロジーなので読み手としては小口(見えやすい)側にノンブルがある方が嬉しいというジレンマ。
私が主催した際は、「基本的には小口側に入れます。隠しノンブルを希望される場合はお知らせください」という選択方式にしました。

(3)提出方法

例)原稿提出フォーム:https://forms.gle/cnLBLbX7Lr6hafeCA
・すべてのファイル(本文及びコメントカット)をzip形式に圧縮した上で、firestorageやGigaFile便等のファイル転送サービスを利用してお送りください。※ アップロードの際、パスワードの設定を強くお勧めします。
・個別のファイル名は「ページ番号_ハンドルネーム.拡張子」としてください。PDFの場合は「ハンドルネーム.pdf」で構いません。(例:01_shoya.psd、shoya.pdfなど)

提出方法は記載されていると親切です。個人的には、googleフォームを利用して必要事項とともに送信していただくのが非常に便利でした。
漫画原稿は容量が非常に大きいので、ファイル転送サービスを利用する方がよいです。ファイル名もあらかじめ指定しておくと、執筆者側も考えなくて済みますし、編集も楽になるのでお勧めです。

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以上、まだまだ語り足りない部分もありますが、アンソロジーの企画方法についてざっくりとお話させていただきました。最後までご覧いただきありがとうございました。
少しでもあなたの創作活動のお力になれれば幸いです。良き同人ライフを!

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