地域・教育魅力化プラットフォームメンバーインタビュー vol.1_黒谷直子さん
経営管理やファンドレイズなどで、地域・教育魅力化プラットフォーム(以下、PF)全体の土台を支える黒谷直子さん(通称:たにこさん)。「ワクワクする気持ち」を大事にしながらも、紡ぎ出す言葉の節々から柔軟性と強さを兼ね合わせた人柄が感じられるたにこさんに、今回お話を伺いました。
黒谷直子さん
《プロフィール》
1981年3月12日生まれ。島根県出雲市出身。1999年に島根県立大社高校を卒業し、神戸大学国際文化学部地域文化学科に入学、大学4年間は、応援団の活動に心を注ぐ。2003年コナミスポーツ株式会社に営業管理スタッフとして新卒入社。大阪(店舗マネージャー3年、支店長2年)、東京(経営改革推進チーム兼務、マーケティング部)、川崎で勤務する。2015年に学校法人日本教育財団首都医校(医療系の専門学校)へ転職し、学生の就職支援や入学相談を担当する。2021年にPFへ転職し、22年ぶりにUターン。趣味はパン作り、好きなものは鉄道と歴史。
目次
▼PFに入るまで
▼PFに入った経緯
▼PFに関わり続ける理由
▼今後の夢について
▼最後に
▼PFに入るまで
- はじめに、これまでのご経歴について伺いたいです。
大学卒業後、新卒でコナミスポーツに入社しました。自分自身と向き合う中で、大学時代に熱中していた応援団での活動を通じて「人を励ますこと」「人を元気にすること」が好きで自分の喜びにつながると気づき、その気持ちを大事にできそうだと思い、入社を決めました。1社目では、社内スタッフの接客接遇研修も担当して、「人に伝えること」「人に魅せること」を特に頑張っていました。具体的には、講師として、スタッフに伝えたいことを言葉だけでなく、自ら実践し背中を見せることを意識していました。また店舗の支店長も経験させてもらって、ヒト・モノ・カネの経営資源管理を任されたこともあり、そこで経営者の孤独感も味わいながらも、スタッフから支えられていることも実感しました。その後、本社での勤務も経験しましたが、今振り返っても自分のベースになっているのはひとつのお店で、「みんなでどんな状況も乗り越える」ことの大切さを学びました。
(大学時代の応援団時の写真)
- その後、2015年に医療系の専門学校に転職された背景について伺いたいです。
1社目で学んだことはたくさんあるのですが、店舗勤務を継続していくうちに、お客様やスタッフに「こんにちは」や「お疲れ様です」を言い続ける日々になっていることにふと虚しさを感じることが多くなっていきました。女性登用が積極的になっていく流れもありましたが、自分としてはそこに乗っていくことは「なんか違うな」と思い、転職活動を始めました。当初は、教育業界に行こうという気持ちはなかったのですが、たまたまエージェントから紹介された専門学校の選考に進みました。1社目で培った顧客管理などのスキルを活かせそうだと感じ、また面接でお会いした職員の方と「一緒に働いてみたい」と思えたことが決め手となって、医療系の専門学校に転職しました。
(東京のど真ん中で働かれていた際の思い出の1枚)
- 2社目ではどのようなことをご経験されましたか?
学生のキャリア支援やカウンセラー、求人を出してくださる病院との交渉、体験入学や個別相談会のようなイベント企画などを担当していました。私が勤務していた学校の学生さんの年齢層は10代~50代までと幅広くて、多種多様な話を聞くことは面白かったです。1年間で100人くらいの学生さんを受け持っていました。その中で、希望する病院や施設から内定を貰える学生は「自分のストーリーをしっかり語れる人だな」ということに気づき、そういうストーリーを引き出せるような面談を意識して行っていました。
▼PFに入った経緯
- 異業界でも「人の背中を押す」ということが通じているように感じられますね。専門学校で6年ほど勤務された後、2021年にPFに転職された背景はどういったものだったのでしょうか?
2017年に朝日新聞のSDGs記事で取り上げられていた島根県海士町の記事にビビっときて、Facebookページのフォローを始めました。転職を考えていたタイミングでちょうど採用イベントがあり、そこで尾田さん、奥田さん、辻田さん、長島さんと話したことが最初のPFとの接点でした。
実は2社目にいる時に手術を経験して、その後島根の実家で過ごしている中で、これからの働き方について熟考していました。また、入院や治療生活が続き、仕事が行き詰まってしまうこともあったので、上司と話して「辞める」決断を先にしました。転職先を考えるにあたり、2社目で教育(育成)の力の凄さも実感し、教育への関心が高まっていきました。あとは、やはり島根出身ということもあって、いずれは地方に行きたいという思いはずっと持っていて、特に東京五輪までには東京を離れたいと思っていました。島根ありきで転職を考えていたわけではなかったのですが、地方で働くことも視野に入れていました。そんな中でFacebookでPFが採用を行っていることを知り、そのまま選考に進みました。実はそれまでも何度かPFの求人をチェックしていて、「ここの組織と関わる方法ないかな」と思い続けていたんですけど、先に辞めることを決めて「自分が持っているものを手放したら、入ってきた」という感覚でした。ご縁ですね。PFの採用面接を受ける過程で、一緒に社員の方と食事にも行って、「この人たちと働きたい!」という気持ちがどんどん強くなっていったことを覚えています。
(日本海の夕日。2015年、コナミ退職後の有休消化中に地元出雲市で撮影)
- タイミングがすごいですね!たにこさんが感じた「教育の力」ってどういったものでしたか?
そんなにポジティブではないのですが、2社目の専門学校で、都市部で受験戦争で上手くいかなかった人たちを見てきました。でも、そういう学生さんのお話を聞いていると、すごく優しい人柄で、学校での勉強じゃないところでも活かせるところはあると感じました。そういった「勉強」というひとつの物差しだけで心が折れてしまう社会に疑問を抱いたところから、「教育の力」に関心を持つようになりました。
- ありがとうございます。とはいえ、知り合いのいない組織に飛び込むことは勇気が要ることだと思うのですが、どういう心境でしたか?
私はたまに豪快さが出るんです(笑)。「自分で考えて、自分で決める」ことを大切にしています。だから、時に自分がやりたいことに向き合って、必要な環境があれば飛び込んでいきます。
▼PFに関わり続ける理由
- まず、現在担当されている経営管理やファンドレイズの具体的な内容について伺いたいです。
経営管理は、いわば「守り」の部分です。PFにはやりたいことを持ってどんどんやっていく人達が多いので、それをしっかり地に足をつけてできるように裏側で支えたり、この組織が組織であるために必要なことを考えて守っていったりすることです。ファンドレイズは、「いかに外部の人たちから共感を集めてそれをPFのエンジンにしていくか」を考えて実行に移していきます。経営管理の方は、1社目でやってきた経験を活かせるところではありますが、非営利組織ならではの難しさは日々感じています。ファンドレイズは、PFで初めて知った言葉だったのですが、要は「ファンづくり」だと認識しています。私自身、今まで人を応援することが好きでやってきたので、「自分の得意と繋がっている」という感覚を持てていますね。
- では、PFに関わり続けている理由を伺いたいです!
出身地である島根から公教育の変革を巻き起こそうとするPFの取り組みに共感したからです。また、「島根にこんな面白い人たちがいるんだ」と知って、自分もそんな1人になれたらいいなという淡い期待もあります。この組織の、ビジョン達成に向けての求心力や、今までの人生で出会うことがなかったであろう人たちと関われる多様性、そして何よりもいつも笑いが絶えない癒しの場所であるというところが好きで、関わり続けています!
▼今後の夢について
- たにこさんの今後の夢を教えて頂きたいです。
ワクワクする気持ちをエンジンにする意志ある若者たちがあふれる地域・日本をこの目で見ることです。小さい目標は、「こんな生き方もあり」というモデルとして自分の在り方を発信していくこと、「インスパイアする」ことをやりたいです。そのためには、自分自身が良い状態で人にエネルギーを渡せるくらいの状態じゃなきゃいけないと思うから、この仕事を通じて自分のエネルギーを高めていきたいし、そんな私の姿を見て、私に関わる周囲の人みんなを元気にしていきたいです。
▼最後に
「人を応援する」ことから現在は自らがロールモデルとなるという目標を掲げて、挑戦し続けるたにこさん。いつもは落ち着きのある雰囲気でPFに安定感を与えてくれていますが、その内に秘められた情熱が素敵でカッコいいですね!
《インタビュアー:成田知世》
青森県出身、大阪大学人間科学部4年。高校までは剣道に打ち込み、大学では教育社会学を専攻する。課外活動として高校生向けリベラルアーツサマースクールの運営及びメンター活動に2年間従事し、途中でアメリカやフィリピンに休学留学をする。PFでは社会資源プロジェクトチームで活動中。好きなことは読書(お気に入りは西加奈子さんと中村文則さん)、ボクシング。
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