海のピ。 #毎週ショートショートnote

「えーっと、プだったっけ？あれ？ぺだったかな…」
「ピでしょ、ピ。海のピでしょ、お父さん」
「あー、それそれ海のピだわ。あれはさ、焼くと美味いんだよなぁ」
「そうそう、両面に焦げ目がつくぐらいしっかりめに焼くとね、想像するだけで香ばしい香りがたまらない。よだれが出そう」
「おいおい、よだれ垂らすなよ。しかしさ、焼くのも良いけど、煮ても良いし、そのまま食べるのもありだし、本当に万能だよな、ピ。」
「本当よね。海の三冠王の異名は伊達じゃないわね」
「いや、もはやメジャー級だよ」
「最近は乱獲だったり温暖化のせいで、量も獲れないから高級品になっちゃったなぁ。昔は一枚100円で買えたのに」
「前は特売もやってたけど今は下手すると500円とかするからな」
「あらおじいちゃん、どうしたの？」
「あのさ、アレなんだったかな。あのパじゃなくて、ポでもなくて…」
「おじいちゃん、それはピよ。海のピですよ」
「おー、そうじゃったのう。ピじゃったピじゃった」