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マリリンと僕

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小説『マリリンと僕』をまとめました。
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2022年6月の記事一覧

マリリンと僕24 〜風に吹かれて〜

マリリンと僕24 〜風に吹かれて〜

山村さんから電話があってから2日後の朝、僕はホテルのベッドの上にいた。横には裸の山村さんが寝ている。僕もやはり、裸だ。

自分でも状況がつかめず、昨日のことを思い出そうとしたが、何か考えようとすると脳に鋭い刺激が走り、思考が強制停止させられた。どうやら二日酔いということだろう。

少しずつ断片を繋いで、記憶を辿る。

2日前、菅原と会った後に山村さんから着信があった。マリリンの出て来た夢が脳裏をよ

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マリリンと僕23 〜夢の中のマリリン〜

マリリンと僕23 〜夢の中のマリリン〜

まだ陽が昇り始めていない午前5時頃、ふと目を覚ますと、既に絵莉の姿は無かった。そして、テーブルの上には千切ったメモ用紙が置いてある。“ドラマ、がんばろうね”とだけ書かれていた。

一か月前に会った時と同じようで、その実全く状況は変わっていた。ドラマの話をもらえたこともそうだけど、まさか絵莉と共演することになるとは思わなかった。

絵莉は僕から“幸運のお裾分け”をしてもらったと本気で思っているのだろ

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