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マリリンと僕

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小説『マリリンと僕』をまとめました。
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2022年4月の記事一覧

マリリンと僕 20 〜don't think.Feel.〜

マリリンと僕 20 〜don't think.Feel.〜

翌日、僕は阿佐ヶ谷でランチをしていた。正面に座っているのは山村さんだ。さんざマリリンに注意してもらったのに、午前中の電話で「仕事だし」ということで会う約束をしてしまった。

山村さんは今日も20分程遅刻をして、阿佐ヶ谷駅の階段を猛ダッシュで駆け降りて来た。冬なのに汗だくで、ハァハァと息を切らしている。そんなに焦らなくてもと思いつつ、見た目の綺麗さと行動のギャップに、可愛い気を感じてしまう。白いニッ

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マリリンと僕19 〜転がる石のように〜

マリリンと僕19 〜転がる石のように〜

マリリンは、どう話せば良いのかと、少し考えてから話を始めた。

「んとなぁ、兄ちゃんなんとなくわかってるかも知れへんけど、オカンて、ばあちゃんと全然似てへんやん」
マリリンの母、真里亜さんはモデルのようなスラっとした美人(今風に言えば美魔女とでも言うのか)で、祖母の真里子さんはマリリンにそのまま加齢したような、服装まで含めて“奇抜”と言う表現がしっくり来る、ずんぐりむっくりな個性的な女性だ。

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