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運転しなくても身分証になるから

私、いい歳して車の免許を持っていないものでして、よく身内や友人から早く取るよう催促されます。

だが免許を取ることなんて毎度毎度、断固として常に否応である。

だって取りたいと思わないんだもん。車運転しなきゃ他人を殺さない人生が確定するようなものだし、車の維持費は高いし、自動運転技術は日進月歩発展しているし、取ってもどうせペーパーになるだけだし。

かくも理由をたくさん述べると免許所持者は必ず口を揃えて言う。

「運転しなくても身分証になるから。」

合宿なら2週間をかけ、ほどほどに勉強をして、おおよそ30万円程の金を支払い、身分証を貰いに行くと言うのだ。それはそれは紛れもなく徒費であり、なんともミスマッチではないか。

そんなの美容院でスネ毛を剃ってもらうようなものだし、真夏にヒートテックを着て、真冬にエアリズムを着るくらいミスマッチだ。
加えて、餃子をケチャップに付けて食べるようなもの。
お風呂で裸になって自分の身体全体にファブリーズを吹きかけるようなものだし、蝉を一番大切なペットにするようなもの。
冷戦下のアメリカでロシア語を勉強しに語学留学するようなもの。
ノーアウトランナーなしで9番投手の打者を敬遠するようなもの。
EXILEに憧れてクラシックギターを習うようなもの。
箸でレトルトカレーを食べるようなもの。
シルク100%の高級スーツを召して自宅から13メートル先のコンビニで、うまい棒サラミ味1本だけを買うようなもの。
大阪で広島焼きを食べるようなものだし、赤い金魚にポチと名付けるようなもの。
あるいは広島東洋カープのユニフォームを着て闘牛場へ行くようなもの。
エスプレッソのコーヒーでお米を研ぐようなもの。
竹野内豊になりたくて髭脱毛に通うようなもの。
早慶戦で母校の町立中学校の校歌を歌うようなもの。
結婚式で新郎が髭男の「Pretender」を熱唱するようなもの。「君の運命の人は僕じゃない〜」つって。新婦へのアイコンタクトも忘れずに。

しかし、免許所持者はこんなことを僕に言うのである。

「え、モテたいんでしょ?」
「結婚したくないの?」

うん。モテたい。結婚に憧れはある。

それなのに免許を取らない僕が彼らからしたら一番のミスマッチのようである。

まあ一生チャリ免でいいけどね。
「乗ってく?(ママチャリのサドルの後ろの金属の棒を指差して)」レイバンのサングラスをして。ドヤ顔で。
初対面の人に「趣味は?」と聞かれて「ドライブです」と、サイクリングのことをドライブと呼んで。







「押すなよ!理論」に則って、ここでは「サポートするな!」と記述します。履き違えないでくださいね!!!!