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シェフから主夫になり鯖の辛味噌煮作りました。No I’m not Tyrant, you know.

いや、いかん。記事を書くつもりでnote開けたら他の人の投稿に読み耽ってしまった。
夕食の準備せなあかん。買い物もまだや。
全てはコロナで職場休業、自宅待機中。この数ヶ月前からはじまった。お給料いくらかいただいてありがたい日々。

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 しかし何もする事がない。丈夫な身体を持て余し、なお今まで休まずキッチンに立っていた自分にやれることは料理しかない。家族はみんなそれぞれ学業、アルバイト、フリーランスのお仕事で忙しい。

 ならば自分のなかで春夏秋冬不動にそびえ立つ富士山のような、この料理への自負とそのよろこび。

 よし、ご飯作ったる、任せといてんか。

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 ブロッコリーの茎というかステムは皮をむいたらとても歯ごたえも良くいける。
主役の花の部分を塩茹でしたそのままのお湯に十秒くらいつけて冷やし、包丁のエッジと指のあいだに皮を挟み込みそのまま下ろすとバナナのように皮は剥けます。

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 夕方割安になっていたパックの鯖。開けて薄塩降ってしばらく置く、生臭みが抜ける。
沸かしたお湯をかけて冷水に浸しぬめりなんかもとる。

 この時背びれとかエラビレとかはずしてやる。優しい手の出番です。ブロッコリーの皮とか、鯖のパックのスポンジとか生ゴミはポリエチレンの袋に乾かしたコーヒー滓といっしょに縛ってゴミバケツへ。

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 煮切った酒、みりん、味噌に今日はコチジャンを入れよう。飲みかけのほうじ茶も少々、職場ではやらないけどね。砂糖は加減を見てあとから入れよう。洗い米は鍋に移してそろそろご飯も炊こう。

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 以前、休みの日に料理をすると、ワーイだの、ありがとうだの、やったーだの、何時ころ食べるの、だの反応があり、食べている時は美味しいとか、おかわり欲しいとか、期待通りの
風景だった。

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 煮汁の味が決まったら薬味に生姜、特売のみょうが、残しておいた葱の端っこを入れてひと煮立ち。先程霜降り、お湯に通した鯖の水分を拭き取ったペーパータオル忘れてた、さっきのポリエチレン袋をゴミバケツから出して入れる、要領悪いな。

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 海腹川背の基本通りに煮立った鍋に魚を入れて身を固めちょっと火が入ったらひっくり返す、優しい手が必要です。

 ひっくりかえした魚にゆっくり優しく火を入れる、柔らかく味が魚に染み込んでゆくように、見守るように煮汁も身にかけてやる。

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 もうすぐ出来上がる。ちょっと前まではご飯できたぞ、というとみんなすぐに集まってきた。しかしいまや、
オンライン中やとか、友達と話しているとか、ズーム会議中やとか、バイトで居らんでとか、なんと!、いまお腹減ってないし、あとで食べるわ。などと、目の前の風景は氷の世界がひろがる。おれはここにいるぞとわが猫はいうが。

作った夕食を一人で食べた宵もある。

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 良い匂いもしてきて良い感じに煮えてきた。この良い感じは大事なんだけど、間違える事も多い。

 良い感じは料理によく使う言葉だけど、自分の経験上の予想のプロセスで素材に対しての決めつけとか思い入れ、思い込みと同じようなもので、良い感じはけっこうあてにならない。

 自然のものを素材として料理する時、今迄と同じとか、こうあるはずとかの経験はやっぱり決めつけ、思い込みなのでそのときの素材はあるがままの特徴を持っていて、微妙に違う個性を持っている。

 その素材のその日の個性を引き出すのではなく、自分の思ういつもの良い感じを出そうというのは、失敗する事多いです。

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 まあ、考えてみれば休みの日に作った食事は、早よ来い、冷める早よ来い、ああやこうやと食事至上主義やった。

 食べ終わったら早よ片付けろ、テーブル拭いて、食器拭いてとうるさい親父やった。ああせいこうせいのうるさいおやじやった。

 ときには、外大国際関係専攻のわが息子、だまってこちらを見る目が Hey, you are really Tyrant .are`nt you ? と言っていたかもしれない。
 暴君と言われて思い当たる事はいっぱいあるな。

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 さて、煮上がった魚をブロッコリーと一緒に盛り付けよう。見映えも美しく、見た目は大事や、ルッキズムとはちょっとちゃうでと、娘と交わしたこの間の会話を思い出す。

 さあ、出来たぞ!みんなを呼ぼう。スマホさがして、ご飯出来ました。とラインを送る。
階段を降りてくる音がする。

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猫は you are Tyrant buddy .ニャーと言ってこちらをみる。



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