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本が好き

以前、デイサービスで本屋をやりたいという話を少し書きました。
軽い雑談のつもりから生まれた話でしたが、あれから、本屋運営も現実的なものとして視野に入れて考えています。

今回は、本・本屋に対する私の情熱(?)について書いてみます。
本好きな方もそうでない方もぜひ!


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思い返してみれば、物心ついた頃にはすでに、本が好きだったように思います。

小さい頃は元気いっぱいの騒がしい子どもで、外で遊ぶのが大好きでしたが、雨の日には幼稚園のひと気の少ない図書室で絵本を選んでいた記憶があります(遊びに入れてもらえなかったわけではないはず…)。

小学生になっても、長い休憩時間にはやはり外を走りまわっていましたが、授業の合間の5分休憩、「課題が終わった人から自由にしていい」時間、帰る準備を済ませてホームルームが始まるまでのちょっとした時間など、隙を見つけては机に入れている本を読み進め、次の本を求めて、週に何度も図書室を訪れていました。

母に連れられて、公共の図書館にもよく行っていました。
本好きになったルーツは、ここにあるかもしれません。幼い頃から、習慣的にたくさんの本に触れる機会を与えてもらったおかげで、自然と本が身近なものになったのかも。
家にあった本や絵本は決して多くはなかったのだけど、図書館ってありがたいですね。
図書館での居場所は、絵本や紙芝居などが並ぶ子ども向けにつくられたカラフルな一角から、やがて児童文学のコーナーへと移っていきました。中学生くらいになり、大人に混じって背の高い棚から本を選ぶようになった時には、なんだか誇らしい気持ちがしました。

中学・高校と進学するにつれ、勉強や部活など忙しさが増していき、大学生ともなると、自由な一人暮らしにサークル活動、遊びや飲み会、アルバイト、それにもちろん専門的な授業や試験など、さらに世界が広がっていきましたが、本を読むことから離れた時はありませんでした。

それまでは専ら学校の図書室や公共の図書館を利用していましたが、社会人になりお給料をもらうようになってからは、少しずつ好きな本を買い集めるようになりました。
今では本屋へ行くたび何かしら買ってしまうので、未読の本たちの山がどんどん高くなっていきます…。だけど、話題の新刊ならともかく、マイナーなものや出版から年月が経っているものは、意外となかなか出会えなかったりします。だから見つけたときにすぐ手に入れたくなってしまう…。

今はネットを使えばだいたいのものは手に入ってしまいますが、私は本の購入に関してはほとんど利用したことがありません。
なるべく、実物を手にとって、めくって、大きさや厚さ、装丁、手触り、文字の大きさやフォント、文章の雰囲気などを確認してから買いたいのです。
本屋に行く時間をつくって、そこになければまた他の本屋を巡って…と手間をかける過程も楽しくて、そしてそのぶん出会えたときの嬉しさも大きく感じるのです。

動画やゲーム、SNSなど、手軽に楽しめる娯楽で溢れ、電子書籍も普及している現代では、紙の本は売れなくなってきていると聞きます。
実際に、いつのまにかある場所から本屋が姿を消していたり、大型書店に入ると雑貨コーナーや飲食店のエリアが広がってきて書籍コーナーが小さくなっていたり、といった状況も目にします。

紙の本が無くなる未来なんて絶対にいやだ。
書店を応援したい。出版社や作家さんも応援したい。

そういった理由もあって、本を買い求めるときは店頭で、さらに言えばなるべく中古本よりも新品を選ぶようにしています。

言わずもがなですが、もちろん、電子書籍や中古本にもそれぞれの良さがあります。
単に私の好みの問題ですね。


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「読書の何が好きなの?」「読書の魅力って何?」

誰かにされた質問だったか、どこかで目にした言葉だったか覚えてないのですが、自分なりの答えを考えてみました。

私は単純に、いろんな物語に触れることが好きなんだと思います。ストーリーを楽しむ。いろんな出来事や人生を疑似体験して、いろんな価値観や考え方を知ることができる。自分にはない感性にはっとさせられる。
本を読むことは、想像力、特に人の立場や気もちを思いやって考える力を培ってくれたように思います。

また、大人になった今では少なくなりましたが、知らない言葉や漢字を覚えたり、慣用句や難しい言い回しの使い方を知ったりすることも、子どもの頃には楽しくて、そしてこれも自分の力になってくれていたなあと思います。国語や作文、小論文などがずっと得意だったし、今もこうして文章を書いては推敲するのがわりと好きです(上手かどうかはさておき…)。

総じて、本を読むことが好きでいられて良かったなあと思っています。


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デイサービスに本屋をつくることの意義としては、「地域に開けた部分をつくりたい」という思いがあります。デイサービスの利用者さんだけでなく、近所の方や子どもたち、本が好きな方などが気軽に訪れてくれて、ゆるやかな繋がりができるといいなあ。その地域のひとつのパーツとして、たとえばカフェやお店や公園のように、誰でも関われる場所となって、介護施設に壁を感じさせないようにしたい。

純粋に本屋として望むことは、私がそうであったように、子どもたちや若い人に本を身近に感じてほしい、手に取る機会を持ってほしい。本の魅力を伝えたい。子どもでも大人でもご老人でも、本好き仲間を増やしたい。良い本を、たくさんの人に知ってほしい。

せっかくやるからには、地域で愛される素敵な本屋にしたい。

どれくらいの広さにするかとか、どんな雰囲気にするかとか、具体的なイメージはデイサービスのほうが決まらないと考えにくいところではありますが、必要な物品や初期費用、本の仕入れ方など、少しずつ勉強しています。


本・本屋への思いはまだまだいくらでも出てくるのですが、長くなってきたので、このへんで。
またいつか機会があれば少しずつ書きたいと思います。


あとがきのあとがき vol.5 | 中山の本棚①
あとがきネタがないときには、本の紹介をしてみようと思います。ゆるゆると、ごく個人的な感想を。さて、初回は、大好きな一冊を。

『 風が強く吹いている 』 三浦しをん
すごく簡潔にまとめると、「よせあつめの陸上部員たちが箱根駅伝を目指して奮闘する話」です。10人(ぎりぎり1チーム)いるうち、陸上経験者はたった3人、うち2人はそれぞれある"傷"を抱えていて、もう1人は留年中のヘビースモーカー。他スポーツの経験者もいれば、超インドア派も、クイズ狂も、やんちゃな双子も、丁寧な日本語を話す外国人留学生もいる。この個性豊かなメンバーたちが本当に魅力的で、いつのまにか一緒に一喜一憂して、必死に応援してしまいます。
何度読んでも、「何かに一生懸命取り組みたい」「新しいことに挑戦してみたい」と思わせてくれる作品です。
2009年に映画化されていて、そちらも大好きです。配役も違和感がなかった!

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