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小話『未来が曇らぬようにと』

早めに一日分の学習を終えると、昼食までは時間が空く。普段なら散歩に行くのだが、今日の雨模様では無理な話だ。
自由に遊びにも、学校にも行くことができないご時世で、子供はさぞかしストレスがたまっているだろう。何とかしてやりたくても、めぼしい施設や店は軒並み臨時休業だし、そもそも人が集まる所へ行くことが今では御法度扱い。
……まったく、なんでこんなことに。
どこにもぶつけられない苛立ちを抑えて、ゲームに付き合ったり、本を一緒に読んだりしてやるのが親としては精一杯。
こぼれるため息に、子供が顔を上げた。にっこりと。
「おひるのあとでクッキーつくろうね」
終わりの見えない現状の中、子供の無邪気さに救われているのも確かだ。
提案に頷きながら、この笑顔が、この子の未来が、今以上に曇ることがないようにと願う。

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数日前、Twitterのタグ「#文字書きつなぎ」にて書きました小話です。
こんな時期なので、現状(の辛さとか疲れとか)と親心を詰め詰めにした、私小説のような内容になってしまいました(笑)
……早く日常が回復しますように、とただただ願います。

表立った応援をしていただいた経験が少ないので、サポートしていただけたら飛び上がって喜ぶと思います(笑)。よろしければ。