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ゆられて

座席に真珠のイヤリングが落ちていた

持ち主は分かっていた。黒に包まれて、疲れた顔をした女性だった。

はぐれた白いその子を見つけた瞬間、女性を追った。その女性を追ったのは私のからだではなく、目だった。

その女性が見えなくなった頃、私は座席で光るその点を見るしかなかった。

次の駅、次の駅で乗り込む人たちは皆真珠をひとりと見なし、その隣へと座る。


私のからだが動いていたら、あの女性は失くしたと知った時揺らぐことがなかったのかもしれない
私のからだが動いていたら、あの座席に誰か座っていたかもしれない


ここで供養するのは違うけれど、次は動けよ自分のからだ

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