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私が愛する三大歌姫たち(3)〜パワフルさとユニークさで惹きつけたシェール〜

私が愛する三大歌姫の最後の一人、シェール(Cher)。

日本での彼女の知名度は、どちらかといえば高い方ではない。むしろ知らないという方が多いと思う。
音楽マニアや映画ファンの方ならご存知かもしれない。70年代前半には日本でも彼女のレコードは紹介されていたようであるし、女優としても1987年(昭和62年)の映画『月の輝く夜に』(原題:"Moonstruck")で見事アカデミー賞主演女優賞を勝ち取っている。授賞式での大胆なドレス姿は今でも語り継がれている。
芸歴もゆうに50年を超え、歌手として、女優として、テレビーショーの司会としても世界的に幅広く活躍するレジェンドとして認知されている。

当然のことながら、私も彼女の名前を知らず、知る事になったのはつい2年前の事である。
彼女を知るきっかけとなったのはひとつの映画である。

話が少し逸れるが、私は幼少期からスウェーデン出身の世界的人気を誇るポップグループ・アバ(ABBA)のファンだ。
両親が好きだったというのもあり、ドライブなどで遠出をする時にいつも「ダンシング・クイーン」「マンマ・ミーア」「SOS」などが流れており、彼らの親しみやすいメロディはすんなりと幼い私の耳にも入ってきた。
そして彼らの音楽を使用したミュージカル「マンマ・ミーア!」は世界的ヒットとなり、2008年に映画化もされた。アバ好きの私の興味をそそらない訳がなかった。

ミュージカルは残念ながら一度も観賞する機会が未だないが、映画はDVDを購入して繰り返し観賞した。
それから何年か経ち、続編製作が決定されたという報を聞いたときは狂喜乱舞した。
どのようなストーリーを構築していくのか楽しみだったし、何より好きなアバの楽曲を使用しているのだから。
DVDは繰り返し観れるという利点があるが、やはりミュージカル映画というのは劇場で観るに限る。

そういうわけで2018年(平成30年)、待望の続編「マンマ・ミーア! ヒア・ウィ・ゴー」(原題:”Mamma Mia! Here We Go Again”)が公開された。
カナダの地で劇場にすぐさま駆けつけた。

そこで、シェールの存在を初めて知ったのだ。

シェールが演じていたのはアマンダ・サイフリッド演じる主人公の祖母役。
長年孫娘と疎遠になっていたが、よりを戻すために劇中後半登場する。

まず登場からして「何だこの人は」と思わせる堂々の登場ぶり。
「綺麗な人やな〜」と思い、あとで調べて72歳(当時)という事実にびっくり。
そして彼女が”Fernando”(悲しきフェルナンド)を歌い出すのだが、これにもびっくり。
メリル・ストリープやアマンダ・サイフリッド、ドミニク・クーパーやジュリー・ウォルターズも上手いが、シェールは別格の上手さだった。
上映終了後も一番頭に残っていたのはシェールだった。

そこから(もともと映画のファンになったということもあり)4回ほど劇場に行って観てきたのだが、そのたびにシェールのハスキーながら柔らかい歌声が耳に心地よかった。

本格的にのめり込んだ契機は、映画公開から数ヶ月後に彼女が発表したアルバム “Dancing Queen”(2018)だった。
タイトル通り全曲アバの曲で構成されたカバーアルバムで、彼女がどんな風にアバの楽曲を彼女なりにアレンジし、歌い込むのか興味があったので購入した。
結果は私の予想を上回るものだった。
アバの曲の特徴である歌詞をよく理解し、適格にそれを表現しようとする彼女のプロ根性が理解できた。
逆になぜもっと早くこのコラボレーションが見られなかったのかが不思議なぐらいだ。

幸運にも彼女はまだ存命なので、コンサートを観賞する機会にも恵まれた。
私にとっても初めてのライヴ観賞経験となった。
やはり生の舞台は別格だ。観客の熱気とそれを感じ取るアーティスト側の意気込みが融合し、しばし現実を忘れショーの世界に引き込んでくれる心地よさがある。
シェールもまたエンターテイナーとして一流だった。
計9回も豪華な衣装を纏い、ステージを駆け回る。
70代とは到底思えないパワフルさで、たちまち引き込まれてしまった。

つい先日、ユニセフが開催した新型コロナに関するチャリティーバーチャルイベントで、彼女はアルバム “Dancing Queen”の中でカバーしたアバの楽曲 “Chiquitita”のスペイン語バージョンをレコーディングし、発売。イベントではミュージックビデオも公開され、彼女のYouTubeチャンネルでも観ることができる。
収益はすべて、ユニセフに寄付されるという。

彼女が今後どのような活動を展開していくのか、楽しみである。

以上が私の愛する三大歌姫たちにハマったきっかけの記事である。
まあ自分ながら拙い文章だとは思うが、それでも一読いただければ幸いである。

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