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CBDとワンちゃん(ニャンも)②

 カンナビジオール(CBD)製品は、不安関連障害、発作、癌、および痛みを治療するために、犬や猫にますます使用されています。

前半では実際にワンちゃんに使用する際に気になる

①ワンちゃんのCBD使用の安全性
②疼痛緩和にCBDオイルの摂取の結果
③抗不安効果について

 についての論文をご紹介の上で、使用方法について基本的な考え方をお伝え致しました。

 後半では動物の肉球や経皮に対してどんな研究があると良いか見ていきましょう。

リポソーム製剤化されたCBDはイヌの変形性膝
関節症の疼痛緩和に高い有効性を示す。

目的:リポソーム製剤化されたCBDのイヌの変形性膝関節症に対する効果について検討する。

 方法
対象者:自然経過で変形性膝関節症による疼痛を示した大型犬20頭

素材:CBDオイル(20mg/day,50mg/day,リポソーム製剤化されたものLip20mg/day)、プラセボ

回数/期間:上記用量を30日間継続して投与した後、中止した。二重盲検にて実施された。

 評価:ヘルシンキ痛み尺度、全血球成分

 備考:リポソーム製剤とは、極めて微小な脂肪様の粒子の中に活性型の薬物が封入された製剤のこと。この剤形では、体内への吸収が良好で、腫瘍などの標的となる領域により多くの薬物を到達させることが可能となる。リポソーム製剤の場合、他の剤形と比較して、副作用が少なく、効果は良好である。

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リポゾーム製剤 イメージ図
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実験データ

Verrico, C. D et al. (2020). A randomized, double-blind, placebo-controlled study of daily cannabidiol for the treatment of canine osteoarthritis pain. Pain, 161(9), 2191.

結果
•痛み評価において、20mg/dayのリポソーム製剤は50mg/dayの
通常製剤と同様に鎮痛効果があることが示された。

• 4週間の投与を通じて有害事象は示されなかった。

 考察
• 低用量(20mg/day)のリポソーム製剤化されたCBDと高用量(50mg/day)の通常のCBDはイヌの変形性関節症の症状緩和に有効であった。
• ヒトにおいても二重盲検にての評価試験が望まれる

 リポゾームというと聞きなれませんがリポソームはレシチンなどのリン脂質でできた何層にもなるカプセルの中に有効成分を閉じ込めて、人の体の中に確実に届ける技術になります。水溶性にすることもでき、吸収率を上げる事ができる技術です。

 この研究では通常製剤とリポゾーム製剤との比較でしたが、そのどちらも効果しっかりあることがわかりますね。低用量だとあまり効果が見えない為、高容量が必要になるのですが、リポゾーム製剤の場合は少量でも効果が高いとなっています。

♥にくきゅう♥

CBDはラットの関節炎症状を緩和する

 目的:CBDの関節炎緩和効果についてラットを対象に検証する。
 方法 
対象者:54匹の実験用ラット
素材:含有濃度の異なるCBDゲル(CBDの1回含有量は0mg, 0.62mg, 3.1mg, 6.2mg, 62mg)、および実験用免疫応答増強剤 (含有量はCBDと同様)

回数/期間:関節炎を誘発させた後、上記素材を剃毛した動物背部の3.5cm2に連続4日間塗布した。

評価:膝周囲の腫脹(腫れの大きさ)、痛みスコア、探索行動の変化、血漿中のCBD濃度、顕微鏡による神経節の免疫反応など

 結果:  血漿中CBD濃度は0.6~6.2mg/日の用量で直線性に増加した。 
• CBDの経皮投与により炎症症状は用量に応じて有意な改善を示した。 
• 有効な効果を示したのは一日投与量6.2mg,および62mgであった。

考察
• 関節炎ラットに対し、CBD経皮投与が有効であることが示された。 
• 62mgの投与は飽和溶液に近い10%濃度ゲルを用いて行われた。 
• この投与によりCBD血漿濃度は非常に大きな変化を示した。 
• 今回背部への皮膚投与であったが、関節皮膚に直接塗布した場合、高い効果が 示されうることが考えられた。
• 関節炎症状にCBDゲルによる経皮投与は有効であると考える

このように動物に対しても経皮に対してとても良好な結果が出ています。
関節や痛みについてはまた別テーマで追及したいとおもいます。

 ここまでの結果を見ていると、経皮で効果を得ようと思うと濃度や使用量に比例して効果はあがっていくという事ですね。CBDと睡眠との関係でも触れたようにCBDはどの場合も継続使用が基本です。

イヌとネコではCBDに対する反応が異なる

目的:イヌとネコに対するCBD投与の安全性と危険性について検証を行う。  
対象:平均年齢3.2歳のビーグル犬8頭と平均年齢4.5歳の研究用の短毛ネコ 
素材:イヌ:CBDが混入されたペットフード(ElleVet Hemp CBD + CBDA Chews)、ネコ:CBDが混入された魚油

回数/期間:CBD2mg/kg相当のペットフードを1日 2回、84日間。
評価:血漿中CBD濃度変化、血清生化学パラメータ(血液検査)、行動変化
備考:使用されたペットフードは商品化された製品。

結果:イヌ・ネコともに血漿中CBDの半減期は短いことが示された。
• ネコはイヌに比べ低い吸収量を示した。 
• イヌ・ネコともに血清生化学パラメータにもほとんど変化はなかった。 
• 8匹のネコのうち1匹は基準範囲外の血清ALT酵素の持続的な上昇を示した。 • ネコはCBDペットフードにより過度の舐め回し行動と首振り行動を示した。

考察: 血清生化学パラメータでは大きな変化がなかったためイヌとネコへのCBD投与は比較的安全と考える。 しかしイヌとネコでは吸収動態や行動変化に違いが見られ、ネコについては今後の追加的な研究が望まれる

また、https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1098612X211004215

こちらの研究では、健康な猫における CBD と THC の安全性と耐性に関する研究を発表しました。この研究の目的は、経口投与されたカンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、および両方のカンナビノイドの組み合わせの用量を増やした場合の安全性と忍容性を判断することでした.

結果は、30.5 mg/kg までの高用量であっても、CBD が猫にとって安全であることを示唆しています。この研究で観察されたすべての有害反応は、軽度で一過性のものであり、医療介入なしで解決しました. 副作用はTHCを含む油でより一般的でした.

ネコにとってもCBDは安全

CBDは猫にとって安全であることがわかっていますが、具体的な効果と利点を証明するには、さらに研究が必要です.

いくつかの研究は、痛みの軽減と腫れの軽減の潜在的な効果が発見される可能性があることを示唆しています。しかし、ヒトだけでなく、ネコ、イヌ、鳥などについても、追加の研究が必要です。

まとめ

 動物に対するCBDについて安全性は確認が出来ている。しかしその効果や機序はまだまだ研究途上である。安全性が高い事を理解した上で、自分の家族であるペットにCBDを使用する事は大いに有用性を秘めている。

CBDは自然由来の優しい成分なので大きな問題になることはないと思いますが、何らかの疾患や不調があって使用をする場合は必ずかかりつけの専門医に相談する事が以上に大切だという事を改めてお伝えさせて頂きます。


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