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あの孤独と自殺願望が君のための文學になるんだ

BURNOUT SYNDROMESというバンドの「文學少女」という曲の歌詞の一部だ。私はこの歌詞が頭からずっと離れないでいる。

BURNOUT SYNDOMES(バーンアウトシンドロームズ)は「青春文學ロック」を謳うバンドだ。

ハイキュー!!のオープニングでメジャーデビューを果たし、それから次々に銀魂やDr.STONEなどのアニメのタイアップでどんどん知名度を上げている。

文學少女は青春文學ロックというテーマを掲げるバーンアウトにとって代表曲と言える。

私はハイキューからバーンアウトにハマり、「なんだこの文学的な歌詞は」と虜になった。そしてもともと文学が好きだったこともあり、この曲へたどり着いたのである。

最初は、バンド曲では珍しいセリフが多く「なんだか変わった曲だなぁ」と思っていたが、次々に挙げられる名作文学の数々、そして作曲者でありギターボーカルでもある熊谷和海さんの紡ぐオリジナルの歌詞のセンス、独特なメロディ、全てにやられてしまった。

”あの孤独と自殺願望が君のための文學になるんだ”

中でもこの歌詞は、私はバーンアウトの歌詞の中で群を抜いて"エモい”と思う。

文学をやっている人、読んでる人なんて大体病んでいるというのが私の私的見解なのだが、それは実際文学の世界にいる人にしかわからない。だからこそ、この歌詞を聞いて私は熊谷さんがいかに文学の世界に浸かって生きてきた人なのか、いかに苦しんできた人なのか、もちろん全てではないが少しわかったような気がして、親近感をおぼえたのだ。

私が小説を書いているのも、”辛かったときの自分の経験が生きるにはこれしかない”と思っていたときがある(今も少し思っている)。

そんな自分を肯定されたような気がして、ぐっときてしまうのだ。この部分を聞くたびに、いつもちょっと、泣きそうになってしまう。


”ラストシーンのこの台詞が君以外に伝わりませんように”

この歌詞はサビの最後に歌われる部分なのだが、この表現も独特な良さがあると思っている。

文学って、大衆のために、他人のために、書くものじゃない。それは私の尊敬する我が大学の元学科長もそう仰っていた。

「おれたちは世のため人のために小説を書いてるんじゃねえんだよ。小説なんて、世のためになんてちっともならねえ。そうじゃなくて、心の中に芽生えた文学の虫を、どうにかしようとここにやってきたんじゃないのか」

1年の頃の授業でそう言われたことを今でもよく覚えている。

熊谷さんの”君以外に伝わりませんように”は、この曲の主人公なりの「文学の意味」が見えて、好きだ。

ちなみにこの歌詞には続きがあって、
”ラストシーンのこの台詞が君以外に伝わりませんように その手首の痣とても綺麗でした”
と続く。

最高すぎる。


私が文学好きにBURNOUT SYNDROMESを勧める意味は、こういった熊谷さんの歌詞の文学観が素敵だと思うからだ。

気になった人は是非、YouTubeで何曲か試聴できるので聴いてみてほしい。


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