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11年前の後遺症が今更分かった話.

(画像は実際の私のMRI画像を印刷してもらった)

11年前.
私が高校三年生の頃.
私は開頭手術を受けた.
卒業間際の1月.
右脳の第3脳室に腫瘍が見つかり
死ぬかもしれんと覚悟をしてオペを受け、後頭部の真ん中から右耳の上のあたりまでを切り開き、腫瘍の一部を摘出して、右耳の後ろにシャントのバルブを埋めた.
オペ中に実施された病理検査の結果、MRIの所見通り中枢神経細胞腫で、良性だったので無理して剥がさず、残った半分くらいは退院してから別の病院に通院して1ヶ月放射線治療をして、結果、腫瘍に栄養をあたえかねん血管はやっつけた.

とりあえず私はそんなこんなで頭を開き、最初の1年はVPシャントが合わず何度もオペを繰り返し壮絶な日々だったのだがそれはまた別の話で、ざっくり言うと念の為に抗てんかん薬を飲んだだけで実際にてんかんを起こすこともなく終わり、現時点でもてんかんがあるわけでも身体に麻痺が残っているわけでもなく、脳みそに切れ目があって脳みそから心房に管を繋いでいるだけでその1年を乗り越えるまでは服が自分で着れない(どこが腕で頭かわからなくなる)というびっくり現象に出会いつつ、それも慣れでカバーし、その後生活になんの支障なく生きてきた.
と思ってた.

しかし去年だったかのとある日、人の似顔絵を書けないことに気付いた.
あと、人の顔をなかなか覚えられないことにも気付いた.
今の職場がユニフォームがある仕事だからかな?と思ってたけど、頭の中に人の顔を思い浮かべられないことにふと気づいた.
自分の顔も友達や親の顔も思い浮かべられない.
ぼやーっと霧の中みたいな感じになってしまう.
昔は下手でも人の似顔絵が書けたのだが、いまは書けそうにない.
昔好きだった人の顔とか、大好きだったばばちゃんの顔も思い出せなくて、ちょっと凹んだりもした.

夢の中に出てくれば鮮明に見れている気がするのに、起きている時に想起しようとしてもモヤのなか.
人の顔を見た時、照合するまで時間を要することもある.
でも人の表情は分かるから相貌失認ではなさそうだ.

でももしや、これは後頭葉を切っているから視覚的な後遺症的な何かなのか
とGoogle先生に相談しながら色々悶々と考えつつ、主治医が代わり3人目になったドクターに検診の時に何気なく聞いてみた.

そしたら、あーそれ視覚野切ってるから、高次脳機能障害の1種だね。でもごめん、今具体的に説明出来ないけど、たぶんそういうこと!とサラッと言われ、私もサラッと、ならいっかと受け止め、帰ってきた.
正直、なんで顔が思い浮かべられないのかという理由がちゃんと存在してると分かって、とてつもなくほっとした.
そしてほっとするぐらい実は不安だった自分の気持ちにも気付いた.
そしてそれから数日、11年前を思い返せばオペの前日に検査の結果術式が変わって予定していた前頭葉からじゃなく後頭葉から切ることになって、後遺症のこととかそこまで調べてなかったな(てかそんな余裕もなかった)と思い出し、まじなんで今更やねん!!とちょっと笑えてしまうぐらいには今元気に生きていられて良かったなーと思ったのである.

という、3日前の話を勢いで記しておく.

あなたと支え合いたい.