段ボール V.S. 発泡スチロール
ニトスキ小を太陽熱にかけて、目玉焼きと厚揚げを焼く実験をしてみた。同じ場所で、自作の太陽熱調理器に入れて加熱するのだが、かたや段ボール箱で作った太陽熱調理器、かたや発泡スチロール箱で作った太陽熱調理器である。
段ボール箱は加工がしやすいが、薄いため、保温力の面で発泡スチロール箱よりも劣るかもしれない。気密性も発泡スチロールに軍配が上がるだろう。自作の太陽熱調理器はどちらも熱箱式と呼ばれるタイプである。熱箱式の太陽熱調理器を自作する場合、発泡スチロール箱が使われることが多いが、段ボール箱が使われることは珍しい。自作機として普及している西川式の太陽熱調理器も発泡スチロール箱が使われている。
私の自作した段ボール箱の太陽熱調理器では、温泉卵を作ることができた。そこで新たに作った発泡スチロール箱の太陽熱調理器と同条件で同じメニューを作ることで、両者の性能を比較しようと考えた。
冒頭の写真は、その比較実験の様子である。
順調な滑り出し
2022年4月25日。この日の午後1時の外気温は28度。雲は極めて少ない晴れ。太陽熱調理には絶好のコンディションである。
開始から50分ほどで白身が白くなる。目玉焼きができたと言えばできた。今回、私は発泡スチロール箱がどれだけの底力を有するのかを知りたいので、黄身の上までしっかりと白くしたかった。食べずにそのまま待つ。
なお、ここまで段ボール箱と発泡スチロール箱に大差は見られない。
想定外の結果と失敗
開始から90分。あまりにも良い香りが漂うので、食べることにした。
黄身の上の白身は、まだ完全には白くなっていない。それでも焦がして食べられなくなってはもったいない。
段ボール箱から出したものは、黄身もそこそこ固くなっている。厚揚げの角はこんがり素敵なきつね色に色付いていた。
一方の発泡スチロール箱の中身はというと、段ボール箱のものほど固まっていない。
予想では発泡スチロール箱のほうが高性能のハズだった。発泡スチロール箱から中身を取り出す時、イマイチ発泡スチロール箱の出力が上がらなかった理由がわかった。
これは発泡スチロール箱の蓋を拡大した写真である。水滴が大量についているのがわかる。
卵はともかく、厚揚げは水分を多く含む。その水分が温められて蒸発し、蓋のプチプチシートを曇らせてしまった。それで段ボール箱よりも出力が低くなってしまったと考えられる。
条件が同じなので、段ボール箱のほうも水滴がついて失敗してもおかしくなかったのではと思うかもしれない。ただ、段ボール箱のほうは切り口が斜めになっているため、プチプチシートについた水滴はうまいこと流れ落ちたと思われる。
意外なところで「斜めの切り口」の強みがあるということがわかった。
リベンジ
原因が推測できたのなら、その原因を克服するような方法でリベンジしたい。
段ボール箱の中身を食べたことでスキレットが1個、空いた。このスキレットを、もう一方のスキレットに被せて発泡スチロール箱に入れることにした。
ついでに新たに卵を割り入れて様子をみることにした。
リベンジは14:45より加熱を開始した。
とりあえず1時間ほど加熱したところで中身を確認したのだが、あまり固まっていない。
恐らく14:45からでは、太陽の高さが足りず、太陽熱を十分に取り込めなかった可能性がある。
ブースターミラーの必要性
元々この発泡スチロール箱は、西川式のものを参考に、西川式よりも簡単に作ることができるようにと考えて設計した。そのため、より多くの太陽熱を取り込ませることができるブースターミラーと呼ばれるパネルを割愛していた。
私が自作した段ボール箱の太陽熱調理器は、斜めにカットしたことでブースターミラーが一体化したモデルとなっている。
リベンジと同じく14:45から、段ボール箱の太陽熱調理器に、黒く塗った空き缶に水を400mL入れたものを入れてみた。こちらは1時間でインスタントコーヒーを飲むのに十分なくらい加熱されている。
この空き缶は、以前インスタント焼きそばの容器で作った太陽熱調理器に使っていたものである。あの焼きそば容器から比べると、段ボール箱のほうが高い出力が得られた。
今後の予定
今回の発泡スチロール箱で作った太陽熱調理器は、当初の予想に反して少々残念な結果に終わった。しかし、この失敗から学べたこともある。
まずスキレット単体で加熱する際は、水分の少ない食材に限るべきである。水分がそれなりに含まれた食材を加熱する場合は面倒でもスキレットに蓋をするか、ダッチオーブンを使う。
そして太陽の高度が低い時間帯でも効率的に加熱するには、ブースターミラーが欠かせない。午後2時で既にブースターミラーがあったほうが良いくらい太陽は傾いてしまう。
次回は発泡スチロール箱にブースターミラーを取り付ける。ただし、西川式とは異なる形状のブースターミラーにしたいと目論んでいる。
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