アジェンダブログ:規制のないテクノロジーが森林を守れない理由
精密灌漑システム、家畜の顔認識、作物の収穫量向上のためのドローン――新たなテクノロジーは、農業を改革し、生産性の向上を実現しています。その一方で、しっかりした規制や法律がなければ、テクノロジーの効果は限られ、環境保全の障害にもなります。本記事では、Why technology without regulation won’t save the forest と題するアジェンダブログをご紹介します。
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スマートな規制が自然保護に差をつける
ブラジルはハイテク農業の恩恵を受けていますが、その一方でアマゾン川流域を中心としたエリアでは焼畑農業や中世的な畜産業、資源略奪など多くの問題に直面しています。これまでのインセンティブ・プログラムからスマートな規制と的を射たインセンティブが環境保全に大きな違いをもたらすことが提示されました。
ブラジルは、大豆、木材、食肉などのグローバル需要や、高級SUV用の高級皮革など特定ニーズの世界需要に歩調を合わせて成長してきました。ただしこの成長は、特に林産物が適切に監視されていない場合、環境的な代償を払うことを意味します。アマゾン流域の農畜産物は、違法な森林伐採、公有地の奪取と結びついていることがあまりに多いのです。
天然資源のロンダリングを阻止する必要性
天然資源のロンダリングは何十年にもわたり、資源採掘産業で行われてきました。例えば畜産業では、牛を放牧地間で移動させ、原産地を偽る行為を「キャトル・ロンダリング」と一部で呼ばれています。原産地を特定することは、土地の開墾、違法伐採、単一栽培、放牧などの違法行為に関連する製品を結びつける唯一の方法であるため、非常に重要なことです。
ネットショッピングや荷物の配送におけるリアルタイム追跡の技術からわかるように、商業製品のトラッキングに革新が起こっています。しかし多くの消費者は、購入商品の出所について無関心です。テクノロジーは必要ですが、十分な解決策とは言えません。
持続可能な活動を促進するインセンティブ
追跡を阻む最大の要因は、技術不足というより、インセンティブがないことです。活動に疑問がある資源採掘産業を金融機関が支援し続ける限り、環境犯罪の連鎖は続きます。
土地の劣化と森林の減少を抑制するためには、製品の明確なトレーサビリティと、森林保全のための財政的インセンティブという2つの重要なステップが必要です。政策立案者は、持続可能な活動を促進するためのインセンティブを設計し直すことが求められます。
金融セクターは、環境・社会・ガバナンス(ESG)原則に基づいた新たな融資メカニズムを提供することで、重要な役割を果たすことができます。
真の変革には、さまざまな経済関係者の協力が必要です。投資家はスマート・プラクティスを推進し、公的機関はテクノロジーを活用した規制と執行を強化し、失敗を未然に防ぐことができます。
テクノロジーは、適切な規制の枠組みや強制力のある法律がなければその効果を存分に発揮できません。サプライチェーンのグリーン化を約束したにもかかわらず、原材料を追跡するインセンティブはほとんどないのが現状です。しかし市場が金融投資に脅威を与える環境悪化や気候関連リスクを考慮し始めると、この状況は変化する可能性があります。加えて消費者の圧力が高まれば、私たちの家庭で日常的に使われる製品の追跡や審査を重視するようなインセンティブが働くようになるでしょう。
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