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#2 アニメ業界を目指す方へ伝えたいこと

こんにちは!アニメ制作をしていますC2Cです。

「アニメ制作に興味があるけど、どんな仕事なんだろう」
「どんな人が働いているんだろう」
「自分にもできるのかな」

そんな思いを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アニメ制作に興味を持ってくださった皆さんに、もっと会社や業界について知ってもらうため、また普段はなかなか聞けない疑問や不安に答えるため、C2Cやアニメ業界について発信しています。

今回は、弊社代表の山田に、アニメ業界で働くことについてざっくばらんに質問してみました。
"社長"という立場や"元制作進行"という観点から、
楽しさや辛さ、成功の秘訣などについて赤裸々に聞きましたのでぜひご覧ください。

<山田 良輔> 代表取締役社長/統括プロデューサー
1980年福岡県生まれ。オフィス蒼、TripleAにて制作進行・デスクとして勤務。
2009年C2Cの設立に取締役として参加。2012年代表取締役社長/統括プロデューサーに就任。
“いつか元請け制作会社になる”という強い想いで設立から苦節9年となる2018年「はるかなレシーブ」で初の元請け制作を行う。目標を達成。「制作の熱意はフィルムに反映できる」をモットーとして、“いつかオリジナルアニメをつくる”という新たな目標に向け日々邁進中。

Q.C2Cってどんな会社ですか?

C2Cはテレビシリーズのアニメーション制作事業を主軸としている会社で、社内には大きく制作、作画、仕上げの3つのセクションがあります。
まずはそれぞれの仕事を簡単にご紹介します。

制作

制作は作品のプロデュースや企画立案、予算やスケジュールの管理、納品のクオリティ管理など、放送局や委員会に対しての納品の管理を行っています。
結構誤解される方も多いのですが、アニメ業界の人間は全員が絵が描けるわけではなくて、絵を描かない部署のスタッフも多いんです。
制作がその筆頭で、自分では絵は描きませんが絵を描くスタッフを束ねて一つのアニメを作り上げていく仕事です。
C2Cでは制作1課と制作2課に分かれていて、1課ではテレビシリーズ全般、2課ではパチンコやパチスロなどの遊技機の案件を主に担当しています。

作画

作画は文字の通り、アニメーションの絵を描く仕事です。その中でも原画や作画監督、キャラクターデザイン、動画などの部署に分かれています。社内の中でも最も人数が多い職種でアニメ制作の根幹を担っています。
新人の頃は「動画」といって、いわゆるパラパラ漫画の様な絵の動きを描く仕事を担当しまして、そこから経験を積んで「原画」になると動きの起点となる絵を描いていく仕事をします。

仕上げ

仕上げは作画での工程を終えた白黒の絵に色を塗っていく仕事です。
キャラクターそれぞれに指定された色があり、その指定通りに着色することでシーンやカットにあった色にしていきます。
キャラの色は通常の色以外にも、夕景用の色、夜用の色、など様々な色が決められているため、細かな指示書をもとに着色をしています。

Q.アニメ業界ってどんな人が向いてる?

こだわりをもって仕事に打ち込む事が求められる業界だと思います。
どの職種、部署にもそれぞれ"職人気質"の様なものは必要ですね。

制作はキャリアを築いたりしてくると、自分なりにこうしたい、ああしたいという思いが出てくるので、スケジュールなどをスタッフの状況をみながら自ら工夫していいアニメを作りたい、といった職人的な意識があったりします。

作画だとやはり絵のクオリティに対してのこだわりが必要だと思います。
自分としてはこうしたいという表現に対して、納期内でどこまで突き詰められるか、といったクリエイター気質がでてきますね。

仕上げも同様です。色の調整や確認などやることは多いので、限られたスケジュールでどこまで調整するか、どの程度の完成度まであげられるかというこだわりを持ったスタッフは多いです。

でも僕らは一応プロなので、迫ってくるオンエアに向けて粘れるところは粘って、最終的なスケジュールは合わせるというのも、全部署が持っている一つの職人気質だと思います。

紙を扱うこともまだ多く文房具の備品も多い。
マジックの色はスタッフごとにお気に入りの色があったりします(山田は青派)

Q.アニメ業界で働くことの面白さはどんなところ?

アニメ制作って工程が長いんです。絵を描いて、色をつけて、撮影をして、最終納品という流れなのですが、1話を作るのに3ヶ月から半年、長いともう少しかかります。その間大変なこともあるのですが、大変であれば大変なほど、他の仕事では味わえないくらいの達成感や感動があるんじゃないかと思っています。

印象に残っていることといえば、僕が制作進行を担当した1本目ですね。右も左も分からず、ただ言われたことをやるだけだったんですけど。すごく大変だったんですが、終わった後に頑張って本当に良かったと感じました。
また、それまで厳しかったクリエイターさんやクライアントさんにも「よく頑張ったな」と最後の最後に褒めてもらえて、評価していただいたところにも、楽しさを感じました。
1話に多くのスタッフが参加するのですが、全員で連携してアニメを作りきった達成感が味わえるのはアニメ制作ならではと言えるかもしれません。

Q.アニメを「作る」ことは楽しい?

僕らはアニメが好きでこの業界に入ってきているので、やっぱりアニメーションを作る楽しさというのはありますね。クリエイターに出会って自分の価値観が変わることとかがあって。そういう「人と出会えること」というのはすごくありますね。
あと、自分が思った通りにスケジュールがばっちりはまる時が時々あるんですよ。作る上で「自分の想定通りにできた!」みたいなことがより自信になって、「次はこういうことやってみよう」とか思えたりもします。
そういうのが映像作りの楽しさだと思います。

Q.逆にどんなところが大変?

僕らの仕事って結構大人数が関わっているんです。多いと各話100〜200人くらい関わっているので、やっぱり人数が多いとその分意識統一とかがすごく大変だと思います。
関わっている一人一人の気持ちや考え方がもちろん全然違うので、それをどう集約してスケジュールに落とし込むのか、とか、
この人に時間をかけて粘った方がもっといい仕上がりにできるのではないか、とかを判断をしなければならないので、そういったところがすごく大変ですね。
技術面での大変さももちろんあるんですが、やはりコミュニケーションや会話の面で「こうしたい」という意思をいかに全員が共有できるか、というのはものすごく大変です。
それは作画でも制作でも仕上げでも言えると思います。

Q.アニメ業界に入る上で必要なことは?

制作は何よりも「映像作りが好きかどうか」というのが大切だと思います。実際、僕は業界の専門知識なく入ってきましたが、最初から技術力はそんなに必要ないと感じています。なので、アニメの技術があるかどうかではなく好きかどうかで最初に業界に入ってくるのはありだと思います。

作画に関してはやっぱり画力ですね。あと、アニメだけではなく色々な映像作品に興味を持って貪欲に知識を蓄えておくことがすごく重要な気がします。業界で使っている専用ソフトやルールなどは業界に入ってから学べますが、成長できるかは知識や努力をもとにしたスタートダッシュが重要だと思います。

仕上げに関しては、自分の与えられた仕事を納期内に完成させる能力が必要だと思います。もちろんスケジュールが厳しい時はあるのですが、無理に徹夜などをして仕事を終わらせてほしいという意味ではなく、間に合わない場合は何が要因でどの程度間に合わないのかを認識し、メンバーに共有し、
メンバーや会社全体で状況を改善するチームワークが必要になります。

作業机はスタッフそれぞれが使いやすく集中しやすい環境にしています。
シンプルな机の方もいれば、資料が山積みの方も。

Q.アニメ業界で働く上での「成功」とは?

成功の一つの形として、昇給や役職が上がるということが挙げられます。

例えば制作ですと、「制作進行」から「制作デスク」に上がるということが1つの成功のステップだと思います。
制作進行は一話ずつですが、デスクは全話数を統括する立場になりますので、制作進行としての能力も去ることながら、全体のスケジュールを俯瞰できる能力がある人がデスクになっていきます。
そしてその先にプロデューサーという役職があります。プロデューサーになると大きく作品の根幹にかかわることになり、予算管理や全体スケジュール、監督やライター、キャラクターデザインの選定といった権限が与えられます。制作で言うとこれが一番上のステップになります。
役職に関しては年齢や入社年数関係なく、完全に能力で決まります。
なので、若手でも能力のある人は上がっていきますね。

作画も同様に、「動画」から「動画検査」や「原画」「作画監督」などと上がっていきます。
役職が上がると責任も重くなりますが、そのぶん自分の作画力や表現力を活かした仕事ができるので、それがやりがいにつながります。
ただ、みんなが原画や作画監督になりたいかというとそういうわけではなく、自分が絵を描くスタンスがどの位置がしっくりくるのかを探しながら仕事をしている方が多い印象です。
動画が好きで動画検査を長年やられている方もいますし、原画が好きで原画を長年やられている方もいます。そのあたりは得意分野ややりたい事を探しながら選んでいるという感じです。

Q.成功する人が共通して持っている能力は?

当たり前のことですが、やっぱり「報連相(報告・連絡・相談)」ですね。
これは制作、作画、仕上げ、全てに言え、他の職種や業界でも同様に必要なことだと思います。

あと重要なのは数字などの定量的な管理です。
作画をするにも、作画されたものを管理するにも、カットの管理において、何カット上がっていて、何カット上がってないのか。いつ上がるのか。納期はいつまでか。間に合わせるにはどうすればいいのか。こういった管理能力はすごく重要です。
チームプレイである以上、自分一人が良い仕上がりを出したとしても後工程で時間が無くなったりトラブルになると全体の仕上がりは悪くなってしまいます。ですので、前後の作業など自分の作業範囲以外を意識した動きが必要なんです。

Q.逆に、失敗する人はどんな人ですか?

こちらも全職種共通で指示待ちの人です。上から言われることを待っていたり、自分でこの作品をこういう風に作りたい、という意思がない人ですね。

最初は分からないことばかりというのが当たり前なんですが、そういう時に周りに聴くことができない人って結構多いんです。
これまずいんじゃないか?どうしたらいいの?となった時に人に聴くことってすごく重要だと思います。それが出来ない人は成功できないんじゃないかと思いますし、仕事をする上でも辛くなってしまうかもしれません。

アニメーションは大人数が連携する仕事なので、
自分一人でやらなくちゃ、誰にも頼らずやらなくちゃ、
と自分の殻に閉じこもってしまうと仕事もうまくいきません。
是非自分から動いて欲しいと思います。

紙とデジタルを両方扱うのも今の時代特有?なのかもしれません。
紙の作業が得意な人、デジタル処理が得意な人、様々な特性をうまく連携させて作っています。

Q.アニメ業界で長く続けられる人はどんな人?

能力が高いことも重要だと思いますが、やっぱり映像に対する情熱を持っている人は強いですね。最初は仕事ができなくても、「この作品を良くするためにどうすればいいんだろう?」とかを考えて情熱を持っている人は、いつか必ず仕事ができるようになります。それはどの職種でも同じです。やっぱり色々考えた人が必ず残るし、上がっていきますね。

Q.情熱やモチベーションを保てなくなったときはどうすれば良い?

人間なので、みなさんモチベーションや情熱を保てない時は確実に出てきます。でも、そんな中でも与えられた仕事を何とか成立させるというのは僕たちの最低限の仕事だと思うんです。やるべきことをやるということですね。そこで折れてしまったら、きっとどんな仕事でもできなくなっちゃうんじゃないかなと思います。
個人の特性や制作状況なども複雑に絡んできますので、そういう時こそ「メンバー同士の連携」が大事であり、そのための関係性や基盤作りが重要だと思います。

Q.一緒に仕事をしたい人物像は?

これも同様に映像作りが好きな人ですね。アニメ制作は大変な仕事ではあるんですが、ものすごく楽しいことが大いにあるので、迷っているくらいならやってみて欲しいと思います。

一回入ってやってみないと分からないことばかりだと思うので、どうしようかな、とか、アニメ業界ってどんなところなんだろう、と思っているなら勇気を出して一歩踏み出して是非この業界に入ってきてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はアニメ業界についてご紹介させていただきました。

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気になる事や話題にしてほしい内容などあれば、ぜひお気軽にコメント欄にご記載ください。初めての発信で至らぬところもありますが、温かい目で見ていただけると嬉しいです。

C2Cはみなさんと一緒に作るアニメスタジオになれればと考えております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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