見出し画像

「在日米軍基地でオランダ軍が訓練→日米安保条約違反」という話の誤解

そもそも何があったの?

 在日米軍基地で行われたアメリカ海兵隊の訓練にオランダ軍兵士が2名参加していた事が琉球新報をはじめとした沖縄メディアで話題となっています。

オランダ軍の海兵隊が3月、米軍北部訓練場で行われた米海兵隊の訓練プログラムに参加していたことが27日分かった。

沖縄タイムスより引用

その中には事実を伝えているとは言い難いものがいくつか存在しましたのでそれを今回のnoteで修正するという(いつもの)感じです。
当初の理念とは大きくかけ離れた内容になっているような…気のせいか。

ざっくり言うと修正後の内容は
「オランダ軍だけどオランダ軍ではない」
「日米安保条約違反ではない」
この二つで話は終わります。

「オランダ軍だけどオランダ軍ではない」ってどういうこと!?

 参加したのはオランダ軍の兵士で間違いありません。ですが今回は指揮系統が異なります。今回のオランダ軍兵士は訓練プログラムに参加する研修生という形での参加であり、彼らを指揮するのはオランダ軍ではなくアメリカ海兵隊となります。
小rに似たケースとして「防衛大学校の留学生」があります。
防衛大学校ではインドやタイなどの士官候補生が留学生として日本人学生と同様の教育訓練を受けています。彼ら留学生
今回の訓練はオランダ軍との共同訓練ではなく、アメリカ海兵隊単独の訓練でした。

 コレをより分かりやすくすると

今回はコレ↓
🇺🇸アメリカ海兵隊「オランダ軍からやってきたお友達と一緒に仲良く訓練をして
より強く、より賢くなりました。褒めてね。」
↑これは問題ありません。

これがこうなったら↓
🇳🇱オランダ軍「アメリカくんがいなくても大丈夫なように僕たちだけで訓練したよ!すごいでしょ!」
↑これは問題になります。

私「分かりにくいなぁ…」

「日米安保条約違反ではない」

 ではこれに関する国会答弁を見ていきましょう。読める暇がある方は読みましょう。

我が国の提供した在日米軍の施設・区域の使用は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条に基づき米軍に対し認めているものであり、米国以外の外国の軍隊や軍人が、その訓練の目的で在日米軍の施設・区域を使用することは、同条約上認められない。もっとも、在日米軍の施設・区域内における米軍の活動に米国以外の外国の軍隊や軍人が参加することが、いかなる態様であっても同条約上禁じられているというものではなく、在日米軍の施設・区域内における米軍の活動への米国以外の外国の軍隊や軍人の参加が同条約の許容する範囲内のものであるか否かについては、個々の事案に即して判断されるべきものと考える。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/191/touh/t191001.htm

「もっとも、在日米軍の施設・区域内における米軍の活動に米国以外の外国の軍隊や軍人が参加することが、いかなる態様であっても同条約上禁じられているというものではなく
こうあるように、禁じられていないものを違反する事はできません。
あたりまえ体操。

分かりやすく言い換えると↓
「僕たちが用意した在日米軍の建物も場所も約束で認めているものなので他の国の軍隊や軍人が訓練で使ったらダメ。でも米軍の活動に他の国の軍隊が参加することはどのような形でも禁止されてはいないよ。ダメかどうかはそれぞれのケースで判断するからね。」
↑こうなります。分かりやすいでしょ?
今回はおそらく問題ないケースです。

気になること

 どうも今回の報道は若干ながら誤読を誘いやすいのではと思います。所謂日米安保条約違反でもなく、憲法に違反している訳でもありません。軍隊が関わってくるネタは普段触れない人には分かりにくく、調べるというのも中々(時間的な意味でも)難易度が高いものです。(これは私も例外ではありません。)
一部メディア(まとめサイトとかそういう物ではないちゃんとしたもの)がオスプレイに関連するデマを流してしまった事があり、やはり軍事ネタは難しく分かりにくいのでしょう。

最後に

 私に時間とやる気があればどんどん記事をアップデートする予定です。もしよろしければ各種SNSのフォロー等よろしくお願いします。
(画像は写真ACを使用しました。)

サポートしていただけると嬉しいです。 シェアをしていただけるともっと嬉しいです。 (サポートをいただいた場合は資料等の費用に活用させていただきます。)