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さるぶつ道場 運動量保存則6解答

水平面上での静止している小球との衝突

 問題はこちらです.

 運動量はベクトルなので,図2のように衝突前後の様子をベクトルで表すと解きやすくなります.(2)は別解のように,運動量保存則を用いて解いても良いのですが,図2から正弦定理を用いると簡単に解けます.(3)では,$${K=\frac{1}{2}mv^2=\frac{1}{2m}(mv)^2=\frac{p^2}{2m}}$$というように,運動エネルギー を運動量 で表すことが要求されます.こういった表現にも慣れましょう.また,加法定理に気付くようにしましょう.(4)では,衝突において,力学的エネルギーが保存されるのは弾性衝突のときだけであることを思い出しましょう.

図2

(1) 図2より,小球Aが受ける力積 $${I}$$ は,

$${{\boldsymbol I}={\boldsymbol p}_A-{\boldsymbol p}_0}$$

また,小球Bが受ける力積は,

$${-{\boldsymbol I}={\boldsymbol p}_B-0}$$ 

より,

$${{\boldsymbol I}=-{\boldsymbol p}_B}$$

 したがって,力積の大きさは $${p_B}$$ で,向きは $${x}$$ 軸負方向に向かって時計回りに角 $${\beta}$$ の向きである.

(2) 図2より正弦定理を用いて,

$${\frac{p_0}{\sin \gamma}=\frac{p_A}{\sin \beta}=\frac{p_B}{\sin \alpha}}$$

 ここで $${\gamma=\pi-(\alpha+\beta)}$$ なので,

$${\sin \gamma=\sin{\pi-(\alpha+\beta)}=\sin(\alpha+\beta)}$$

 ゆえに,

$${p_A=\frac{\sin \beta}{\sin (\alpha +\beta)}p_0}$$
$${p_B=\frac{\sin \alpha}{\sin (\alpha +\beta)}p_0}$$

(3) $${\alpha +\beta =\frac{\pi}{2}}$$ のとき,$${\sin(\alpha+\beta)=1}$$ .また,$${\beta=\frac{\pi}{2}-\alpha}$$ より,$${\sin \beta=\sin\left(\frac{\pi}{2}-\alpha\right)=\cos\beta}$$ なので,

$${p_A=p_0\cos \beta}$$
$${p_B=p_0\sin \alpha}$$

運動エネルギーの総和の変化量 $${\Delta E}$$ は,

$${\Delta E=\frac{p_A^2}{2m}+\frac{p_B^2}{2m}-\frac{p_0^2}{2m}}$$
  $${=\frac{(p_0\cos\alpha)^2}{2m}+\frac{(p_0\sin\alpha)^2}{2m}-\frac{p_0^2}{2m}}$$
  $${=\frac{p_0^2}{2m}(\cos^2 \alpha +\sin^2\alpha-1)}$$
  $${=0}$$

(4) ア

 衝突前後の運動エネルギーの変化が0,すなわち力学的エネルギーが保存されるので,2つの小球の衝突は弾性衝突である.



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