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さるぶつ道場 運動量保存則7解答

ばねで連結した2物体の壁との衝突

 問題はこちらです.

 問題をよく読んで,現象を把握することと,速度に注意することが大切です.また壁と衝突するとき以外は,弾性力(内力)しかはたらかないと見なせるので,運動量保存則が成り立ちます.運動量保存則が成り立つとき,重心速度は一定であることを思い出しましょう.(2)では,小球Bの衝突直後,小球Aはそのままの速度 $${-v_0}$$ で進んでいることに気付きましょう.(3)では重心速度が一定なので,重心と2つの小球の間の距離は,質量比の逆比になることに注目しましょう.また,衝突してから次の衝突をするまでの間は,弾性力(保存力)しか仕事をしないので,力学的エネルギー保存則が成り立ちます.(4)は基本的に(3)と同じ問題です.ただし,問題文中の「小球A,Bが同時に一旦静止して」から,2つの小球は同じ周期で運動していることを読み取ると,小球Bが2回目の衝突をするとき,小球Aは速さ $${v_0}$$ で $${x}$$ 軸正の向きに運動していることが分かると思います.

(1) はね返り定数の定義より,

$${e=-\frac{\frac{v_0}{2}}{-v_0}=0.5}$$

(2) ばねの自然長を $${l}$$ とすると,衝突直後の2つの小球の重心の座標 $${x_G}$$ は,

$${x_G=\frac{ml+2m\cdot 0}{m+2m}=\frac{l}{3}}$$

 衝突後から微小時間 $${\Delta t}$$ 経過したときの重心の座標を $${x_G+\Delta x_G}$$ ,また,小球Aの座標を $${l+\Delta x_A}$$ ,小球Bの座標を $${\Delta x_B}$$ とすると,

$${x_G+\Delta x_G=\frac{m(l+\Delta x_A)+2m\Delta x_B}{m+2m}=\frac{(l+\Delta x_A)+2\Delta x_B}{3}}$$

 重心の速さ $${v_G}$$ は.

$${v_G=\frac{x_G+\Delta x_G-x_G}{\Delta t}}$$
      $${=\frac{1}{\Delta t}\left(\frac{(l+\Delta x_A)+2\Delta x_B}{3}-\frac{l}{3}\right)}$$
     $${=\frac{1}{3\Delta t}(\Delta x_A+2\Delta x_B)}$$
     $${=\frac{\frac{\Delta x_A}{\Delta t}+2\frac{\Delta x_B}{\Delta t}}{3}}$$ …①

 $${\frac{\Delta x_A}{\Delta t}=-v_0}$$ ,$${\frac{\Delta x_B}{\Delta t}=\frac{v_0}{2}}$$ なので,

$${v_G=\frac{-v_0+2\cdot \frac{\Delta v_0}{2}}{3}=0}$$

(3) 重心は静止しているので,重心と2つの小球の間の距離の比は変化しない.図2のように,2つの小球が静止したときの,重心から見た小球A側とB側のばねの縮みをそれぞれ $${d_A}$$ ,$${d_B}$$ とすると,$${d_A:d_B=2:1}$$ である.したがって,ばねの縮みを $${d_0}$$ とすると,$${d_0=d_A+d_B=3d_B}$$ である.

図2

 図2-Ⅱでの力学的エネルギーを $${E_2}$$ ,図2-Ⅲでの力学的エネルギーを $${E_3}$$ とすると,

$${E_2=E_3}$$
$${\frac{1}{2}mv_0^2+\frac{1}{2}\cdot 2m\left(\frac{v_0}{2}\right)^2=\frac{1}{2}kd_0^2}$$
$${\frac{1}{2}k(3d_B)^2=\frac{3}{4}mv_0^2}$$
$${kd_B^2=\frac{1}{6}mv_0^2}$$
$${d_B=v_0\sqrt{\frac{m}{6k}}}$$

 小球は質点と見なせるので,$${x_1=d_B=v_0\sqrt{\frac{m}{6k}}}$$

(4) 小球Bが2回目の衝突した直後の速さ $${v_B'}$$ は,

$${0.5=-\frac{v_B'}{-\frac{v_0}{2}}}$$
$${v_B'=\frac{v_0}{4}}$$

 したがって,2回目の衝突した後の重心の速さ $${v_G'}$$ は,(2)の結果(①式)を利用して,

$${v_G'=\frac{v_0+2\cdot \frac{ v_0}{4}}{3}=\frac{1}{2}v_0}$$

 ばねが最も縮んだとき,小球AとBは重心に対して静止しているので,図3のように,2回目の衝突直後とばねが最も縮んだときの間で,力学的エネルギー保存則を用いると,


図3

$${\frac{1}{2}mv_0^2+\frac{1}{2}\cdot 2m\left(\frac{v_0}{4}\right)^2=\frac{1}{2}\cdot 3m\left(\frac{v_0}{2}\right)^2+\frac{1}{2}kd^2}$$
$${\frac{1}{2}kd^2=\frac{3}{8}mv_0^2}$$
$${d=\frac{v_0}{2}\sqrt{\frac{3m}{2k}}}$$

ばねが最も縮んだときの,小球A,Bの運動エネルギーを忘れないこと.

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