コーヒー飲みながらお仕事するの素敵ね！

コーヒーメーカーが豆を挽く音に、3歳の娘がかけ寄ってきた。

「なにしてるの？」
「コーヒー淹れてるの」
マグカップを用意しながら答えた。

「なんで、こーしーいれてるの？」
なんで？最近なんでも「なんで？」という。
「お仕事しながら飲みたいから淹れてるの」
娘を保育園に送り、帰ってきた頃には温かいコーヒーができているはずだ。まずは娘を玄関にうまく誘導して、上着を着て靴を履いてもらわなければ。

「おかーしゃん、こーしーのみながらおしごとしゅるの？」
「そうだよ」
娘をキッチンから少しずつ玄関へ方向転換させながら返事をした。
「こーしーのみながら、おしごとしゅるのしゅてきね！」

朝の脳内はタスクでいっぱい。
素敵なこと、わくわくすることを考える余裕がない。仕事も正直毎日わくわくしながら取り組んでるわけじゃない。ミスが無いように、でも効率よく進めなければという気持ちで埋め尽くされている。今日はうまく仕事回せるだろうか、厄介な仕事にあたりませんように……常に小さな不安があるので、朝はどちらかというと憂鬱だ。

保育園から猛ダッシュで帰宅して、パソコンを立ち上げる間にコーヒーをマグカップに注いだ。

「コーヒー飲みながらお仕事するの素敵ね」

思い出して呟いてみると、自然に口角があがった。さぁ、これから素敵な時間が始まる。