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「また今度」は二度と来ない。だから今この瞬間を大切に生きる。

すばらしかった富士五湖を巡る旅。ですが、あと1日だけ残るという決断ができなかった──「また今度」と先延ばしにしたあの日の後悔が、今も胸に残っています。


富士五湖をロードバイクで巡った2014年の旅

2012年と2014年、お盆の時期にクルマで富士五湖を旅した。どちらも軽自動車にテントと自転車を積み込み、2007年のバイクツーリングと同様に、質素だが思い出深い旅にするつもりだった。

まずは少年時代に住んでいた静岡西部の各所を訪れた後、富士五湖や忍野八海をロードバイクで巡ることにした。

▼2007年の旅の記事

結果として、この2014年の旅が最後となった。前回同様、本栖湖のキャンプ場にテントを張る予定だったが、日程のほとんどで雨が降ったため車中泊に切り替える。

毎晩早く眠るようにしていたものの、クルマのシートはベッド代わりには快適とは言えず、最終日には体調を崩し、口唇ヘルペスまで発症してしまった。

雨が続いていたことで、最悪クルマで箱根を巡って帰る覚悟だったが、ロードバイクで走ると決めていた日は早朝から富士山が美しく見え、心を打たれた。
スマホも2007年のNokia N73からiPhone 4Sに進化し、よりきれいな写真を撮影できるようになっていた。

快適とは言い難い旅ではあったが、この時もまた、有意義な時間を過ごすことができた。

目が覚めると、昨日までは見えなかった富士山の姿があった

「また今度」にした、その時の後悔

ロードバイクで富士五湖を巡った次の日は、山口に帰る予定だった。しかし朝起きると、昨日に続きそこそこ晴れている。連休ギリギリではあったが、仕事的にも家庭的にもあと1泊できる状況だった。

実はロードバイクで巡った日、午前中は晴れていたものの午後からは曇りがちとなり、富士山は見えなくなっていたのだ。富士山をバックにロードバイクの写真を撮りたかったので、やはり心残りはあった。

「もう1日残れば、今度こそいい写真を撮れるかもしれない」と考えた。しかし、体調が優れなかったこともあり、最終的には帰宅を決める。「また今度来ればいい」──そう思ったのだ。

帰りの高速道路で「本当にこれでよかったのか?」という思いが胸をよぎった。体調が万全でなかったにせよ、なぜあと1日だけ粘らなかったのか。富士山が再び顔を出すかもしれない、あのすばらしい景色を目に焼き付けるチャンスがまだあったはずだ。もう1日あれば、もっと満足のいく旅になったかもしれない。

帰宅後、その思いはさらに強くなっていった。「また今度」と自分に言い聞かせたものの、その「今度」はいつやってくるのか。

──2024年の今日に至るまで、その機会は訪れていない。

山中湖の近くにある「花の都公園」から富士山を望む

もう「先延ばし」はせず、今を選ぶ生き方に

「また今度」は、二度と来ない。

その旅の翌年、長男が誕生した。そしてさらに翌々年には長女も生まれ、夫婦だけの気楽な生活は終わりを告げる。怒涛の育児生活が始まったことで、日常に忙殺されて一人旅どころか自由な時間すらなくなり、気づけば10年が経っていた。

子どもも少しずつ大きくなってきたが、まだまだ目が離せない。今でも、一人で旅に出かけるなんてとても考えられない状況だ。だからなのか、ふと「あの時、もう1日残って悔いのないように走っておけばよかった」と思い返す一瞬がある。

「また今度」は、二度と来ないのだ。

この出来事を機に、後で後悔しないよう、その場でできるのならすぐに実行することを心がけるようになった。多少効率が悪くても、たとえ周囲が後回しにしていても。たまに尻込みしてしまうが、この出来事を思い出して何とか踏みとどまる。

あの時の後悔から、人生は「今」をどう生きるかが大事だとも気づかされた。これからは「また今度」と言って先延ばしにせず、その瞬間瞬間の選択を大切にし、悔いのない行動を積み重ねていこうと思う。

そうして積み重ねた一つひとつの行動が、いつかまた富士五湖を巡る旅への一歩となるだろう。

必ず実現できる──私はそう信じている。

本栖湖のほとりで食べた「ほうとう」が、唯一の贅沢だった

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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