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悪化を辿る病院経営を復活させる「起死回生の一手」

原油高騰による光熱水費の上昇。
最低賃金の改定による業者委託費の値上げ。
法定福利費(※主に社会保険料の企業負担分)の増大。

支出は嵩むばかり。
一方で肝心の診療報酬は毎回ゼロ改定。
これでどうやって病院を維持するんだ。

そんな、経営に悩む病院経営者が打てる、起死回生の一手がある。

それが「バックオフィスのスリム化」である。


バックオフィスには、財務、経理、経営企画、人事、総務、庶務、広報、情シスなど、多種多様な部署、業務が存在する。


ここに思い切ってメスを入れる。
行政に置き換えれば「省庁再編」だ。

私も含め、事務方は病院に不可欠な存在だ。
一方で直接、売上や利益を生むことはほとんどない。
もちろん、決まった配置基準もない。
よって、パフォーマンスが下がらないようにしつつ、スリム化することができれば、病院経営においては絶大なインパクトがもたらされる。


例えば、バックオフィスに50人の人員がいたとする。年収は400万円/人としよう。
これを40人に減らすことを考える。20%のスリム化だ。
結果、4000万円の人件費削減となる。
法定福利費の軽減や、採用、育成のコスト低減などを合わせれば、軽く5000万円程度の経費削減となる。

病院の利益率を2.5%としよう。
するとこの改革は、なんと20億円分の売上に匹敵するのだ。
20億円分の売上を上げるためには、一体何人の患者を治療しなければならないだろうか。


部署や業務は、細分化されるほど、どうしても非効率になる。
なぜなら、部署のマネジメントを行ったり、部署連携や意思統一を図ったり、人間関係のメンテナンスをしたりするのにも、多大なコストが発生するからだ。
当の本人たちは一生懸命働いているつもりでも、実のところ、病院への貢献度は、残念ながら小さい、ということが起こりやすくなるわけだ。

今は、バックオフィスの作業効率を5倍、10倍に上げるツールも多数出てきた。その恩恵を十分に受ければ、数十%のスリム化は容易に図れるはずだ。

病院が今後生き残っていくためには、人を最大限、活かさなくてはならない。真に価値を生み出せる人材に、本当に必要なことをやってもらわなければならない。そのための改革から決して目を背けてはならない。


そして、その決断を行い、実行に移すことができるのは、

唯一、経営者だけなのだ。


「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れは、一頭の狼に率いられた羊の群れに敗れる」

フランスの皇帝、ナポレオンの有名な言葉だ。

組織はリーダーによって決まる。

この言葉が病院にも突きつけられている。
そのことを良く自覚し、覚悟を決めた経営者が存在する病院だけが、今後も生き残っていくことができるだろう。


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