マガジンのカバー画像

怪しの話

88
You Tubeのの星野しづくさんのチャンネル「不思議の館」と、ツイキャス(You Tube)の「怖い図書館」に投稿した、不思議な話や怖い話をほぼ週1回のペースで掲載しています。
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

佇む女

この話は裕二さんという男性が聞かせてくれた、彼が大学生のときの体験談です。 それは、都会の学生生活にもようやく慣れた、大学1年生の夏のことでした。 裕二さんは、とある居酒屋で深夜勤務のアルバイトをはじめました。 店が終わって帰宅するのはいつも午前2時を過ぎた頃。 寝静まった住宅街をひとり、中古で買った自転車を鼻歌交じりに漕いで帰るのが彼の日課となりました。 下町の入り組んだ細い道を縫うように15分ほど走った先の、袋小路の露地の奥にある古いアパートで裕二さんは一人暮らしをして

呪いのパイプ椅子

今回はAさんという女性から聞いた彼女の息子さんの体験談です。 息子さん(仮に芳樹くんとしておきます)は現在高校2年生、学校の部活動は広報部に所属しています。 広報部というと、昔は新聞の編集・発行など紙媒体の活動が主でしたが、最近の学校の部活動では、InstagramをはじめとしたSNSを活用したものに移りつつあるようで、芳樹くんもスマホやパソコンを使って、学校行事や各部活動の様子などを取材・発信する活動をしていました。 今年6月のこと、夏に向けた広報部の編集企画会議が開か

プリズナー

これは私が小学6年生のときの思い出です。 当時私が夢中になって観ていたテレビ番組のひとつに『プリズナーNo.6』というものがありました。 1967年から68年にかけてイギリスで製作された連続テレビドラマで、主演・企画・製作総指揮・監督(一部の回)はパトリック・マッグーハン。 『秘密諜報員ジョン・ドレイク』や『刑事コロンボ』の「祝砲の挽歌」の犯人役としても知られる名優です。 日本では1969年の3月から6月にかけてNHKで放送されていました。 当初は午後9時半からの放送でした

エンジェルナンバー

これは理恵さんという、現在26歳の女性のお話です。 彼女は両親の影響もあって、心霊やオカルトなどは一切信じないタイプの人でした。 怪談はすべて作り話だと思い、ホラー映画を観ても驚きこそすれ怖いとは一度も思ったことはないそうです。 現在住んでいるマンションも、事故物件という説明を受けましたが、まったく気にせず、家賃の安さで即決したという、そんな性格の女性でした。 ところが2年ほど前、今のマンションに引っ越してまだ間もない頃のことです。 理恵さんは真夜中にふと目を覚ましました

葬儀の家

今回は、鈴木さんという中年男性が話していた、短いですが、ちょっと不思議で気になるお話です。 鈴木さんは配置薬のルート配送、いわゆる置き薬の点検や配置の仕事をしていて、わが家にも3ヶ月に一度くらいの割合で訪ねて来ます。 10日ほど前にも訪ねて来たのですが、そのときにこんな話をしていました。 「巡回ルートの、いつも通る道の脇に一軒の家があるんですが、そこが今すごく気になってるんですよ」と彼は言います。 「最初は一年くらい前だったかな。その家の前を通ると葬式をやってたんです。