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勝手に動画分析 #33「動画のボケ感操作って思う以上に強力だ」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

今回は珍しくCM系です。


Orange ‘Easy’

 (via vimeo|Sam Pilling)


Director: Sam Pilling
DOP: Patrick Golan


今回の5項目チャートはこんな感じです。

今回のエクストラ項目は「ノンエモボケ」。エモくないボケ感演出ってある意味動画らしい気がします。


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★★]


CMらしいとても素直でクリーンなLOOK。演出要素は限りなく無いですがこういう「とても見やすい普通の色味」こそ誤魔化しのきかない難易度の高いLOOKな気がします。

逆光でも綺麗なLOOK。シンプルにすごい。


[音:★★★★]


LOOK同様に過不足なく効果的なサウンドデザイン。CM系に多い傾向ですがSE単体で聞くと演出過剰に感じるのにちゃんと世界観に溶け込んでいたりするんですよね。音量をはじめ音の乗せるタイミングやSEのチョイスなど、悪目立ちしないような絶妙な塩梅。


[編集:★★★]


CM系のつなぎは短時間で一定の情報量を伝える必要があるのでカット割りが重要ですが、さすがに無駄は一切ないですね。実は1カット1カットは1秒ほどのかなり短い尺。それでもしっかりストーリーが伝わるギリギリを攻めた上手いカット編集です。

特に冒頭の短時間で物語の始まりと人物描写をうまく消化してるのはすごい。


[構成:★★★★]


ストーリーを見せて最後にサービスのキャッチコピーがバンと出る王道構成。最後まで飽きさせないことが重要ですがシンプルでスピード感がある構成に加えてちょっと不思議なストーリー展開なので一気に見終えてしまいますね。

海外CM定番のキャッチコピーで〆るやつ。


[ノンエモボケ:★★★★★★]


動画はボケ感をエモさに使うことよりは、どちらかというとボケ量で情報の強さを調整することが多いかなと思っています。その点でこの作品はとても秀逸で、どのシーンでも注目させたい箇所をうまくボケ感でコントロールしています。フォーカス送りのシーンですら嫌味なく馴染んでるのは見事。エモボケは人物を背景からくっきりと浮き立たせることでビジュアルとしての強さを生みますが、ノンエモボケはビジュアルの強さというよりはこの作品のように視聴者への情報量をさりげなく調整したいときに効果を発揮します。ノンエモボケをうまく扱えるようになりたいなと改めて思わされた作品でした。

とくにこのスマホ落下のボケ感には唸りました。
全画面ボケがおそらく最適解で、これにより1秒間でも
「スマホが高所から落下」という点のみが端的に伝わります。
短時間ゆえ見せる部分と見せない部分を突き詰める。
短く行ったり来たりするフォーカス送りも
速度感や間が絶妙なので気が散らずに見られるすごさ。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)

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