見出し画像

大学に通う意味はあるのか

今さら通って何になる。
そう思いながらコンプレックスが深まっていきました。
勉強なら本だけでできるとタカを括っていたのに。
私は結局のところ、卒業証書が欲しかっただけなのかもしれません。

***

私は高校卒業と同時に就職しました。
経済的に大学進学するだけの余裕がなく、苦学生をやるだけの根性もないので惰性で決めたものでした。
その時の心情は、一時も早くお金を稼ぎたい一心でした。

社会に出ると学歴によって身分が異なることに気付きました。
そのことにいち早く気づいた仲間は、そこから勉強を始めて大学に入った者もいます。
私も最初はそうしようと思いましたが、割とすぐにやめてしまいました。
受験勉強や大学で勉強することに魅力を感じなくなったからです。
卒業証書のために時間を費やすのであれば、本当にやりたいことのために時間を使おうと。

そして始めたのがコンピューターの勉強。
でもやってみて思ったのが、自分の実力を証明するものが欲しかった。
当時思いついた方法が二つあって、一つは作品を世に出すこと、そしてもう一つは、資格を取ることでした。
二つともやることは時間的に厳しいと感じて、私は資格を選びました。

資格を取ってみて思ったことは、学歴社会という身分社会の中でも、ある程度通用するということでした。
シグナリング効果ってすごい!
思った以上に評価が高いので、私はどんどん資格を取っていきました。
ある程度の高いレベルまで資格まで取っていくと、とうとう取るものが無くなってしまいました。
そして、大学に目をつけました。
その時の私にとっての大学の価値は、学士という資格だけでした。

仕事があったので通信制でしか通えませんでしたが、思った以上に勉強になり、高校卒業してすぐ行かなかったことを少し後悔しました。
ただ、あの時に通っても勉強はしなかったと思いますが...

そして、大学で学ぶことでたくさん勉強なりましたが、自分の専門であるIT分野に関しては、深い知識が得られたということはほとんどありません。
自分の知っている知識に名前がついているだけでした。
まあ、その名前を知っているだけで、役に立つこともあるので否定はしませんが。

仕事の能力向上という観点では、現場に勝るものはないということがわかりました。
正直に言うと、この点から高校を卒業して社会に出たことはとても良い選択をしたと思っています。
さらに幸いしたのは、IT関係は様々な資格があり、大学など行かなくても資格と経験だけで仕事には困らないからです。

***

自分の息子達には将来の進路について、このように伝えました。

やりたいことが明確にあるのなら、さっさと社会に出なさい。
やりたいことが取り立ててないのなら、大学ぐらい出なさい。
でも、大学に入ったからとやりたいことに出会えるかどうかはわからないよ。

大学に入ったら簡単に人脈が手に入ると思ったら、大間違いだ。
勉強しない奴には、勉強しない人の人脈しか手に入らない。
傷の舐め合いをするだけの友達だったら、もう十分いるでしょ。

そして、長男は大学に進学しました。
最近ではあまり話をすることもありませんが、予想通りあまり勉強はしていないように思います。
でも、4年進学時には就活を終えて、内定をもらっています。
あまり積極的に行動しない長男が、早めに内定を貰えたのはどういうことかと思い少し聞いてみました。

話を聞くと、どうも行動のきっかけは、バイトにあったようです。
バイトによって社会を知り、そして、行動につながった。
熱心に大学の勉強を受けていたら、もしかしたらこの行動力はなかったかもしれません。
私が息子に一番勉強して欲しいと思っていたことを、やってくれた。
しかも親の手助けなく自分で見つけてくれたということはすごく大きい。

次男は専門学校に行くと言っています。
どうも美容師になりたいらしい。
大学には行かなくていいのと聞くと、勉強するものがないと言います。
一刻も早く稼ぎたいのでしょう、私の若い頃と同じです。
大学は後からでも行けますからね。

***

大学なんて時間の無駄、そう自分に言い訳をして若い頃を過ごしてきました。
でも、そんな自分に自信が持てず、資格を取ることで対抗してきました。
資格を取ってみると、そのシグナリング効果は高く、実力以上に評価されていきました。
味をしめて、どんどん資格を取っていった訳ですが、結局高卒というコンプレックスに打ち勝てず、通ってしまいました。

私にとっての大学は精神安定剤なのです。
だって、今でも通っているのですから。
今では多変数解析とか、仕事と全く関係のない勉強ばかりしています。
シグナリング効果を狙わない、大学の本当の価値に気づくと、本来の学問の良さが見えてくる気がします。

本日のテーマは、 #人が自分をだます理由 の第13章 #教育 からお送りしました。

#読書感想文 #連続投稿85日目


この記事が参加している募集

読書感想文

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! いただいたサポートはnoteクリエイターの投げ銭に使い、さらにクリエイターを応援を続けてゆきます。