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【一級建築士製図試験】免許取得に向けて「やることリスト」

こんにちは、さよきすです。

今回は一級建築士製図試験の合格に向けて、段階別にやることを書いてみたいと思います。

不合格だった年の自分に伝えるつもりで書いていますので、同じような状況の方の参考になりましたら幸いです。

ただ課題を解くだけだとあまり力は伸びない。段階的につまづきを減らし、課題を解くと力が伸びる。

2か月も学校に通っていると、受験者の間に明らかな実力の差が生まれます。

初受験の年、私は学校にはまじめに通い授業を受けていました。

しかし2ヶ月が経っても、ほとんど製図の力が伸びず、もう一度挑戦することになりました。

一方で、あまり出席していなくても、さらっと受かっていく方もいらっしゃいました。

差が生まれた原因ですが、もともとの素養に差もあったかとは思います。ですが、振り返ってみると勉強の仕方が力をつけるものではなかったと強く思います。

不合格の年にやっていたは、とりあえず課題を解くことでした。
解けた、解けないで一喜一憂していました。

当たり前ですが、この勉強方法だと自分のダメなポイントが何なのかフォーカスできません。

「何を勉強して何の理解を深めなければならないのか」がはっきりしないため、力がつかなかったのだと思います。

製図試験の課題は、簡単~難しいものまで、幅広い知識を総合的に組み合わせる事が求められます。

仮に難しい内容単体を理解していても、その手前のレベルのことができないと合格できる図面にはなりません。

ひたすらに解いていけば、時間の経過により、いつしか苦手分野も克服して受かることができるかもしれません。ですが、あまり効率がよくなく、時間がかかります。

できるだけ少ない負担で、少ない受験回数で合格するために、要素を分解し、ひとつひとつクリアしていくことが必要です。

このnoteでは合格にむけやることをリストにしてみました。間違えずにできることと、まだ不完全でできていないことの洗い出しに使っていただければと思います。

リストの序盤の内容はすでにできていたり、簡単に感じることだと思います。

やることは、簡単なことからスタートし、少しずつ肉付けをしながら、やることリストを繰り返しのみです。

気づいたことがあれば、追記加筆していきたいと思います。

【やること1】試験元のHPのチェック

学科試験が終わったあと、試験元から課題が発表されます。

試験元のHPを訪問してみると、「課題となる用途」があり、課題で求めることについて書かれています。

さまざまな課題分析を参考にあれこれ考えをめぐらすのを否定はしません。

しかし試験元が言うことがすべてです。

独自の解釈をいれることなく、まずは書かれている通り素直に受け取り、理解します。

書かれていることは絶対外してはだめな内容です。

書かれていることを理解したうえで、対策をしていきます。

注意事項には、

留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。


とあります。

HPに書かれている内容は覚えるまで、繰り返し訪問し読みます。課題を解く際、試験元が発表したことが守れているか、指示に従えているか、常に意識してください。

【やること2】建物をつくる最低限のパーツ寸法暗記

テキストでも、学校の授業でも、序盤に出てくる内容です。

中身を入れる器、骨組みをつくるためのパーツとして身につけるべき初歩的な事項となります。

どんな課題でも共通で使います。

まずは基本寸法を覚えて、図面にできるようにします。

覚えるのも、使うのもさほど難しいものではありません。特に抵抗感はないかと思います。

□骨組み
柱、梁、壁、ベタ基礎の寸法を理解し、図面にします。

□コア
階段、エレベーターは利用者、管理で寸法が違います。まず基本を押さえましょう。
他にも色んな種類がありますが、追々パターンを増やせばOKです。

□廊下
基本寸法となる利用者3m、管理2mをまずおさえます。
利用者の廊下は、課題に適用される法律により異なります。

□トイレ
よく使う7×7、7×6 1コマ分を押さえます。
1コマを0.5コマ×2に分けたものも使うので、覚えておきましょう。

あとは課題をこなしていくと、適当に納められるようになります。

手を動かして、各パーツの図面化を繰り返して覚えましょう。

<ここまでが建物の骨格の基礎を学ぶ段階。考えることはなく暗記>

レベル感:図面をトレースするのも、非常に時間がかかる。

【やること3】駐車場他外構施設の基本寸法、要求建物のグリッド・ボリュームの検討方法の理解

この段階になると、3時間目標で図面トレースを何枚か書いている頃だと思います。

図面にも慣れ始め、少しずつエスキスの学習にも入っていきます。

図面では、建物以外も図面にする必要があるため、外構施設に入る駐車場などの寸法も覚える必要があります。

□駐車場の寸法
建物に加え、駐車場の寸法も必要になってきます。
車いす利用者・利用者、サービス用駐車場が基本事項となります。

□グリッドのパターンを覚える
基本は7m×7mでスタートします。あとは、課題によって6mや8mにらなることもありますが、とりあえず頭にいれます。

これらの寸法を基本として、問題を解いていきますが、課題をこなすにつれて次第に最適なグリッドが組めなくなってきます。

ここがつまづきポイントとなってる方、結構多い印象です。

□ボリュームの検討
グリッド寸法、建築面積、要求諸室の面積、廊下、吹き抜けや屋上テラス、床面積の上限を踏まえボリュームが求められます。

考える事項が多いため、混乱しやすく、時間がかかります。

ここもつまづきポイントです。

↓尚、以下がこれらつまづきの処方箋です。

<ここまでが建物の骨格をつくるための段階>

レベル:図面を3時間程度でトレースできる。まだ自力で課題は解けない。

【やること4】法律、設備的に成立させる知識の理解

必須の内容ではあるものの、専門性が高くなるため苦手意識が出始めます。

学科で学んだことを図面にするとどうなるか、イメージしにくいため、実際に手を動かして空間的に理解します。

揺らぐことのない知識ですが、ミスすると欠格要件となったり、大きく減点されます。

理解するほど、差がつきやすいポイントです。

□法律
面積、高さ、防火、避難(2方向、距離、避難通路巾)等

□設備
電気(キュービクル、発電機等)、空調(方式、特徴、給排気、屋外機、寸法、冷媒)、給排水衛生、等

□配管
PS、EPS、MB(メーターボックス。課題による)

□廊下の法律ごとの巾
バリアフリー、移動円滑化など

<ここまでが建物として使うための知識を得た段階>

レベル感:法律、設備の知識を身につけ始めた。簡単な課題ならなんとか答案を作れるレベル。

【やること5】さまざまな課題条件に対応できるようパーツパターンを増やす。

各パーツの機能ごとに異なる寸法を覚えます。キリがないため、使用頻度が高いものから覚えていきます。

□外構のその他施設の種類
駐輪場、搬入車両・バス用駐車場、タイル、フェンス、植栽プランター(巾、奥行き、高さ)、児童用遊具、テラス等

□コア(EV、階段)
EV(寝台用、荷物用、小貨物用)
階段(1.5回転、2回転、巾3.5m)

□トイレ
便器個数が多いもの(過去問道の駅参照)
便器個数2つ程度のもの

□エスカレーター

□課題ごとに要求されている事項(採光、勾配屋根、劇場など)

<ここまでが建物の品質をあげる専門的な技術を理解した段階>

レベル感:課題条件に応じて、パーツパターンの中から適切なものを選び使う力がつき始めた。

この段階に入ったら、課題をこなして、知識の肉付けをどんどん行い、対応できないことをなくしていきます。試験で求められるのは各専門の入門的な知識です。

【やること6】課題文の読み方を覚える

□課題文の読み方の効率化
グリッドの勉強を始めたときに同時に学んでもいい内容です。課題を解く回数が増えていくと、時短、効率化を考えるようになってきます。

自分が読みたいように解釈するのではなく、書いてある通りに読むことが大切です。

↓効率よく問題を解いていくための処方箋です。3回くらいこの読み方をしながら問題を解けば、すぐ身につきます。

<ここまでが建物全般について一通り理解し、今後より深めていく段階>

レベル感:課題を自力で解くのに必要な知識を一通り得た状態。


ここまでに書いた「やること」はテクニックや知識など、調べればわかる内容、習う内容です。

以降は、課題をどれだけ解いたか、個人の努力によるところが大きいです。合格するための実践的トレーニングとなります。

【やること7】学んだことをエスキスで使う。<アプローチ⇒ゾーニング⇒プランニング>をひたすらトレーニング

□課題文のコピーを取る。方眼ノートを買う。
エスキス力を鍛えるにあたり、演習課題、過去問は、A3コピーにして、A4の5mm方眼ノートと一緒に持ち歩きます。

□ミスノートをつくる。
トレーニングをする中で、わからない箇所、詰まった箇所をメモするノートです。

□10分タイムアタック
時間があれば練習をします。
その際、課題文の読み方、グリッド・ボリューム出しの練習ができます。
課題文とグリッド・ボリューム出しの手順は必ず守ります。

□30分タイムアタック
課題文読み、グリッド・ボリューム出し、ゾーニング、各階のザクっとしたプランニング方針立てまで行います。最初はまったくできませんが、回数をこなすうちどんどん早くなります。

□60分タイムアタック
課題文読み始めから、何階のプランニングまでできるか、トレーニングします。60分でエスキス解けるよう、繰り返し挑戦します。回数をこなすほど早くなり、30分でエスキスを終わらせることも、夢ではなくなります。

課題を解いていると、どう納めたらよいかわからない、詰まってしまう箇所が出てくると思います。

理解できていない内容なので、ミスノートにリスト化し、わかるまで復習します。

<ここまでが合格に向け、問題を解くペースをあげ始める段階>

レベル感:時間はかかるが、課題を自力で解ける。復習を重ねることで、力がぐんぐん伸びるレベル。

【やること8】記述の練習

勉強した知識を使って計画したことを文章として、採点者に説明するのが記述です。

□型を覚える
言い方、表現の仕方は、決まっています。
主語・述語・要件・具体的対策を意識して書くように訓練します。

□配慮すべきことに対する具体的対策を覚える
計画、設備、構造すべてで配慮に対する対応策はある程度決まっています。

声に出し読んで、書いて、コツコツ覚えていきます。簡単な概要図もあわせて描けるようにします。

一般的に使われない技術的対策(提案)は、因果がわからないため、使わないでください。テキストや回答例を暗記します。

<ここまでくると合格が視野に入ってくる段階。合格圏内までもう少し>

レベル感:配慮すべきことと具体的対策のパターンが増え、図面にも意識して表現できるようになる。

【やること9】図面の密度をあげる。

□図面の仕上げ密度をあげる書き込みをする。
エスキスをもとに、図面下した後、配慮したことを文字として書き込む練習をします。採点者が減点できないように書き込みまくってください。

<合格もそう遠くないですが、FBで指摘がちらほらはいる段階です。>

レベル感:仕上がりに向かっています。先生方も安心しているかと思います。

【やること10】出題課題ごとの演習課題、過去問を繰り返し解き、1週間前までにつまづきポイントをゼロにする。

□本番1週間前までに、わからないことをなくす
エスキス+図面化+基準を繰り返す。記述の練習は、口頭で説明できる問題は文章に起こさなくてもOKです。

誰かに見てもらえる環境であれば、FBもらう。かっこいい表現に修正するようなアドバイスは、合否に関係ないので無視してください。

□幅広い課題に取り組む
市販の問題、違う学校の課題、過去問など出来るだけ広く課題に挑戦してみます。
それぞれにクセ、特徴があるため、あえて親しんでない出題形式を解き、試験本番の対応力をつけます。

<合格目前です。仕上がりとしては8.5割。>

レベル感:課題が解けるため、前向きになり、より完成度をあげようとする意識が芽生えます。

【やること11】試験本番まで、【やること2~10】を繰り返す

9月中にはどんな問題も解けるようになっていると一安心です。

とはいえ、難しい、あるいは癖のある課題もあります。そんな課題は解けなくても気にしないでください。

10月にはいったら、新しい課題にに挑戦する必要はありません。復習に徹します。エスキスがはやくなると、1日3〜4つは課題がこなせるようになります。

<合格が手に届き始めています。仕上がりとしては9.9割。>

レベル感:課題を解くごとに、どんどん実力がついている実感が湧く。やってきたことに自信が持てる。ただし、自分の実力は過信しない。謙虚にやるべきことを繰り返す。

【やること12】試験前日はゆっくり耐力温存

□体力の温存に努め、確認程度にとどめる

本番前日は、根詰めてやりません。

基本的なパーツや確認しておきたい知識の復習、ミスノートを眺めるくらいで十分です。

課題も確認のためにさっと解く程度にします。

レベル感:やること11までを達成し、落ち着いて自信がみなぎっていれば、合格レベルにあります。このレベルに達するまで、2〜11を繰り返します。

【やること13】試験本番、緊張しそうになったら目をつむって深呼吸。リラックスする。

□当日朝は、気になることを最終確認する
当日朝も念のため、苦手な項目、よく間違えた項目などが問題なく対応できるか、会場に向かう途中で確認します。復習事項が多いと試験前に疲れてしまうため、極力少なくしておきます。

□試験開始前にトイレの位置も確認しておく。
長丁場の試験なので、念のためトイレを確認しておきます。

□エネルギー源を確保しておく
試験中のエネルギー補給用に、飲み物やチョコ・ぶどう糖を確保しておきます。少し休憩する際に、口に入れます。

□以上がおわったら瞑想して集中
どうしても高揚するので、目を瞑って気持ちを落ち着けます。他の人が何をしてても気にしません。自分にのみ集中します。

□課題を解く
これまで練習したことを発揮するのみです。

レベル感:ここまできたら、きっと合格しています。

【やること14】ゆっくり過ごしながら合格発表を待つ

□やりたくてもできなかったことに時間を使う。

□たくさん寝る。

□師走を楽しく過ごす。

【やること15】合格のお祝い

□協力・応援してくれた方々に感謝を伝え、お返しをする。

□美味しいご飯を食べながら、頑張った自分をほめる。

□来年は違うことに時間を使える喜びをかみしめる。

【やること16】免許申請

□合格通知を握りしめて、免許発行を申請しにいきましょう。

これであなたも一級建築士!

この記事があなたの勉強の励みになりましたら幸いです!

それではまた次のnoteで!


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