【脱120分エスキス】初受験の時の自分に教えたい要求室のコマ数とエスキスの重要な進め方

このnoteは一級建築士製図試験のエスキスが苦手な方向けに書いています。私も最初は、まったくわからない状態でしたので、気持ちは大変わかります。やり方を正して、練習をするとエスキスって実はそんなに難しくありませんよ。

以前の記事でもチラッと触れたことのある内容ですが、今回は要求室の面積に対して割り当てるコマ数についてです。

結論としては、

①要求室の面積に必要なコマ数は採用したスパンでつくられる1コマ分の面積で割って算出。
②所要室の部屋は基本的には0.5コマの倍数
を原則とする
③部屋の配置の前に、前段で組み上げたグリッドとスパン寸法が超重要。

①、②は問題を何問か解いたり、自然に身についている方にとっては知っている内容かもしれませんね。

③はルールを適用して案を導いていくための第一関門となるものです。これを踏まえて、エスキスはルールと手順に従うことでできあがります。

1.要求室の配置は、なにはともあれグリッドから

まず①、②を飛ばして③から説明します。

課題分をみると、要求室の面積が記載してあります。

私はエスキス始めたての頃、エスキスのやり方もわかりませんでしたし、グリッドの根拠がわからず、要求室の面積から必要なコマの大きさ、寸法を割り出して「部分」⇒「全体」を考えていました。お察しの通り、まったくエスキスが進まないか、すごく時間がかかります。

要求室の面積から想定されるコマの集まりにより、グリッドが組み上がるのではありません。

もうわかっていらっしゃる方もいるでしょう。そう、逆です。
エスキスは必ず「全体」→「部分」、「大」→「小」で進めます。

グリッドと要求室の関係を考えた時、当然グリッド=全体となり、要求室=部分となります。

要求室の配置にあたってはまずより大きなイレモノであるグリッドが組めているかどうかが後の工程に大きな影響を与えます。

グリッドを組んでから、「Ⅱ.建築」を照らし合わせてスパンを決めます。

グリッドの組み方は、以下の記事にアップ済ですのでよろしければ、ご覧ください。

2.グリッドをつくった後は、スパン寸法を調整

寸法の割り当てについては、グリッド決めた時点である程度候補があがっているはずです。基本のグリッドの導き出し方を押えてから、6m、7m、8mの寸法を調整していきます。

尚、1コマ7×7で構成する練習しかしてないと昨今の課題文では対応できなくなっていると思っておいた方が良いかと思います。

なんでもいいので、いくつか課題文を見てみてください。

要求室の面積が「約50㎡」だけでなく「約40㎡」と書かれているケースもありす。

では7m×7mのグリッドパターンしで、要求室面積:約40㎡(バルコニーなし)に対応しようとするとどうなるでしょう。
(要求室の面積を確認した時点で、そんなグリッド寸法は除外かとはおもいますが。。)

まずは想定される面積の確認ですね。

1割の増減は許されるため、0.9~1.1倍の範囲に納めないといけません。
すると40×0.9=36㎡~40×1.1=44㎡の部屋面積で作図すれば良いことになります。

7m×7m=49㎡のコマの中に納めようとするとどうなるでしょう。

X方向7m幅ならY方向の寸法は36㎡÷7=5.1→6mとなります。7m×6m=42㎡となるので、1割増しの面積44㎡内ですね。

しかし、Y方向スパン7mに対し1m足りません。廊下の真ん中に柱が出てきてしまいます。

またX方向7m幅を2分割して、幅3.5mの居室とする案だとすごく細長い部屋になってしまう上、他に必要な設えがあった場合納めにくい計画となってしまいます。

では当ケースの対応ですが、1コマの寸法を7m×7mではなく、6m×7mもしくは7m×6mでグリッドを組んであると、無理なく納めやすかったということになりますね。

このスパンの調整をどの段階でやるのか。

グリッドを組んで、チビコマや4倍コマに書いた段階で行っていきます。

くれぐれも大きくて見やすいからと、いきなり1/400サイズで始めることはしないでください。なぜなら、部屋の要求室面積をみてから、都度グリッドや寸法をまるごと書き直していたのでは、時間のロスが非常に大きくなるからです。

前回の下書きについての記事でも書きましたが、チビコマや4倍コマを使ってグリッドをきったら、グリッドの付近にスパン寸法を記載しておき、修正が必要であれば、その数字のみを書き変えることで時間を節約します。

チビコマ(あるいは4倍コマ)の段階で、
課題文⇄チビコマ⇄要求室の配置
を行ったりきたりして、納めるべき面積を押さえながらスパン寸法の調整を行っていきます。

3.要求室のコマ数の決め方

冒頭①、②についてですが、書いてある通りです。

グリッドとスパンの構成ができたら、要求室面積÷1コマの面積=必要コマ数が出して、外壁部分に来る部屋、大空間となる部屋から配置していきます。

そして冒頭に部屋はコマ数の0.5倍の倍数と考えてください。そしてスパン寸法がうまくいっていると、自然に0.5倍の倍数となることが非常に多いです。

4.グリッドの設定が失敗しているときにおこることと対処法

繰り返しますが、そもそもの建物の外枠であるグリッドで方向性が決まり、グリッドがまずいとスパン割をいくら調整しても課題文を満たすようには納まりません。

要求室を配置した終盤で廊下が不自然とか、すごく細長い部屋がある、動線がきれいに通らない、部屋の関係がおかしいということもあるかと思います。

もしそうなった場合は手戻りを辞さずグリッドの組み方から考え直してください。

またエスキスは検討の繰り返しですが、

1案ずつ積み上げては壊しを行うわけではありません。

複数案を考え条件に合わない案は捨て、最も課題文に近い案を採用します。

また案の細かな納まりの検討はグリッドが確定し、部屋割りができた後に行います。ラフな案(チビコマや4倍コマの要求室を配置したもの)の段階で、まず課題文を満たしていることが最重要です。あまり無責任なことは言えませんが、建物を実際に建てることを想定して、例えばPS、EPSが通せるか気にするのは後回しです。そして細かなことはどうにでもなります。

採点する立場の方も、大量に図面がある中、あまりに細かいことまで見ていられないのが現状かと思います。

今回は以上です。

改めてまとめると、

①要求室の面積に必要なコマ数は採用したスパンでつくられる1コマ分の面積で割って算出。
②所要室の部屋は基本的には0.5コマの倍数
を原則とする
③部屋の配置の前に、前段で組み上げたグリッドとスパン寸法が超重要。

となります。

他にも私の実体験をもとに、グリッドの設定が間違っているときに起こることについても書きました。

もし、ご質問などがあればtwitterなどでメッセージ頂ければと存じます。

私はいざ一級建築士の製図の試験に合格してみると、こんなものだったのかと拍子抜けしました。余計なことに如何に時間を割いていたのかとつくづく思います。

あなたも貴重な時間を削って試験勉強に臨まれていることと思います。
できるだけスパッと受かって時間とお金を他のことに使えるようお祈り致しております!

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