50歳の母の挑戦

母が、韓国語を勉強しはじめた。

わたしは親元から離れて暮らしているので、母が韓国語を勉強し始めたことは叔母(母の妹)のラインからおしえてもらった。

「テキスト買って、はりきってたよ~」

このとき、わたしは驚いたとともに、「やるじゃん」とちょっと誇らしく思った。

ーー

母はこのころ、韓国のアイドルグループのBTSに夢中だ。
帰省をすると、BTSの良さを知ってほしいのだろう、とてもたくさんのことを教えてくれる。

昨年末に帰省したときは、SNSのアカウントを一緒に作った。
BTSをはじめとして、韓国のアイドルはSNSなどでたくさん情報を発信しているそうで、それを見たいんだと言っていた。

昨年夏に変えたスマホをえっちらおっちらさわりながら、アカウントを作った。BTSメンバーのアカウントを見つけては教えて、自分のタイムラインに彼らの発信が流れるようになってとても目を輝かせていた。母が、慣れないことをやりながらも、新しい世界に触れていく姿をみると、ちょっとほっこりした。

彼らの発信の内容は、韓国語で書かれているものが多い。翻訳機能をつかっても、やはりちょっと変になってしまう。

「あ~これ変になるじゃん」
とぶすっとしていたので
「韓国語勉強すればいいじゃん」
と軽くすすめてみた。

母は韓流ドラマが大好きで、ここ10数年いろんなドラマを追っかけている。
録画を撮りためて、毎日追っている。ただし、その状況でも韓国語を勉強しようという気持ちにはならなかったようだ。まぁ、吹き替えや字幕が出るので必要性が低かったというのはある。

長い間、勉強をする習慣がなかったので、語学の勉強のハードルはとても高いと思う。それでも、推しのためならよくわからないSNSを使いたいと思うその意欲に、ちょっとかけてみた。

そのときは、う~ん、そうねぇ、と言っていたので、しばらくはやらないだろうなと感じた。まぁ、自分がやりたいと思ったときにやってもらうのが一番なので、わたしもそんなに強くは勧めなかった。ただ、勉強し始めたら、また母の世界が広がっていいだろうなぁとは思っていたので、内心挑戦をしてほしかった。

そこから数か月、母がとうとうテキストを買った。

「一番かんたんなのにしたんよ」

ちょっとはにかんで母が言っていた。

ーー

慣れないことに挑戦する母を、誇らしく思う。
わたしも負けられない。

次会えるときは、どんなことを勉強したか、聞いてみよう。
そして、わたしが挑戦していることも話してみよう。

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