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王女モドキ物語~妻野香乃の買い物編~

【王女モドキ物語 ~妻野香乃の買い物編~】

王女モドキ、黒髪の長髪で紫色の左目を持つ男。

今日は、自身が寝床としている屋敷の書庫にいて本を読んでいる。

そうすると、書庫の扉の向こうから声がした。

「ちょっと買い物に行きたいわ」

落ち着いた少し高い女性の声だ。

扉を開けると、緑色のやさしい眼差しがこちらに向けられた。

王女モドキは、その緑の眼差しと目を合わせ言ったよ。よし、行こうって。

王女モドキは、オレンジ髪で緑色の目を持つ女性、香乃と灰色ツインテールにピンクの目のキラメアを屋敷の外に立たせると、二本ある赤色のしっぽをぐんぐん伸ばし二人にそれぞれ巻き付けた。

そして持ち上げると走り出す。

雷土国(らいどこく)の方角へ、馬が走るようなスピードで走った。

雷土国までは、王女モドキの足でだいたい2日かかることだろう。

誰も運んでいなければもっと早いが、人をやめた王女モドキだからやれることだろう。

海のような広大な森、ひとよらずの森、この森を走って、雷土国を目指す。

その道のりは、人間には、たやすくない。

宝石や果物、木材など、たくさんの資源が眠っている森では、あるが、赤色の二本のしっぽを持つ、そう、王女モドキのような、ひとよらずの怪物がたくさんいるんだ。

特に危険な怪物は、拒絶のレレラという蛇だ。

レレラは、人が嫌いなんだ。

人間が森にいるのに気づくとすぐさま襲いに来る。


時折、王女モドキも奴と戦うが、何度もお互い、痛い目をみているだけに、戦いは、割と消極的だ。


走っている最中案の定、香乃という王女モドキが運ぶ、人間に気づいてレレラが現れた。巨大な大人の人間より大きい緑色の体と赤い二本のしっぽをくねらせ、1つ目で、こちらをにらむ。

けれど、大蛇は、何もせず、その場を離れた。

ひとよらずの怪物の一体、王女モドキ陣営の者と気づいたからだ。

お互い、もう痛い思いはしたくない。だから、見逃してくれたよう……

妻野香乃とキラメアは、もう、ひとよらずの怪物の一体、拒絶のレレラに襲われることは、ほとんどないだろう。

今まで何度、大蛇は、青い刀で、切り裂かれたか、今まで何度、剣土国(けんどこく)のお姫様に似た男は、体を砕かれただろう。

その痛みの記憶が戦いを止める。

三時間ほど走ったあと、三人は休憩をとることにした。

王女モドキは、紫色の目を閉じて、茶色い右目だけを開けて木にもたれかかり楽にする。

キラメアは、魔法で透明化して、その辺をうろうろしている。

妻野香乃は、赤いマニキュアをした爪を眺めていた。

「キラメア、どこに言ったのかしら」

「わからない、能力で伝記を作らなければ……」

「魔法で音もなくて、姿も見えず、目の下に、刻んだ紋章の力で、体温すら周りと溶け込んでいる、本当にすごいわね」

香乃と王女モドキのたわいもない会話。

これだけで。ある程度幸せだ。

しばらくすると、果物の甘い匂いがした。

「キラメアだね」


王女モドキがそう言うと透明化を解いて、赤い木の実を持った、青白い皮膚をもつキラメアが現れた。

身に付けているものや衣服、持ち物を透明化させていた。キラメア。だが、果物の匂いは、消せていなかったようだ。

ちなみに、犬のように、嗅覚(きゅうかく)に優れている動物ならキラメア自身の匂いで、気づけるだろう。

キラメアと王女モドキと妻野香乃は、果物を食べて少しくつろいだ。

それからまた2人を運んで、約2日を使い、雷土国まで無事に進んだ。


国から少し離れたひとよらずの森の木々にキラメアと王女モドキは、隠れて。香乃が中に入るのを見守った。

雷土国の国境には、たくさんの成人男性くらいのカミキリ虫型のロボットが歩いていて、ひとよらずを感知すると、飛び上がって戦う。

そうやって国を守っているのだ。


何事もなく、カミソリのように、切れ味の良さそうな牙の横を通り香乃は、国に入って行った。


買い物をゆっくり、香乃がしている間、王女モドキは、腰に装備していた刀を鞘から抜いて、素振りする。

ひとよらずの怪物だって鍛えなければ衰える。

少しの努力は、必要だ。


青い刀身に。赤い二本のしっぽの生えた名刀【ひとめ】をなんどもなんども、振るった。

そして、刀を鞘に納めると、キラメアが目を輝かせ、小さい声を出した。


「かっこいいです。王女モドキ様」


そんなことをして、過ごしていると、香乃が帰って来た。

王女モドキと無事に合流して、ゆっくりまた帰る。


日が完全に、落ちた頃、三人は焚き火をしながら、倒れた木の近くで休んだ。


暖かいオレンジの光が三人を優しく照らした。


「ねえ、モドキちゃん、今日、買い物をしている時、ひとよらずの怪物にやられた人が病院に運ばれて来るのを見たわ。付き添いの人がやられるのを見て運んで来たみたい」


「そうか、傷だらけだったか?」

「いいえ、外傷は、小さい噛み跡が肩にあっただけ、でも、立って歩くことは、もちろん、意識はあるのに、話せなかったわ……」


「いったいどの人よらずにやられたのだろうね。私の能力を使って探るにしても、襲った方か、襲われた人間どちらかをこの紫の左目で見ないことには過去を探って情報をあぶり出すこともできない」


王女モドキは、本をどこからともなく取り出し。目の前の短い草の上に広げる。


「あまたらか、拒絶のレレラ、苦もひも……」


そうやって名を読み上げながら、いくつも、いくつも、開いて置いていく。


そして、流し読みをする。


「うん、最近、人間を襲ったひとよらずの怪物は、この中にいない」


王女モドキは、疲れた顔をして、そう言う。


「ありがとうモドキちゃんそろそろ仮眠を取りましょう。キラメアと私で、見張るから、少し休んで」


「ありがとう香乃」


「お休みなさいませ、王女モドキ様」


「キラメアも、ありがとう」


王女モドキは、すぐに眠ってしまった。落ち葉が集まった場所で。

キラメアは、その後、能力で出された本をさわって、首をひねる。

「相変わらず、読めないねぇ」


黒く塗りつぶされたページがたくさんあることしか、わからない。この黒い部分を読んでいるらしいが、人間には、読めない。


それから、香乃とキラメアは、三十分ほど仮眠の時間を確保した。


だが、そこまでだ…………


灰色のカエルのようなひとよらずの怪物が目の前に現れる、王女モドキは、刀を構えようとする。


刀が、ない!?


それどころか、キラメアも、香乃もいない。


それに驚いていると、ピンクの毒をまとった奴の触手が迫る。


後ろにバックステップしようとすると、足がうまく動かない。


重い!!


逃げ切れず、身体中に触手が巻き付く。


「あぁあああ」


全身に毒を流される。痛かったり、かゆかったり、熱かったり、冷たかったり、次から次へと違う感覚がする。


細胞が悲鳴を上げている、全身の細胞が正常さを次々失う。正しく生きようと抗う全身の細胞が壊れていく。

全身に毒が染み込み、ひたされた。

それでも、王女モドキは、容赦なく強い瞳をカエルのような灰色怪物に向けて、うまく動かない体で前に進もうとする。

声にならない叫びを上げなから視界が歪もうとも、前に進む。

火事場の馬鹿力か、足に力が戻る。全身のまだかろうじて生きている細胞達に抗え!!と命令を出し、触手を強引に引きちぎり、高速で敵に近づく、そして、右足で側頭蹴り、前蹴り、かかと落とし、踏みつけ、毒怪物の岩みたいに硬い体に叩き込む。

そうすると、カエルのようなひとよらずの怪物は、粉々ぬ砕け、岩が粉砕されたかのごとく、灰色の砂煙が舞う。


そして、跡形もなく、奴が消えると、暗闇だけが残る。


それでも、王女モドキは、前を見て歯を食い縛る。


(全身が毒にやられて、正常じゃなくなろうと、私は、負け犬になるつもりも、世捨て人にもならない!、どのような存在で現状あろうと、かっこよく、強くなるため、鍛える!戦うぞ!)


王女モドキは、心の中で叫びを上げた。


すると……


目が覚めた…………


誰かが呼んでいる。


「盗賊よ、モドキちゃん起きて!」


「王女モドキ様、私一人では、手に余ります!」

(キラメア? 香乃?そうか、さっきのは、夢か、毒カエルの怪物は、ルウォルに完全に森の外で倒された生きているはずがない)

「わかった、ひとよらずの森に踏み込む命知らずの人間の盗賊共に、王女モドキたる姿を見せよう……」

先ほどと違い名刀ひとめが腰に装備されている。その刀を握りつつ、姿を女性に変える。


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そう、剣土国(けんどこく)の第三王女の姿に、紫の炎を思わせるオーラに包まれると、男性形態の黒髪と違い、長い白髪で、紫と茶色のオッドアイ、美しい、王女モドキがかつて好んだ女性の姿になる。名刀ひとめが嬉しそうに二本の赤いしっぽを振る。


凄まじい切れ味で、相手の刃物を名刀を押し当て刃を刃で切り裂く。二人の武器を全て切り裂いてしまうと、奴らは、怯える。合計四人、枯れ葉のような周りに溶け込む服を着た四人のうち二人は、今ので戦意を失う。


あと、二人!

振り返ると、キラメアが炎の魔法で足止めして、距離を取る。


そして、香乃の前にピタリと二人を無力化し王女モドキが付いたのを見ると、透明になり、姿を消して、二人の盗賊を背後からピンクの杖を背中に押し当てつぎつぎと、そこから、どろどろの青い液体を出し2人を地面に張り付けた。


戦いは、終わった。

夢の中の戦いのほうがはるかに大変だった。


そんな戦いが終わり合計2日半かけ、帰り道を無事に進み抜いた。


住みかの屋敷に帰ったら香乃の買ったクッキーを食べて楽しくお茶会をした。

END