見出し画像

"女性向け"の発信をあえてしてこなかったfreeeが、自社のアンコンシャスバイアスに気づいた話

こんにちは。DEI(Diversity/Equity&Inclusion)のmioです。毎年3月8日は #国際女性デー 。freeeでも情報発信を行ったり、イベントの企画を行ったりと、様々な仕掛けに取り組みました。その内容について、「あえて共有」します。

国際女性デーとは何か?
freeeが発信を始めた理由

国際女性デーは、女性の地位向上、女性差別の払拭等を目指す国際的な連帯と統一行動の日とされています。1904年3月8日、ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こしたことを起源とし、毎年3月8日は国連がこの日を国際女性デーと定めています。

「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げるfreeeは、スモールビジネスを通じてみんなが最高の自己表現をできる世界を目指しています。
私たちの目指す世界は、「だれもが各々の個性を活かし、公平な環境でビジネスができ、人生が豊かにオモシロくなっていく世界」です。それはジェンダーに囚われずに働ける世界もあります。DEIポリシーにもある通り、前向きなチャレンジがしやすく、誰もが自然体で働ける環境を作りたい、と願って、実は2022年から草の根で国際女性デーなどにジェンダーを考えるイベントを社内外に向けていくつかやってきました。

ですが、特定のジェンダーに向けた情報発信は「ジェンダーに関わらず誰もが自然体で働ける環境をつくる、というfreeeの理想と逆行するのではないか」と考えて躊躇してしまっている面もありました。
でも、この「躊躇」こそが、物事が良くない方向に進んでいるにも関わらず「私の置かれている状況は問題がない」ととらえてしまう正常性バイアス(アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の一つ)なのでは無いかと考え直し、今回は発信をすることにしました。

現在、日本のジェンダーギャップ指数は2023年には世界125位となり、過去最低を記録しています。
また、私たちfreeeの男女比率は、2023年6月時点のfreeeでは、女性は社員のうち25.23%しかいません。管理職に至っては、12.55%に留まっています。

このような現実を受け止め、状況をなんとか変えたいという思いを大切にして、

1) 今の現状を素直に伝える。
2) この先freeeとして実現していきたい環境への意思表明をする。

この2点を達成するために、今回の企画がスタートしました。

freeeのミッションの半分は、
女性でできている。

社内で多様な意思決定ができる状態を目指し、2030年に向けて、社内の男性比率・女性比率をともに45%以上※にすることを目指していくこと。
意思決定に関わる指導的な役割を担う女性の比率も、同水準を目標にすること。
※残り10%は性別を分類されたくない人を含む

この目標を掲げる背景には、私たちが向き合うスモールビジネスの姿がありました。

日本の人口のうち51.4%は女性※
日本の事業者数のうち中小企業は99.7%。
つまり、日本の中小企業(スモールビジネス)の約半分は、女性が支えています。
※日本の人口2023年1月1日現在 12,477千人中女性は6,412千人(総務省統計局調べ)

日本で働くたくさんの女性たちに向けて、実際にfreeeをご利用されている方にも、freee社員にとっても、働く環境を良くして、やりたいことに費やせる時間や、家族と過ごす時間を作れるようになりたい。

そのためにfreeeには、まだまだできることがたくさんあるというメッセージを動画に乗せて、webページに掲載しました。

実際にプロダクトをご利用いただいているユーザーやfreeeの認定アドバイザーに取材を行い、働いている風景を撮影させていただきました。
また、私たちfreeeでも女性が自然体で働いている様子を伝えています。

Women in Product「プロダクト開発におけるダイバーシティ」に込めた想い

3月8日当日は、freeeで働く女性たちを知ってもらうイベント「プロダクト開発におけるダイバーシティ」を行いました。
プロダクト開発の現場にスポットライトを当てるイベントで、マイノリティに属する人も、マジョリティに属する人も、自分が好きなこと、得意なことに当たり前に挑戦できる世界になっていってほしい、という強い願いを込め、International Women’s Day2024公式イベントとして催行することになりました。

プロダクト開発におけるダイバーシティイベント告知画像。登壇者の小泉、襲田、孝橋、品田の顔写真とともにイベントの概要が説明されている。
プロダクト開発におけるダイバーシティ告知画像

誰かに変えてもらうのを待つのではなく、自分たちの手で世の中を変えられるようになろう!
やってみて、失敗して、学んで、変えていく、というプロセスはプロダクト開発と一緒だというメッセージとともにイベントはスタートしました。

冒頭は金融渉外部長 兼 プロダクトマネジャー/慶応義塾大学SFC特別招聘教員 小泉美果から、
「データでみるWomen in Product」というテーマで、
ジェンダーギャップが「日常生活における実害」として表出しているFactが6つ紹介されました。
特に、男性へのアンコンシャス・バイアスや男性側がマイノリティとなっている社会課題については、会場から驚きの声も。

当日のグラフィックレコーディング。登壇者4名の似顔絵と小泉の登壇内容が書かれている。日本のがジェンダー後進国であり、この20年世界から送れてきた話とともに、驚きのジェンダーギャップのファクト6つを提示している。①医療・製薬に大きなバイアスあり②製品の安全性checkが男性向け③命の値段も違う…?!④給与・昇進も男女差大⑤検索のアルゴリズムのジェンダーバイアス⑥男性がマイノリティの分野もある
当日のグラフィック・レコーディングその1 小泉「データでみるWomen in Product」

 今年もグラフィック・レコーディングを担当してくれたのは、ソーシャルグラフィックデザイナーのMiyakoさん。総合商社からキャリアチェンジされ、個人事業主としてfreee会計を長年使ってくれています。

プロダクト開発に携わる女性メンバーを中心に、世の中のジェンダーに対する変化をはじめ、働き方やキャリア形成について議論を行いました。
登壇してくれたのは、前述の小泉と、
プロダクトマネージャー 孝橋麻衣
外部サービス連携部 同期機能開発チーム 襲田絢香 の3人。
モデレーターとして私が3人の話にツッコミを入れさせてもらいました。

当日のグラフィックレコーディング画像。登壇者3人+モデレーターの似顔絵とともにそれぞれの人生曲線とプロダクトづくりで性差を感じる?という質問と回答をそれぞれ感じる/感じないというコメントが書かれている
当日のグラフィック・レコーディングその2 3人のキャリアの決断と悩み

製品開発やコミュニケーションにおいてダイバーシティがどういう影響をもたらすのか、
freeeの取り組み事例やプロダクト開発者としてのキャリアの積み方など、失敗談も交えて、
イベントならではのココだけの話も盛りだくさん。
マイノリティという文脈では、女性だけではなく、国籍や言語の違いや、視覚障がい者のアクセシビリティなど、freeeがこだわるインクルーシブな開発プロセスについても、実務的な視点から会話が進んでいきます。

率直に不安も悩みも登壇者が素直な気持ちを吐露してくれていて会場参加の皆さんと、私も一緒にうなずく話ばかり…。

これからのキャリアについて、新しい職種のドキドキと不安・卵子凍結=未来への投資・身近に実例がいるととても聞いてみたい女性も多そうという記述。またプロダクト開発におけるダイバーシティでは、女性が書いたコードが女性とわかっていないときのみ採用される率が高いデータが有る話や、なぜ開発チームで多様性が必要なのかという文脈で、具体的な事例(コンシューマ理解、イノベーション・クリエイティビティup、スキルの多様化、利益向上、社員満足度up)が書かれている。女性自身の働き方では、自分自身が声を出して伝えれば他の人にとっても話しやすいチームになっていく(例:生理が重いときはお休み頂く)と記載されている。
当日のグラフィック・レコーディングその3 これからのキャリアとプロダクト開発におけるダイバーシティ 

その後の個別セッションでは、以下の内容で個別のセッションを行いました。
会場とオンラインそれぞれ分かれての実施となりましたが、各セッションそれぞれ話題が異なった内容で盛り上がっていました。

①「20代前半で2回のキャリアチェンジ!成果を出し続けるプロダクトマネージャがプレイヤーから管理職になって学んだこと」プロダクトマネージャー 孝橋麻衣
②「東大からスタートアップへ!ユーザ視点でプロダクトを成長させるエンジニアの苦節キャリア」外部サービス連携部 同期機能開発チーム 襲田絢香
③「興味がない人をどう巻き込む?DataでみるGenderGapとbest practice」金融渉外部長 兼 プロダクトマネジャー 小泉美果
④「D&Iアワードで「トップインクルーシブカンパニー」に選ばれたfreeeの拡大を支え続けた採用担当が語る「D&I」とfreeeの採用基準」DEI lead 吉村美音
⑤「実際に育休/産休を経てfreeeで育児をしながら働くことを本音でCCOが語ります。」Chief Culture Officer 辻本祐佳

交流会の時間も登壇者と参加者で大いに会話が盛り上がり、イベントは無事大盛況で終了できました。
やってみれば、とても本音で話せたイベントでした。

freeeのasobibaにて撮影した集合写真。freeeのロゴの後ろに左から辻本、品田、襲田、孝橋、小泉、吉村が並んで笑っている。
登壇者6名の集合ショット

実は、今回このプロジェクトをやって一番感じたのが、自分自身のアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)に抗うことの難しさでした。

創業間もない頃に比べて、社内に女性が増えていること、安心して働ける環境ができてきていること、CCOがジェンダーギャップ解消をメインミッションに持ってくれていることに「私たちは良い方向に向かっている」「ここで発信をすることで、逆に社内の男性陣が違和感を覚えてしまうのではないか」と考えてしまい、冒頭でもお伝えした通り、他のメンバーを居心地悪くさせてしまうのではないかと躊躇をしていました。

そこで想起したのは、パワーバランスを公園にあるシーソーで表した例え話でした。
強者(重い人)と弱者(軽い人)が両端にいたとして、フラットな状態(平等)にしようとする場合、第三者ができることは、中立(中央に立つこと)を表明するのではなく、一歩でも弱者(軽い人)に重心を寄せることだと。
フラット(中立)でいたいのか、フラットにしたいのか、という自分自身の問いかけに、明確に「フラットにしたい」と答えが出たので、思い切って舵を切れたという背景がありました。

今回のプロジェクトは、イベントの企画や登壇者、動画の出演者だけでなく、webサイトや動画の制作に関わってくれた皆さんまで、総勢30名以上が関わってくれました。
実際に動画を制作してみて、スモールビジネスでは当たり前に女性が活躍していることが可視化されことや、
イベントを通じて、働く上での女性ならではの悩みが言語化されたことで、ジェンダーに囚われずに「だれもが各々の個性を活かし、公平な環境でビジネスができ、人生が豊かにオモシロくなっていく世界」をつくりたいという思いをより強く持ちました。

来年もより良い取り組みにできるよう、今から来年の取り組みを考えていこうと思っています。

freeeは「あえ共freee」というマガジンから、freeeの事業や組織に関する情報を「あえて、共有」しています!ぜひ他の記事も読んでfreeeを知ってくださいね。

この記事が参加している募集

今月の振り返り

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?