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センテンドレへ日帰りの船旅

7日間のブダペスト滞在中、2回ほど近郊の別の街へ日帰り旅行をしました。そのうちのひとつ、センテンドレは、ブダペストから北へおよそ20㎞ほどの距離にある街。もちろん電車でも行けますが、今回はドナウ川に沿って船で往復することにしました。
午前10時30分、ヴィガドー広場前の船着き場から出発です。

船着き場の正面にそびえるコンサートホール・ヴィガドー。建設は1865年ですが、
オリジナルは第二次大戦で破壊されたため、現在の建物は1980年に再建されたものだそうです。
まず鎖橋の下をくぐります。よく見ると吊り橋のケーブルの上に補修工事の人の姿がありますね。
つづいてマルギット橋。水面から見上げると、また違った美しさのある橋です。

行きはドナウ川の流れを遡ることになるため、所要時間は約2時間。電車で行く方が圧倒的に早いですが、川岸の風景を眺めながら船でゆっくりと川面を進む時間は、それだけでも風情があって楽しめます。

途中の川岸にあったオシャレな家。住宅なのか、それともレストランや貸別荘なのか。

川岸の浅瀬には釣り人やピクニックをしている家族の姿も見られましたが、かなり暑い日だったにも関わらず泳いでいる人は見かけませんでした。水面は穏やかそうですが、意外と流れが速くて泳ぐには危険なのかも。
そんな風にして、ボーっと景色を眺めているうちに、センテンドレの街が見えてきました。予定より20分以上も早い到着でした。

船着き場は観光の中心地に近く、ほんの少し歩けば観光ガイドなどに写真が載っている賑やかな通りに出られますし、川岸にもカフェやレストランが並んでいます。到着したのがちょうどお昼時でもあり、だいぶ混雑していたので、夫と私はお昼ご飯を後回しにして、少し観光の中心地から外れた辺りへ行ってみることにしました。

普通に人が住んでいるらしい家。屋根がうにょんと波打って、屋根裏部屋の窓になっています。
この屋根の形は伝統的なもののようで、この街のあちこちで見かけました。
戸口の上にとりつけられた飾り金具が、いちいち可愛らしい。

船から見たときは平坦そうに見えましたが、川から少し離れると、意外にも小高い丘になっていて、幅の狭い登り道がたくさんあります。その中のひとつに、ハンガリーの大作曲家・バルトークの名を冠した通りがありました。地図によれば、これを登っていくと見晴らしの良い場所があるようです。

坂道の途中にあった家の番地を記したプレート。バルトーク・ベーラ通りとあります。
坂道の途中にいた猫

細い坂道の両側は、ずっと住宅の壁が続いていたのですが、昇り切ったところでその壁が途切れて視界が開けたと思ったら、ドナウ川と向こう岸を見晴らす高台になっていました。
ここから見るとずいぶん川幅が狭く見えますが、実は対岸に見えるのは大きな中州で、こんもり茂った木々の向こう側にもドナウ川が流れています。

高台から上流側を眺めたところ。川は写真の左から右へ向かって流れています。
こちらは下流側。写真右の方角へ川を下るとブダペストに着きます。

こんな風にして散策しているうちに、さすがにお腹もすいてきたので、そろそろ中心地の方へ戻ることにしました。どこかレストランに入ろうと思っていたんですが、途中で他の観光客が手に持っていた「ラーンゴシュ」というスナックがあまりに美味しそうに見えたので、私たちも狭い裏通りにある小さい店で出来立てのアツアツを買って食べました。
写真を撮るのを忘れちゃったけど、平たい揚げパンの台にチーズやサワークリームを乗せた、ハンガリーのファーストフードです。ひとつ食べると、けっこうお腹が満足します。

センテンドレは芸術家の多い街、とガイドブックにある通り、土産物屋に混じって小さな画廊やアトリエが散在していて、絵画や工芸品などを販売しています。特に何か買うワケではないけど、この日はとにかく暑かったので、陽射しを避ける目的もあって、そんなお店をいくつか見て回るうちに、帰りの船の出航時間が近づいてきました。
午後5時、船に乗り込んでセンテンドレの船着場を離れます。

帰りは川の流れに乗って進むため、来た時よりも明らかに船の速度が速いのが、景色を見ているだけでも分かります。同じ距離を半分の時間で滑るように進んでいき、あっという間にマルギット島が見えてきたかと思うと、もうブダペストに到着です。
とはいっても、1時間弱かかっているんですけどね。

船の上から、マルギット橋ごしに見えた国会議事堂

電車で時間を節約するのも一つの考え方ですが、船でのんびり往復するというのは移動時間さえも楽しめて、けっこう満足度が高かったです。特にこの日はホントに暑い一日でしたが、川の上を吹く風は涼しく、気持ちよく楽しめた日帰り旅行でした。