見出し画像

#102 縦社会の功績【Gt.Fu-ki】

 前回はオジサンが懐かしがる縦社会の負の側面に光を当てましたが、今回は功績についても。
 
 先輩と遊ぶとなると、30分以内に駅前に来いとか、今から迎えに行くから準備して待ってろとか、平常運転です。前者は携帯電話が一般化してから、後者は自宅の電話にかけてきて、親にはちゃんと挨拶をしたうえでその調子です。
 こちらの予定なんぞ関係なしに拉致られます。勿論逆らえません。ギリギリ彼女が家に来てるって言えば許されない事もない風潮はありましたが、どこまで人の心を持っているかというギャンブルです。
 因みについ最近、前者の形で呑みに行きました。この年齢になってもその仕組みは変わりません(笑)
 ここまで書いて、功罪を論じようにも罪の比率が明らかにデカイ。でもまあ、そんな無茶ぶりから呑みに行きます。
  
 まず基本的に奢りです。先輩方で割り勘するか一番偉い人が払うのか、状況によって様々ですが下っ端は奢られます。
 もしも友人と遊んでる所でそうなったら、確実に友人も巻き込み事故に一直線……ではなく、基本的には当人が断れば無理やり拉致られたりしないことが多かった印象です。
 寧ろ奢ってくれるからと巻き込まれるのを是とする人間が多かったのは時代の違いが出ていて面白い所。
 
 最初の店と酒や飯は先輩が決める、乾杯で怒られる、潰れるまで呑まされる、喧嘩する先輩を止める、次の店を探させられる。
 本当に、本当に信じられない事につい先日、このルーティンをこなしたなと。痛風オジサンでも下っ端なので(苦笑)
 冗談みたいに良い所が出てこないのですが、自分が経験して良かった所は結構沢山あったりします。
 
 奢りは前提として、まず最低限のマナーを学べる。自分の所属と名前で挨拶するってのは社会人になってからも役に立つものでした。
 対面した相手の顔は分かるが、どこの誰だか思い出せない。そんな気後れや気遣いを相手にさせず、滑らかに会話が進む。
 乾杯の仕方もそういったモノで、言葉遣いこそアレですが、一般的なマナーというよりも基本的には目上への敬意を叩き込まれたのだと思っています。
 そうやって挨拶をしっかり出来れば、初見から馬鹿にされたり煙たがられたりはしないってのを今でも肌で感じますね。ライブハウスなんかもそういった文化がまだまだ残っているかと。
 
 こうしたざっくりした半端な礼儀と共に、コミュニティが広がるってのが一番大きかった。
 キャバクラやピンサロなど風俗や水商売を始め、溜まり場になってる喫茶店やバー、当時は珍しかったビリヤードにダーツ、それこそライブハウスも。連れまわされた結果、呑みに行ける店が増えたり、友人と集まる場所になったり、行く先々で仲良くなる人が増える。
 
 今でこそ様々なSNSがありますが、携帯電話が登場するかどうかの時代ですので、学校以外の人間関係や知識の源を持っているのは大きなアドバンテージになりました。
 女を口説くのも(時代が時代ですので、敢えてこの表現で)酒の呑み方も、カッコいいジッポの付け方とか煙草の銘柄も真似をする。危ない目に合わないように、ハネたりイキったりしちゃダメな地域、店の選び方まで綺麗に教えて貰える。
 現実世界のSNS上級者?呑んで歩く夜のリテラシー?基本的にコミュニケーションお化けが大半ですからね、顔が広い。先輩や先輩のツテで繋がった人に同じように可愛がられて、世界が急速に広がって行く。 
 
 自分が成長していることを実感しやすく、自己肯定感と弱々しいながらの自信が生まれやすい環境。そんな所が縦社会の良い所かと。
 次回はこれを現代に絡めて纏める所存です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?