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“オーナー第一”の姿勢は変わらず。グループ会社から見たM&A【フォーナイン編】

2022年にバイセルグループ2社目のグループ企業となった、買取店舗「Reuse Shop WAKABA」を直営とFC(フランチャイズ)で展開する株式会社フォーナイン。FC事業を通じて多数のオーナーの人生にも大きく影響するビジネスモデルは、グループの他企業とは異なる特徴です。

M&Aが発表された当時から現在までを、フランチャイズ事業本部 本部長の鈴木さんにお話を伺いました。

鈴木雄太(すずき・ゆうた)
株式会社フォーナイン フランチャイズ事業本部 本部長
大手携帯キャリアにてシステムエンジニアやプロジェクトマネージャーを経験後、スタートアップの環境を求めてリユース業界へ。FC店をサポートするSV(スーパーバイザー)組織を統括。2019年にフォーナインへ入社。


スタートアップ×リユースの成長性に憧れて

ーー鈴木さんのこれまでのご経歴と、現在の管掌業務について教えてください。

新卒では大手携帯キャリアにシステムエンジニアとして入社しました。
当時はガラケーとスマホの過渡期にあり、どう国内大手携帯キャリアとしての生き残りを図るかという局面でした。エンジニアとしてもプロジェクトマネージャーとしても経験を積むことはできましたが、ベンチャーで0→1のフェーズを経験したいと思ってフォーナインとは別のFC事業を展開するリユース企業の立ち上げ時期に入社しました。
そこでは現場での査定業務に始まり、オーナーをサポートするSV(スーパーバイザー)を経て、最後にはSV約100名を取りまとめる立場も経験させていただきました。
その後、同僚と一緒に起業したのですが、色々な理由が重なって経営が難しくなってしまったタイミングで、今井社長からお声掛け頂いたのがフォーナインへの入社のきっかけです。

現在はフランチャイズ事業本部の本部長として、FCオーナーの新規獲得から加盟後のサポート、直営店やFC店での査定・買取サポート、マーケティング活動など、リユースに必要な機能を広く担当しています。

ーーM&A当時についてお伺いいたします。初めてM&Aについて聞いた時の、鈴木さんとしてのお気持ちをお聞かせいただけますか。

当時の本部長陣が集められて、今井社長からM&Aについての共有を受けました。まずは率直に驚いた一方で、バイセルはいま伸びていることを知っている会社でもあったので、今後良いシナジーが生まれるかもな、とも思いました。

一番気がかりだったのは、オーナーの皆様への説明でした。フォーナインは直営でのリユース事業よりFC事業が中心にある会社です。当時も140名弱くらいのオーナーにご契約頂いていました。脱サラや定年を経て、ひとりの経営者として店舗を運営されている皆さんです。
オーナーの皆さん、そして社内にどのように説明して不安を解消していくのかというところは、経営陣でも慎重に議論を重ねました。

“オーナー第一”の姿勢は変わらず

ーー社員はもちろんですが、オーナーの皆さんにとっては生活への直接的な影響がある分不安も大きくなりますね。発表当時はどのような反応だったのでしょうか。

インサイダー情報になるので、オーナーや社員には事前に知らせることができません。対外的な発表は、2022年の5月にM&Aに関する基本合意書を開示したのが最初でした。
その発表直後、我々が社内やオーナーにお知らせするよりも先に、速報で報道されたものをオーナーが見て、社員に問い合わせが入ってしまいまして…。その社員もまだ回答できる状況にはなかったので、まず驚きと不安が広がることになってしまったのが当時のリアルな状況でした。

やはり「M&A=買収された」というマイナスイメージはありましたし、FC事業本部の社員からは、今後のオーナーに向き合う姿勢についての質問が寄せられました。
これまでのフォーナインの方針として、オーナーの皆さんが経営に失敗することが無いように、無理な出店にならないように、商品部も店舗開発もマーケティングも、皆が「オーナーのために」と努力してきました。買収されることで大手のFC事業者のように、出店数を第一に追いかける形になってしまうのではないか、オーナーの契約形態が変わってしまうことは本当に無いか、そういった声が多かったと覚えています。

――オーナーや社員の皆さんには、どのようにご説明を進められましたか?

基本的な方針として「WAKABAブランドを通して、オーナーと我々がWin-Winな関係で永続的に繁栄していくことを目指すことに変わりはない」ということを一貫して説明してきました。また、私と同様にバイセルの名前は皆さん知っていたので、今後グループとしてのシナジーを還元していける環境が生まれることも、丁寧にお伝えしてきました。

社員へも同様にWAKABAとしての姿勢は変わらないことを説明してきましたが、契約締結からほどなくして、バイセルの岩田社長と直接お話する機会を設けてもらったことは、不安解消に大きなインパクトがありました。

岩田社長にフォーナイン本社へ来訪いただき、M&Aの背景やフォーナインの強みなどついてお話いただきました。当時のフォーナイン社員は50名ほどでしたが、本社のメンバーとは全員と1on1を、全国の直営店にもその後足を運んでいただきました。
社員からはグループの代表に直接不安なことを尋ねることができ、不安感が払拭されたという良好な反応が多かったです。

上場グループ水準の成長基盤を構築

ーー2022年8月のM&Aから約1年半を経た現在、どのような変化を感じていますか?

まずは、今後の成長に向けての体制づくりが整ってきたように思います。特にコンプライアンス面においては、上場グループ水準の体制に大きく整備が進みました。
当時のままマンパワーで凌いでいると、いつかトラブルが発生していたかもしれない箇所がよりクリアになりましたし、それによってオーナーが不利益を被る可能性を避けることも出来ました。

その他、マーケティング施策の実務の面でも、バイセルのマーケティング戦略本部にご協力いただいて、データを元にしてPDCAを進める体制が整ってきました。直営店はもちろん、FC店舗の加盟開発においても、一緒にデータを見て考えたり、またフォーナインになかった目線からの意見を頂けたりしています。
一例としては、FC事業者の展示会でしょうか。おおよそ事業規模が広がった中で出展を停止していたのですが、ブランディング含めて改めて出展することとになり、マーケの皆様にはかなりリードしていただきました。

ーーカルチャー面では、バイセルとの共通点や違いなど感じるところはありますか?

当初からフォーナインのことを知ろうと、こちらの意見を聞いて検証していただいて対話しやすい環境でした。平たく言うと「いい人たちが多い」という印象でしたね。
先程お話した展示会にも、マーケの方が会場の大阪まで出張して来て頂いて、ずっとブースの前でWAKABAロゴのジャケットを着ながらビラ配りまで協力してくれました。最終日に一緒に串かつを食べに行ったのもいい思い出です(笑)。データを活用するロジカルな面だけではなくて、熱いものを持っているように思っています。
年末に開催されたBUYSELL GROUP AWARDも会場の熱量が高く、受賞した皆さんのコメントには20代の時の負けん気や向上心を改めて思い出させてもらいました。

ーー今後バイセルとのシナジーとして、特にどういったことに期待されていますか?

FCオーナーの皆さんにとっては、何より店舗の数字が向上すること、つまり集客面と買取商品をより高く売却できるかという面で、グループが寄与できるかは期待されていると思います。
またフォーナインとしては、もっと大規模なマーケティング活動など、単体ではできなかったことに挑戦していきたいですね。目下、よりシナジーを創出できるように、グループ間での買取フローの統一なども進んでいます。

グループ規模もまたさらに大きくなってきているので、より多くの商品を流通できる仕組みづくりを目指していきたいです。





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