「環境に優しい」は私に優しくない

今は暮らしの中のあらゆるものに
環境への不可逆的な影響を与えるものと与えにくいものがある。
100年前は二つのうちどちらを選ぶか迷うこともなく
天然資源で作られたもので暮らしていただろう。
それらは使い捨てることなく手入れをして大切に使うものばかり。
そうして生きるのが当たり前だった。
今は環境への影響を与える人工物が増え
広く一般に普及して
どこの空間も100年前と異なる。

「環境に優しい」は大抵時間と労力がかかる。
「環境に優しくない」は
簡単で後始末が楽(捨ててしまえばお終い)。
現代において選択肢は増えたけれど
人手と時間は増えていない。
昔は思いやり以前に当然だった「環境に優しい」が
今は「よくそんなことに手間をかけられるね」と
珍しがられるものになった。

人は疲労したとき、体調を崩したとき、
その他どうも上手くいかないときに
自分自身や周囲に思いやりを欠いてしまうときがある。
「環境にも健康にも良くない」ことをわざわざするのだ。
洗い物を減らすために使い捨て商品を使って捨てる。
パッケージの方が体積が多そうな加工食品を買って食べる。
普段は食べない量の甘いものを食べる。
このようなことは誰にでも経験があるだろう。
もちろん私もそうだ。
自分や家族の長期的な健康も、環境もどうでもいい。
「環境に優しい」は私に優しくない。
自分にすら優しくできないのに環境になんて気を回せない。
環境問題に取り組むのは余裕がある人の贅沢だ。
できないときはできないし
やりたくないときはやりたくない。

そう思った時はとにかく休息が必要だ。
自分や自分の大切な人を大切にできるように
ゆっくり休んで仕切り直しをすることを勧める。


冷静に考えればやはり環境には優しくしておいた方がいい。
天災に人間は敵わない。
地球の平均気温が上がると自然環境も激変し
作物の収穫量に影響が出る。
それで困るのは私たちだ。
そして地球環境をここまで変えてきたのは私たちだ。
遡れば「始めたのは私」ではなく「私の祖先」なのだけれど
今を生きる私たちも然るべき対策を取らなくてはならない。

質の良い道具を手入れしながら長く使う。
新鮮な材料を使って料理する。
3世代先まで遊べる良品を子どもに贈る。
いつもどんなときでもとは言わないが
こちらを選ぶ回数の多い人が増えて
100人が1歩を少しずつ進めば
一人の100歩よりも早く効果が現れるだろう。
そして「私に優しい(もちろん環境にも優しい)」
アイデアを考えていきたい。

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