社労士と会計知識の相性の良さについて
こんにちは、社会保険労務士・公認会計士・税理士の吉川です。
本日は社労士(目指している人も)に会計の勉強をおすすめし、会計の楽しさを知っていただこう!という記事です。
会計の勉強には、簿記や決算書に関するこのだけでなく、税務、経営の知識も含みます。
後半では、会計に関するおすすめ本を紹介しています。ぜひ最後までお読みください。
なぜ社労士は会計の勉強をすべきか?
社労士が会計知識を身に着けることをお勧めする理由を5つにまとめました。
①会計はビジネスの共通言語
②経営者の関心は税務と労務
③税理士との共通言語を持つことの有用性
④開業したときに必須の知識
⑤社労士は知識欲が高い
1つずつ説明していきます。
①会計はビジネスの共通言語
会計はビジネスを語る共通言語です。「売上が増えた」「今期は利益が下がった」など、日常的に使われる会話もすべて会計の言葉です。
企業に関するニュースや新聞を見れば、あらゆる場面で会計用語が使われていることが分かります。
会計を学ぶと、ビジネスシーンで日常的に使われている言葉の意味を根本から理解することができます。誤った知識に惑わされることもなくなり、正しい判断ができるようになります。
ニュースや新聞記事で会計用語が誤用されていることは多々あります。これは発信している人の会計知識が十分でないことがあるためです。その場合にも自分に十分な知識があれば、信用していい情報とそうではない情報を峻別することができるようになります。
②経営者の関心は税務と労務
社労士は経営者と接する機会の多い仕事です。
私の印象として、個人事業主や中小企業の経営者の主な関心は、税務と労務です。もう少し具体的に言うと、税金、資金繰り、人材確保、労使関係です。
労務の部分に関して社労士が関与できることは多いです。
しかし、資金繰りや税金について一切知識がないと経営者と円滑にコミュニケーションをとることができません。
経営者から信頼を得るためには、資金繰りや税金、つまり会計の知識を身に着けておくことは必須だと言えます。
③税理士との共通言語を持つことの有用性
中小企業の会計や経営の第一の相談相手は顧問税理士であることがほとんどです。
給与計算、年末調整、社会保険手続等で顧問税理士と顧問社労士が連絡を取り合うことはあります。その際に、税理士が求めている情報がどのようなものなのか、税理士がどのようなものの見方をするのかを知っておくことは重要です。
税理士側に社労士業務の知識があればいいのですが、必ずしもそのような税理士ばかりではありません。
経験上、税理士と社労士が全く連携を取らないことも多いです。しかしそれはもったいないと感じます。
それぞれの専門分野を生かし、相互に連携することで、相乗効果が生まれると思っています。
この社労士は分かってるな!と税理士に思わせることができれば次の仕事につながることもあります。
④開業したときに必須の知識
これは社労士に限ったことではありませんが、将来開業を視野に入れている場合には会計税務は必須の知識になります。
個人事業の時代から、簿記・決算書の見方・所得税・消費税等の知識が必要になります。
法人成した場合、サイドビジネスで法人を所有した場合には、それに加えて法人税の知識が必要になってきます。
経営者の立場になったときに税金のインパクトの大きさにびっくりする人は多いです。事前に知識を持っておくことは大切です。
⑤社労士は知識欲が高い
会計の知識がついてくると、企業の決算書の見え方や、日々のニュースに対する解像度が上がります。
しかし、勉強の過程では退屈な個別論点を地道に勉強する必要も出てきます。そこで挫折してしまう人は多いです。
社労士は厳しい試験を潜り抜けた猛者集団です。また、実務で出会う社労士の人達は知識欲が高い人が多いです。その意味でも、社労士は会計の勉強に向いているといえます。
会計を学ぶ上でお勧めの本
会計の勉強は奥が深いです。その入り口としてお勧めの本を2冊紹介します。
『教養としての「会計」入門』
こちらは会計初心者向けに会計用語の根本的な考え方を丁寧に解説しています。
特徴としては、数字を多用していないためスムーズに読むことができます。すらすらと読み進めていくうちに、会計の基本的な考え方を学ぶことができる良書です。
簿記の知識がある方は、あの処理の裏にはそんな考え方があったのか!という気付きもたくさん発見できると思います。私も会計の勉強、仕事をして10年以上が経ちますが多くの発見がありました。
『「1秒!」で財務諸表を読む方法』
こちらは1冊目と比べるとやや難易度が上がります。とはいえ、初心者でも丁寧に読めば十分に理解できるように書かれています。
こちらは実際の企業の数字などを使って、決算書の使い方を具体的に学ぶことができるより実践的な本になっています。
「なぜ、花王はカネボウの化粧品部門を買収したのか?」「なぜ、IT企業はブランドにこだわるのか?」といった問いを実際の決算書から回答を導くというスリリングな内容になっています。
この本をしっかり吸収出来れば、企業の決算書や日々のニュースの見方が変わります。