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感想:浅草フレンチ HOMMAGE(オマージュ)

こんにちは。今年初めてのレストラン訪問になります。今回は浅草にある2つ星レストランHOMMAGE(オマージュ)さんです。都営浅草線浅草駅から徒歩13分程度、浅草寺からはほど近いですが、とても静かでひっそりとした場所にあります。
※お店のHPはこちら

入り口

このお店を選んだのは、あるシェフがこのお店をお勧めしていたからです。フレンチに限りませんが、星を持っているかどうかは関係なく、美味しそうなレストランが東京には多すぎて中々選べないので、何かしらきっかけが欲しいですね。

お店は2階構造で、1階がお手洗いと調理場、荷物保管場所、少し急めな階段を登った2階が客席になっています。店内は良い意味で高級感がなく、とてもリラックスして食事できました。素敵な空間。

以下コース内容の紹介とそれぞれのお料理の感想に移ります。

※サムネイルの写真は本店のfacebookから引用しましたが、入り口の写真でも分かる通りこの看板は現在はありません。

コース構成

ランチコース
・アミューズ・ブーシュ
・モッツァレラチーズ
・牡蠣
・平目
・真鯛
・紀州鴨
・雷おこし
・人参
・苺
+パン

お値段は¥14000。3品目の牡蠣を使った前菜は¥2750で追加可能。サービス料は飲み物を含めた総額の10%。

1品目:アミューズ・ブーシュ

奥の方のスプーンが、下にタプナードを敷いたラディ・オ・ブール。手前のお皿に載っているのが、左下から時計回りに手亡豆とねりごまのフムス、フォカッチャのクルトンとセミドライトマト、オリーブのマリネとししとう。右上に見えるのはソッカと言って、ひよこ豆のペーストを薄く伸ばしてクミン・アニスのシードと共に焼いたチップス。先述のフムスとよく一緒に食べられるそう。

ラディ・オ・ブールは文字通りラディッシュとバターの組み合わせですが、今回は塩味のアクセントとしてタプナード(仏・プロヴァンス地方発祥のオリーブペースト)とアンチョビが使われています。苦味、塩味、バターのコクと柔らかい口どけ、シャキシャキしたラディッシュの食感。シンプルに美味しい。

ソッカは食べていて楽しかったです。そのまま食べると優しい豆の風味が感じられるところとスパイスの風味が強いところを交互に味わえたし、フムスとも良い相性。興味深いのはスッカ及びフムスに使われている材料全てが種子であること。これも理由の1つかもしれない。

2品目:前菜① モッツァレラチーズ

モッツァレラチーズを使った温かいお料理。下に人参のブルーテ(ポタージュのようなもの)とチーズ、上には和牛で作ったブレザオラ(生ハム)、白いものがベーコンの香りを移したムース、緑色のものがほうれん草の泡ソース。

右下に一部映っているのはこの容器の蓋で、土台と合わさると卵の形になります。テーブルに運ばれてくると、まず蓋を開けるように求められます。こちらからのアクションがあるのは体験として良い。

うーん、このお料理はちょっと… 理解が難しいです。要素としては苦味、塩味(+旨味)、甘味、ミルキー感が主なものとして挙げられますが、全体としてどうかと聞かれると分からない。

3品目:前菜② 牡蠣

牡蠣のソルベ、牡蠣のムースとライムの皮、シャンパンのジュレ、下に牡蠣、牡蠣のババロア。ムースはエスプーマを使用。

今日の中ではこのお料理が1番好きでした。美味しかったしとても面白かった。牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれそのクリーミーな口当たりが大きな特徴ですが、このお料理は牡蠣を要素分解して再構築したものかなと食べながら考えました。塩の効いたソルベは牡蠣のコク(肝?)と磯の香りを、ババロアはクリーミーさをそれぞれ演出しています。ここまでの予想はおおよそ合ってました。ただババロアとムースの役割の違いが分からなかったので食後シェフに聞いたところ、ムースは軽いため香りを伝えやすいとのことでした。これら3つ+牡蠣本体の食感を合わせて、「牡蠣より牡蠣らしい」お料理に仕上げているそうです。とても満足感があった。器も良いですね。実際の牡蠣の殻だとより雰囲気が出るかもしれませんが、サイズやバランスの問題もあるでしょう。

ただシェフの説明を聞いてとても残念だったのは、これら全部を一緒に食べなかったことです。割と別々に食べてしまった。混ぜて食べればシェフの言う「時間差」を実感できたかもしれない。

4品目:前菜③ 平目

一番下にトマトの透明なジュレが敷かれています。あん肝と一緒にタルタルにした平目。付け合わせはこごみ、高知県産リサトマト、アボカド、燻製したサワークリーム、ナスタチウムの花、ディルのオイル。

この写真ではイマイチ伝わり辛いですが、まずお料理の見た目に驚かされます。素晴らしい美しさ。ジュレは遠心分離機など使わずに加熱したトマトを濾しただけだそうです。何故透明になるのでしょう。メインのお魚はなめろうのような仕立ですね、味噌≒あん肝なイメージ。ジュレと付け合わせで様々に味を変化させながら食べ進められれます。

しかしこのお料理も個々の組み合わせを繋ぐ全体像をつかむことができなかった。何を目指したのか、難しいです。

5品目:魚料理 真鯛

今治の真鯛。蛤の出汁に米とトリュフを入れたソース。刻んだトリュフと木の芽。

鯛の味自体は淡白ですが、しっとりと火が入っていて単体で美味しい。このお料理こそシェフに聞けば良かった。お米が入っていることもそうですが、本当に分からない、意図が見えない。言えることがないです、すみません。

6品目:肉料理 紀州鴨

和歌山県産紀州鴨。パイ包みは鴨のもも肉とフォアグラ、ほうれん草。付け合わせはハーブ類のサラダとポンパイユ(千切りの揚げジャガイモ)。
ソースは2種類。右はサルミソース、左がソースペリグー。

説明の段階から思わず笑ってしまうほどの名前の重厚感。これぞフランス料理という迫力があります。ちゃんとした鴨肉は初めてくらいに食べました。心地よい弾力と程良い濃厚さ。皮目の香ばしさもとても良いです。

パイ包みの方も美味しくない訳がない食材の組み合わせですね。フォアグラとソースペリグー(フォン・ド・ヴォー、マデラ酒、トリュフ)という、ロッシーニ風などでもお馴染みのパーツたち。これはメイン料理です。

2品目の後に見せていただきました。にんにくの良い香り。

7品目:雷おこし

雷おこしを砕いたものとザクロ。アイスクリームとムース。金箔。

浅草名物の1つ雷おこしをフレンチで表現した一皿。優しい甘さの中に塩味が効いたデザート。柔らかいムースに所々混じっている雷おこしの食感がアクセント。土地の文化を高級レストランのレベルに合うように表現されています。意外性もある。

8品目:人参

人参とみかんのソルベとゼリー。お花の香りを移したオイル。

ソルベは甘さとみかんの香りが、ゼリーは苦味が強い。赤・橙・黄・緑がお皿の内側に反射してとても色鮮やかで綺麗。透明感があります。人参が主素材として登場するのは2回目ですが、それぞれで違った表情が見られます。優しいが濃厚な甘さの2皿目と、さっぱりして清涼感のある甘さのデザート。温度帯や合わせる他食材も多分に影響しています。

9品目:苺

ホワイトバルサミコ酢でマリネした苺、シェーブルチーズとフロマージュブランのエスプーマ、苺のソルベ。仕上げにビーツのジュースをかけていただきます。エスプーマの上にはオリーブの何か。スッカ?セッカ?よく聞き取れませんでした。乾燥させたもの。塩味のアクセント。

山羊のチーズは初めてです。確かに独特の香りはありますが、慣れれば美味しいかも。ビーツはショ糖が数%含まれているので甘いけれど、根菜類特有の土臭さもあるのでどうかなと思いましたが、食べてみると苺と合ってると感じました。

こちらは苺のタルト。ピスタチオとの組み合わせ。

最後にお茶(コーヒー)とお茶菓子が出てきます。人形焼きの型で焼いたフィナンシェ、カヌレ、お店近くにあるかりんとう屋さんのかりんとう。

ここまで結構な量があるので、食べきれなそうならお持ち帰りもできるようです。

バター

まとめの感想

冒頭でも書きましたが、落ち着いた雰囲気のお店で、食べていて疲れませんでした。ソムリエの方が1人、おそらく調理スタッフが数名、そして着物を着た奥様がお料理を運んできてくれます。映える着物は浅草らしくて素敵ですし、接客もとても柔らかいです。

またこの日は外国人のお客さんが1組いて、その方達へは英語での接客が行われていました。流石浅草という外国人の方が沢山集まる土地に立つお店です。雷おこしやフィナンシェ、器など所々に和の要素を散りばめたコース構成にも、その土地柄が感じられます。

少し引っかかった部分と言えば、全体的にお料理の説明が少し難しい印象があったことでしょうか。「下にタプナードを敷いたラディ・オ・ブール」や「人参のブルーテ」など、単語が理解できない場面が何度か。「ポンパイユと言ってジャガイモを〜」のような補足説明が毎回入る訳ではないからです。スタッフ間はそれで通じても、客への説明では平易な言葉を使う、もしくは補足するべきという意見もあると思います。私も部分的には賛成です。ただこれは個人の知識量に完全に依存します。例えば私の場合、シェーブルやエスプーマは知っていたので追加の解説がなくともスルーするのに、同列であるはずの未知の単語には解説を付けろ、という態度は都合が良すぎるかもしれません。お店側からしてみればそれぞれの客がどこまでの知識を持っているかを測るのは不可能です。料理名や調理法が理解できないのは自分の勉強不足が原因でもあり、その後に質問をすればちゃんと答えてくれます。なのでお店側だけの問題とは決して言えません。お店と客双方向からの歩み寄りが不可欠であり、そのバランスを見つけるのが重要だと思います。

お料理については、総じて構造が複雑で難解でした。今まで主に食べてきたイタリア料理とは結構受ける感じが違いますね。フランス料理に少し慣れてから行くとまた印象が変わるかもしれません。でもパーツ1つ1つは洗練されているというか、レベルが凄く高い感触でした。恐ろしい。

帰宅時にはシェフが見送りに出てきてくださいます。お料理についての質問や感想を共有できるのは嬉しいです。有難いことにしばらくお話しさせていただけましたが、やはりシェフの方々の言葉には重みがあります。またシェフは勿論、奥様にも写真撮影を快諾していただきました。ありがとうございます。ご馳走様でした。

1人での予約は席数に上限があるみたいなので(確か2組)、検討している方はお気をつけください。

今回は以上です。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、感謝します。

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