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「ドライバーズ フラッシュ」制度 月島物流サービス

現場の悩みから商品開発

 ㈱月島物流サービス(安藤昇社長、東京都中央区)は、1968年に親会社である月島倉庫の運送業務を目的に設立した。現在、従業員数は約360名、車両保有台数は330台を超え、事業を成長させているが、同社では「ドライバーズ フラッシュ」という制度がある。

 「ドライバーズ フラッシュ」のフラッシュは「ひらめき」の意味。「思いついたら何でもやってみる」をコンセプトに、2023年に運転手のひらめき、知恵を形にする制度を開始した。ドライバーという職業柄、朝出勤したらトラックに乗車して会社に戻ってくるまでは一国一城の主になる。どうしても勤務時間中に人とコミュニケートしづらい。日中に考えていることや、本社とのつながり、横のつながり、そういったものがどうしても希薄になる。
 せっかくの考え、知恵が、発する場を持たないため、そのままドライバーの不満として胸の中にくすぶり、埋もれさせてしまうのは、単に社内のコミュニケーション不足として片付けられない。それを変えなければと北川洋子最高顧問が始めた。
 ドライバーズフラッシュは、社内に設置された目安箱(アイデアBOX)に、ドライバーからアイディアが投函される。それを月に一度北川顧問が回収し、書いたドライバーと面談をしながら進めていく。
 
 ドライバーからは、「こんな不便がある」、「自分はこういうのを考えた」と積極的な反応が出てくる。次第に「こんな物があればいいのに」といったアイディアが集積され、商品化されたものもある。普通の人には分からない現場の悩みや業務上の矛盾というものが、必ずある。現場でなければ生まれない改善の知恵を集め、東京都大田区の町工場に持ち込み、試行錯誤しながら製品化している。
 そうして開発された製品の売上の一部は、アイディアを出したドライバーにキャッシュバックされる。また、ドライバーが外部に売り込んだ場合にも、売上の一部が還元される仕組みだ。製品の一例をあげると、長尺物を効率よく運搬する「L型スタンション」や現在開発中の「TSUKISOトラックシェード」がある。
 また、トラックの荷台への昇降はしご「TSUKISOのぼるくん」も開発し、販売している。地面が安定していない場所での使用も想定し、ハシゴの足を地面につけず、「フック」をトラックのアオリに引っ掛ける仕様にした。

 北川顧問は、「運転だけでは能力に差がつけにくい。ならば自分の給料は自分で稼ぐために知恵を出して自分で儲けようということ。創造をする喜びも感じてもらいたい」、安藤昇社長は「ドライバーの秘めた能力をもっと表に出したいという思いと同時に、月島物流サービスへ入って良かったと思ってもらえるような会社にしていきたい」とす。(6月3日号)

【写真】アイデアBOX

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