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モンゴルの学生、研修生として受け入れ アイエヌライン

「特定技能」に運送業追加受け


 3月に政府は人手不足が深刻な分野で外国人労働者を受け入れる特定技能制度の対象に、「自動車運送業」を追加することを閣議決定したが、運送業界では外国人ドライバーに関心を示す動きが出てきている。㈱アイエヌライン(奈賀幾次郎社長、福岡県吉富町)はこのほどモンゴルの大学生7名を研修生として受け入れた。研修生は1年、物流について学ぶが、卒業後は日本で物流関係の仕事に就きたい意向を示している。

 今回研修でやってきたのはモンゴルのモンゴルCity大学に在籍する2年生~4年生の7名。5月7日に来日した。研修生はロジスティクス学部に在籍し、物流について学んでいるが、研修中は日本に滞在し、アイエヌラインの仕事を通じて日本の物流を学んでいく。

 日本では現在「技能実習制度」と「特定技能制度」の2つの在留資格がある。
 技能実習制度は日本の企業が途上国の外国人労働者を雇用し、仕事を通して日本の技術や知識を伝えることで、国際貢献を目的とした制度。特定技能は日本の深刻な人手不足に対応するため、専門性を持った即戦力となる外国人を受け入れることを目的とした制度である。特定技能に新たに自動車運送業が追加されたことにより、特定技能の試験と日本語検定N4(基本的な日本語の理解)の条件を満たせば日本でも外国人のドライバーが働けるようになる。

 今回のモンゴルの学生が特定技能制度と異なる点は、研修生はあくまで大学のカリキュラムとしての研修であるため、「学び」が前提としてあることである。研修期間は1年間で、月の労働時間は160時間まで、深夜の仕事は禁止されている。
 研修生に向け5月8日から10日までオリエンテーションが行われ、13日から大手印刷会社の物流子会社で実際に仕事に携わりながら研修を行っていく。

 研修生は現場作業の他、自動車部品物流や食品物流、一般貨物の物流センターの職場見学、また、アイエヌライン社員とのレクリエーション、地域のゴミ拾いなどの社会奉仕活動も予定されている。
 同社にはモンゴル人の社員が2人在籍しており、研修中はモンゴル人の社員が仕事や私生活でのサポートを行う。1年間の研修を終えた学生はモンゴルへ戻るが、多くの学生は卒業後は、特定技能制度を利用して日本で働きたいと意思を示す。

 同社の田村務副社長は、「少子高齢化が進む中で外国人人材の活用が今後、必要になってくると考えられる。今回の研修では、再び日本に来て働いてもらうために『働きたい職場』と思ってもらう必要があり、最初の1年は会社側にとっても学びの期間であり、ここから良い循環を作っていければ」と話し、来年以降もモンゴル人の学生の研修を実施していく意向だ。
 
 今回、アイエヌラインとモンゴルCity大学の橋渡し役にもなった会社によると、日本で働きたいという海外の学生は多いという。今回の取材にあたり、研修生から大学で物流について専攻していることについて伺ったところ、「1年間はとても短い時間。だから大学に戻った後も勉強して、卒業後は日本で働きたい。最終的にそれらの経験をモンゴルの発展に活かしていければと思っている」と話していた。(6月17日号)

 【写真】モンゴル人大学生7人と田村副社長(左から5人目)

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