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旧奈良監獄を見学してきた

明治五大監獄(千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島)の一つである「旧奈良監獄」。耐震性等の問題から2017年に廃庁しその役割を終え、2026年春に「星のや奈良監獄」として開業予定となっている。

2022年秋、これが一般開放最後かもというタイミングの時に見学してきた時の写真をまとめておこうと思います。

廃庁後、『これが最後の見学会!』というのを何年もやっていたが、実際ホテル運営会社が途中で変わったりして、なかなか工事着工できない理由があったみたい。
また、見学はできるもののコスプレイベントや脱出イベントに参加しないと入れなかったり、クラブツーリズムのツアーに参加(そこそこ高い)しなきゃだったり、抽選制のツアーに参加しなきゃだったりで若干ハードルが高めだったので、「奈良矯正展」という刑務所作業品即売会を開催してるタイミングで赴いた。安くは入れるものの、見学できる箇所に制限があったかと思う。

最寄りバス停から歩くと壁が見えてくる
表門。
入り口から結構な人で賑わっていた。
1946年〜廃庁までは「奈良少年刑務所」の名称。
表門をくぐり逆から見たところ。天気いい。

煉瓦作りの刑務所の門ということで、東京・中野で見た「旧中野刑務所正門」にも空気感似てるな〜と思った。

旧中野刑務所正門、参考画像。2024年現在、移築・修復中。
こちらは大正初期につくられたもの。

門をくぐると広く立派な前庭があり、奥にこれまた立派な庁舎が見える。

尖塔もあり、荘厳な洋館のおももち。
庁舎の2階から表門側をのぞむ。

門入って庭の右側の食糧倉庫が史料館となっていたので、まずはそこでにわかの知識を得るべく入った。

藩政時代の刑罰。必見の恐ろしさ。
手錠いろいろ。
刑務所長の礼服。
1/325模型。こういうの見るの楽しい。
煉瓦の積み方解説という、建築物としての資料もあります。

史料館はホテルオープン後も同じように史料館として開放されるかと思われる。

庁舎入り口から中に入ると、中ではバザー的なものが行われていた。

これは刑務所作業品ではなく、地域の方々のバザーだったように思う。

庁舎の中に貼ってあったポスターを見て知ったのだが、この旧奈良監獄は映画『少年たち』のロケ地らしく、その聖地巡礼で訪れていると思しき人たちがかなり多かった。

さて見どころである中央監視所へ。

2階建ての一階部分からみたところ。
こちらは2階部分から見た天井。
1階から2階の監視台をみたところ。

ハビランド・システムといって、中央の監視所から5つの収容棟が一気に見られるようになっている。
ちなみに網走番外地やゴールデンカムイでおなじみの網走監獄の収容棟及び中央見張所は、木造という違いはあるものの奈良監獄を参考にして大正時代に建てられたらしい。

収容棟の2階。
収容棟、1階から上をみたところ。天窓があり、吹き抜けなので結構明るい。
房の扉。
扉の扉を開けるとトイレが見える。
独居房〜独居房〜(羅王)。今は単独室と呼ぶそうです。

この居室、窓枠のデザインのせいかちょっとミニマリストのシンプルスタイリッシュな部屋にも見えてしまう。

日の入り方や外の木々の葉が雰囲気ある別の方角にある単独室。

ちなみに当初運営予定だったソラーレ ホテルズが計画していたホテルはこの5棟で500室ほどある収容棟を150室程度の客室にするものだったが、現在の星のやの計画では全48部屋となっている。
一つの棟はそのまま保存する計画だったかと思うが、ラグジュアリーホテルだけあって一つの部屋が結構広い作りにはなりそう。
ただ奥行きは広くしようがないので横に長い部屋になるのかな?

独居房の備品リスト。ホテルのアメニティがこれだったらストイックすぎる。
これは雑居房(今は共同室というらしい)

ほか、収容棟のいろんな場所。

この窓から見える景色がなんだか胸にくる。
退廃の美がある
階段への入り口もアーチ型になってるのが美しい
このあたりの独特な雰囲気はホテルに再生してもそのまま残しそう。
色使いかわいい

受刑者の慰問等に使用する講堂もある。

学校の体育館とおなじようなつくりで懐かしい。
クラブ活動室。少年刑務所だからこういう部活も盛んだったのかしら。
お祈りをする場所。宗教ごとにブースがわかれている。
鉄格子ごしにみる収容棟。

雑居房が並ぶ棟の奥へ進むと、木造の広い実習場がある。

この場所で金属加工や煉瓦造りなどが行われていた。
塀の向こう側が見える。

収容棟には「重塀禁房(マル房)」という、内部が真っ黒に塗られ一切光が入らない作りになってる円形の懲罰房があったのだが、大人気でそこに入るための大行列ができていた。

廊下を渡って、医務所のほうへ。

奥に見える建物が医務所。
処置室という響きがなんか怖い
歯科治療室もある。
なにやらただならぬムードある部屋
建物中央部分の、外からみると八角形の塔の天井から採光できるようになっている。

医務所の先には煉瓦造りの隔離病舎が。

これも明治時代に竣工。
中の様子。
裏側。

この隔離病舎のすぐ隣には、江戸時代の木造の牢舎(通称ギス監)が保存されていて、いかにかつての監獄は劣悪な環境だったのかを感じることができる。こちらも中に入れるのだが大人気で常に人がいた。
このギス監と奈良監獄を比べると、明治時代の近代化の勢いすごすぎる!と感心する。

塀の側に立つと、こりゃー登れないな…と実感する。

旧奈良監獄の公式サイトでは詳しい解説や多くの写真があり理解が深まるので興味がある方は見よう。また、工事の進捗情報もわりと丁寧に載っていて、できるだけ現状を維持しながらホテルとして再生するのでは…と希望含め期待している。

ラグジュアリーなホテルとなるようなので宿泊代は高そうですが泊まらなくても史料館や外観見学はできそうだし、進捗を見守りつつオープンを待ちたいと思います。


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