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経験した心に残る葬儀 ~生後七日で死亡した赤ちゃんの葬儀~

私は今まで執行しました葬儀の中で、特に忘れられない葬儀となりましたのは、17年程昔に出遇った赤ちゃんの葬儀でしたね。


赤ちゃんは男の子で、心臓病のために生後一週間で亡くなりました。

そしてご家族のご依頼で、通夜と葬儀をご自宅で行うことになりました。

お宅に到着しますと祭壇のあるお部屋に案内されました。私は祭壇の前で赤ちゃんを抱いているお母さんと、幼稚園の園児ぐらいのお兄ちゃんらしき幼児が、母親の隣に座って、三人で亡くなった赤ちゃんの写真を見ながらご遺体を見守っているような光景を目にしました。


ところがその後、喪主のお父さまのお話しを伺って分かったのですが、先程私が見た母親に抱かれていた赤ちゃんは、実は亡くなられた赤ちゃんだったのです。


私が感じましたのは、この赤ちゃんは縁起の身であることの真実を自ら教えて、赤ちゃん自身の人生が終わったと思いましたね。赤ちゃんは縁起の存在の身となって教えてくださったと思います。

私はこの時の法話として、インド北部の舎衛城(しゃえじょう)という街の、貧しい家に生まれ、かわいい男の子を産み、幸せに暮らしていましたキサー・ゴータミーが、子供を亡くし、お釈迦様から教えられた教えを話しましたが、しかしお母さんにとっては、縁起の存在の身ということでは中々納得がいかないのですね。

この真実をどう自分のこととして、気付いてゆくか、赤ちゃんの死を受け入れることができるのかという問題がありますね。

このお母さんやご家族の皆さまは、赤ちゃんの死を通して、私たちは生のみに止まることなく、又、死を恐れることなく、生死を一つの相として、それに任せて行くことが出来る確かな人間にならなければならないと感じました。

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