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自分の宗派を言えますか?

 日本の仏教には多くの宗派があります。天台宗、真言宗、曹洞宗、日蓮宗、浄土宗など他にも多数あります。私は父から幼少の頃に「うちは浄土真宗で大谷派だぞ」と教えられました。

 私がお勤めさせて頂いた葬儀のことなのですが、葬儀の前まで喪主様は自分の宗派を知りませんでした。お父様を亡くされて、葬儀社の方と通夜葬儀の打ち合わせを進めていくのですが、お坊様をどうするか悩まれたようです。結果的には、葬儀社の担当の方から日本で一番門信徒の数が多い浄土真宗を勧められて、私がご縁をいただくことになりました。
 

ところが、通夜前日に喪主様が遺品を整理していると、「南無妙法蓮華経」と書かれた物が見つかったそうです。そこで初めて日蓮宗であると知ったということでした。しかし、すでに通夜葬儀の段取りは決まっていたので、喪主様も納得した上で私がそのままお勤めをいたしました。

 前述のとおり日本には多くの宗派がありますが、元をたどれば皆お釈迦様一人です。共通する部分もあるので、宗派にとらわれずにお釈迦様の話を中心に法話をし、故人様と向き合っていただく時間を葬家様に過ごしていただきました。最後には「ありがとうございます」と声をかけていただけたので、私は無事に通夜葬儀を勤めることができ良かったと安堵しました。
 それでも、式の前に喪主様とご挨拶させていただいた時に、「家のことは何も知らなくて、父からも聞いていなくて」と申し訳ないという様子で話してくださった姿が忘れられません。

 自分の宗派が言えないという方は、ぜひ、ご両親や祖父母に尋ねてみてほしいです。いざという時に困らないことももちろんですが、宗派を知ることで普段の生活にお寺へお参りに行くことや仏教を学ぶきっかけとなって、生き方にも大きく関わってくることもあるでしょう。私自身、仏教に触れて大きく人生観が変わりました。今でも悩むことはもちろんあるのですが、同時にありがたい人生を送れていることも感じます。

 これからご縁あって出遇えた方には、自分が何宗なのかはっきりと自覚していただいて仏道を歩んでいただける様にお勤めに励んでまいります。

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