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最高の葬式を考える

先月、おばあちゃんが死んだ。最近おばあちゃんは老人ホームにはいたが、それなりに元気に過ごしていて、死ぬ数日前の誕生日にはケーキをモリモリ食べてはヘルパーさんを困らせ、私が送り付けたTVでバラエティ番組を見てゲラゲラ笑っていたらしい。比較的覚悟をしていないタイプの死だったので、親族一同びっくりして、連絡をもらった当日にはみんなぞろぞろと実家に駆け付けお通夜から出席した。

わたしはおばあちゃんっ子だった、というか、オカンがフルタイムで働いていたこともあって7-8割はおばあちゃんに育てられたようなものだった。だから、逆に(?)おばあちゃんの嫌なところもたくさん知っているし、本当にクソだなと思っていた時期もあるのだが、まあトータルで見たらそこそこに面白いおばあちゃんだったなとも思う。基本的に自己中だし、そのくせ各方面に良い顔しがちだし、典型的な田舎のクソババアなのだが、たまに言う皮肉が効いていて面白く、気前が良くてファンキーで良いところもあるのだった。

そんなおばあちゃんの葬式が、たいそう感動的に「みんなに愛された優しいおばあちゃん」風に演出され、通り一遍のことしか言わない薄っぺらいタイプのものだったので、わたしは心底うんざりした。「てめぇがおばあちゃんの何を知ってるんだー!」と青春ドラマよろしく奇声を上げて祭壇に飛び乗って地団太を踏みたくなるほどだった。こりゃもう自分も黙って死んだらえらいことになるぞという危機感がヤバいのが、今。これを書き綴っているという次第だ。


1.遺影

絶対に遺影でイエーイをしたいので、ダブルピースの写真をチョイスしようと思う。良い人感が出ないようにしたい。絶対に。

参列者、遺影をしみじみと眺めて、想いを馳せがちなのだが、とにかくこれ、自分が一番されたくないことだなって思った。本当に、あることないこと言われて死体蹴りされるのが一番嫌なので、遺影を見て「良い奴だったな」って言われないような、狂った写真をチョイスしておきたい。

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今の所の候補がこれ。ヘビもアロハシャツもダブルピースも絶対にトリミングしてくれるなよ。ばかやろう。


2.服

可愛い服を着たいとは言わんけど、白装束は嫌だな。上の写真みたいな、陽気なアロハシャツがいいな。極楽浄土は暖かそうだし、ちょうど良さそう。もしくは、いっそゴスロリがいいな。生きてる間はなかなか着れないから、死んだときくらいはBABY, THE STARS SHINE BRIGHTのピンクの甘ロリとか、着たいな。

棺桶の小窓を開けて「顔を見てやってください」みたいな応酬が行われると思うと、顔の周りは華やかにしておかないといけないなとも思う。ヘッドドレスとかでぶりぶりに着飾っておきたいな。


3.音楽

絶対にオルゴール調のパッヘルベルのカノンとか流されたくない。マキシマムザホルモンの「ぶっ生き返す」が一番いいと思う。お葬式の趣旨とも合っているし。忘れられないお葬式になると思うんだ。

あとはわたしのオリジナル曲「無添加」をここで発表するのでもいいな。「食品添加物無添加 無添加の方が優しい味ね」っていう歌詞から始まるんだけど、教訓に満ちていて良い曲じゃないか??お葬式で流してもらうためにも、オリジナル曲、ちゃんと音源化しておこうと、今思ったね。意欲が湧いてきたね。

☆追記 number girlのNUM-AMI-DABUTZこそ至高では????



4.お花

祭壇(?)が花で飾られがちだけど、女の子らしい柔らかい色合いの花とか勘弁してほしい。ユリとかカスミソウとかカーネーションで満たすな。似合うわけないだろそんなもの。冷静に考えてほしい。食えない植物を愛でるような性質が焼豚女にあったか??ないだろ??だからせめて食えるものがいい。食用菊でもいいしネギの花とかでもいいよ、それなりにかわいいし。会場をネギの香りで満たしていけ。あとは山菜でもいいな。フキノトウとか。ほろ苦くてうまいし、一応花だからかわいいし。式が終わった後に客に配ったら喜ばれそう。

何度も言うけど、間違ってもかわいい女の子らしい良い香りのお花で満たさないでほしい。そんなの使うくらいなら米の苗とかシイタケの原木とかを並べておいてくれ。たのむ。


5.挨拶

お経の類は実家の宗教に従います。私は敬虔な仏教徒なので、その辺は慣習に則っても不満はないです。できれば幼馴染(寺の子)のパッパにお経あげてほしいな。顔見知りだし、小さい頃から良くしてくれていたので。これは普通に希望が通りそう。

それはそれとして、代表者挨拶(?)は良いものにしたいな。誰に読んでもらうかとかは考えてないけど、親族は嫌だな。適当な友だちに読んでもらいたい。

あと、何が何でも一番嫌なのが、葬儀社の人が勝手にあれこれエピソードまとめて良い感じに偲ぶポエムみたいなのを入れてくるやつ。あれ本当に嫌。吐き気がする。もう死んでるんだけど、たぶん棺の中で吐く。(おばあちゃんの葬式の時もこれが一番嫌で発狂しそうになった。ムカつきすぎたので親族代表お別れの言葉で雰囲気ぶち壊してやった。)

まあとにかく、わたしとそこそこ遊んでた人に適当に偲んでもらいたい。適当でいいんだ。一緒に食べた焼肉とか二郎の話をしてくれたら、それがいいなあ。


6.棺の中

棺の中、故人が好きだったもので満たされがち。でも、上手く燃えるものじゃないと入れちゃいけないから、何を入れるか迷うよね。とりあえずわたしはコーラがあれば生きていけるので(もう死んでるが)、コーラがほしいな。瓶とかペットボトルがダメって言われたら頭からかけてくれてもいいのだけど、それはさすがにヤバいかな。親から止められそう。

最後に花をたくさん入れてあげがちだけど、わたしはそこで香味野菜を入れてほしい。こんがり美味しく焼けたい。最後くらいは美味しい焼豚でありたい。特にニンニク多めが良い。ニンニクでわたしの棺を満たしてくれ。青森産なんて贅沢は言わん、中国産でいいから。頼む、これだけは叶えてほしい。わたしからの一生のお願い。

☆追記 わたしの愛読書であるホムンクルス先生の「レンアイサンプル」と、快楽天の最新号を入れてください


7.火葬のとき

これはマジで本気のお願いなんだけど、モンハンで肉焼くときの音楽を流してほしい。火葬って2時間近くかかるから、そのあいだずっと耐久するかのごとく肉焼きミュージック流してほしい………とまでは言わんから、最初と最後くらい流してほしい。余裕があったら、窯出しのときに「上手に焼けました!」ってセリフつけてほしい。

そのあと骨を拾うイベントもあると思うんだけど、誰かしれっとココアシガレット混ぜ込んでおいてくれ。骨壷の中にココアシガレットあったらあの世でも退屈しないと思うから。多分質感的にバレないから。よろしくたのむ。


8.骨をどうするか

ほんとは散骨してほしいんだけどね、散骨できる場所も限られてるだろうから難しいよね。ああ、野付半島とかに散骨されたいなあ。自分もあの最高の砂嘴の一部になれると思うと死ぬほど興奮するなあ(もう死んでるけど)。まあ、難しいと思うので、わたしの幼馴染(実家が寺)の家の納骨堂に納めておいてください。これはみんな普通に従ってくれるだろ。



以上、わたしのお葬式についての要望!!これを遺書とするので、いつ死んでも大丈夫!!

今世、ばかやろー!!!!来世こそは生きやすい性格に生まれてくれ!わたし!

あ、別に死ぬ予定とかは無いので安心してくださいね。もし今の自分が不慮の事故で急逝したら、きっとバタバタで適当なお葬式されるだろうから、これをきちんと遺しておくことでわたしが安心できるっていう、あれです。

おばあちゃんが死んで、クソみたいなファッキン葬式に出て、色々と最悪だったけど、期せずして自分がどう弔われたいか明確になってしまったな。そして死ぬと馬鹿みたいに美化されてアレコレ語られてしまうことも痛感した。本当に嫌すぎるので、馬鹿らしいお葬式にして馬鹿らしくわたしのことを偲んでください。そもそもそんな真面目に生きてないから、真面目にお葬式とかされると恥ずかしくて成仏できません。

わたしがうっかり死んだら、このnoteを親族に送りつけてくれよな。よろしくお願いします。


おわり



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