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キャリア概要4/5(2015〜2017年)

短編テーマとしてキャリア史『5部作』を書き連ねています。

キャリア概要1/5(〜2008年)
キャリア概要2/5(2008〜2011年)
キャリア概要3/5(2011〜2015年)
キャリア概要4/5(2015〜2017年)◀︎イマココ
キャリア概要5/5(2017年〜現在)

べべん!っと第四幕開演です。

ジョブチェンジ(SE→コンサルタント)

エンジニア職から初めてのジョブチェンジです。コンサルというこれまで想像だにしてこなかったキャリアを一歩踏み出しました。

コンサルティング会社には
・パートナー
・ディレクター
・シニアマネージャ
・マネージャ
・シニアコンサルタント◀︎私はここから
・コンサルタント
・アソシエート
という序列があります。さらにパートナーにも序列や派閥もあり、まさに白い巨塔のようで、私の知ってる話だけでも本を一冊書けるほどです。私はシニアコンサルタントとしてできたての部署に配属されましたが、私は初心に戻っていろんな仕事(雑用も含め)が自分に集まってくるようにふるまいました。

その裏で私はある計画の実行に移ります。採用される以前より私は明確にイメージしていた未来がありました。それはキャリア概略1/5(〜2008年)で一緒に働いていた先輩の河合さんを、同じコンサルティング会社に引き抜くことです。私はその未来が必ず来ることを強烈にイメージできていました。

そしてそれは私のイメージ通りに叶いました。他人が転職するのはその人のタイミング次第ですが、この時私は自分の未来をコントロールしている感覚を強く持っていました。これはマズローの自己実現論の第5段階欲求「自己実現欲」であり、オックスフォード大学感情神経科学センターのフォックス教授が提唱するOptimism(最終的には物事が望みや目的どおりに満たされるという考え方。直訳の楽観主義とは少し違う)の構成要素のひとつでもおります。ナポレオン・ヒルの「思考は具現化する」を強烈に体現していた時期でもあります。

トラウマ案件

河合さんが入社すると同時に、私は河合さんととんでもない爆弾案件をつかまされます。これは関係者のトラウマ案件であり、これまでにない学びを得た案件となりました。2ヶ月でクライアントのIT戦略の青写真を描くというもので規模としてもこれまでにない経験でした。詳しいことはさておきプロジェクトはいい結果となりませんでしたが、そこで得た大きな教訓としては
・決断を他人任せにしない
・意見の相違があっても簡単に折れない
・顧客とバトることも辞さない

ということです。コンサルティングの仕事は人をなだめる仕事ではなく、後始末を自分で頑張ればなんとかなる仕事ではないのです。クライアントと意見が合わないとしても、その場凌ぎの対処をしたばかりに取り返しのつかないことになってしまうような経験を、ここで初めて体験しました。

結果はどうであれみんな必死だったことは確かです。私も当時のプロジェクトアサイン率が190%になっていて、耐え凌ぐことに精一杯だったのです。会社もクライアントも現場のメンバーに対しての責任を追求することありませんでした。私はめげずにまた新しいプロジェクトを担当します。その中で他のコンサルタントの仕事運びやリーダーシップも学ぶことができました。

主に金融案件を担当することが多かったですがその後の仕事は順調で、先にマネージャーになっていた河合さんの推薦もあって、私はマネージャへと昇格しました。これも入社前から思い描いていたイメージどおりで、自分のプレゼンスを上げるためにも、河合さんの存在が重要だと考えていました。

チームも当初8名だったのが30名→50名→80名と飛躍的に増えていきました。同じチームなのに顔も名前も知らない人がどんどん増えてくる状況ですが、いい出会いもたくさんありました。メガバンク出身社や中国人の同期。以前強豪だったであろう会社の出身の人や、同じような経験を積んできた同僚などなど。いまとなっては連絡が取れる人も限られていますが、こういう時に確かなネットワークを作っていくことが後々の人生を豊かにしてくれます。

ベンダーニュートラルという足かせ

私はマネージャとなり、案件の提案からプロジェクトマネジメントまで対応することになりました。トラウマ案件ほどのひどい目にあったことはなく、たまに徹夜することはあっても順調そのものでした。

しかしふと気になることがあります。コンサルティング会社は常に中立的な立場で物事を進めることを求められます。IT用語で言えば「ベンダーニュートラル」といいますが、iPhoneなのかAndroidなのか、MicrosoftなのかGoogleなのか、特定のベンダーを前提にせず案件を進めるフェーズがあります。結果として検討事項が広範囲に渡ってしまい、全てをカバーするにはコストや人的リソースも極大化し、個々の決定事項は顧客に委ねる。整理しているつもりが逆に散らかってる、とまでは言いませんが、ITの世界は常に流動的で破壊的イノベーションが起こっているのに、立ち止まって物事を考えて整理整頓することに果たして意味があるのだろうかという、不完全さを感じていました。

むしろやりながらデザインしていくような態勢を作ることが重要で、迅速な意思決定や柔軟な目標設定の方が必要になってきます。その中で主柱となるものだけあればよく、つまりは何かに依拠したコンサルティングでないと、顧客を不幸にしてしまうと考えていました。

ヘッドハンティング

そういうことを同僚とも話していた矢先Linkedin経由で前職・前々職で担当していた製品のメーカーの方から連絡がありました。サポートをやってた時期にやりとりをしていたEmiさんが日本に来るのに合わせて会いたいと言っているそうなのです。以前お世話になったしせっかくの機会なので会うことにしました。日本のメンバーを増やしたいらしく、つまりは引き抜きです。詳しく聞いたところ、前職での私の働きを評価してくれていたことと、今後顧客の問題解決に取り組むコンサルに近い役割をチームが担っていくよう変化していて、その適任者として私に声をかけたのだとか。

大変な仕事であることは変わらないようですが、これまでの経験をフル活用すれば大きく貢献できると感じました。さらにこれまで悩んでいた「何かを拠り所にしたコンサルティング」というものが可能になるという新しい道もひらけそうに感じたので、転職を決めました。

コンサルティング会社での心得

この記事を読んでくれている人の中にはコンサルティング会社に興味を持っている人もいると思います。自分の市場価値を高めるにはコンサルティング会社の経験はいいステータスになりますし、何より短期間でも濃厚な経験を積むことができます。みなさんがコンサルティング会社への転職を検討するのであれば大いに応援します。

コンサルティング会社は年功序列とは大きく異なり、上から引っ張ってくれる人がいれば若くてもマネージャー以上になれます。逆にいつまで経っても昇格しない人もいます。パートナーが事業戦略を考える上で誰に任せるのか、その重要なポジションに自分がいない限り上がっていくことはできません。つまり皆が個人商店なのです。そのことを意識してプレゼンスをあげていくことが昇進への近道です。

昇進できればさまざまなベネフィットを受けることができます。お給料もそうですし、案件でもリーダーシップを発揮する機会が大きく増えます。また社内外の研修にも参加できます。私も時間外ですがビジネススクールへ通うための費用を出していただきました。

長く続けるかどうかはあなた次第ですが、ほとんどの人が数年でコンサルティング会社を退社し、次のステップへと進みます。パートナーやディレクターの中で将来誰を出世させるか目星がついてしまっているので、それを覆すのは努力だけの問題でなく市場でのニーズも大きく関わってきます。私の場合も退職時に上司(パートナー)に「学ぶものを学んだら新たな門出は背中を押してあげたい」と温かい言葉に感じますが、要するに私はここで出世していく(パートナーななっていく)構想にはなかったと告げられました。

ただ入ってしまえばこれほどスピーディーに成長できる環境はないです。コンサルティング会社を退職してその点だけは少しもの寂しさを感じるところです。

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